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森と林業と動物の本

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2013/08/05

森でWAKUDOKIするか?

昨年のスイスの某所で見せられた映像に「WAKUDOKI」というのがあった。

これは日本語なのだそうだ。???だったが、どうやらワクワクドキドキの略らしい。なんでもトヨタ自動車?のコマーシャルに登場して、WAKUDOKIこそが、スイスを席巻する日本語なのである(大袈裟)。

※追伸 調べたら、例の映像がちゃんとユーチューブにあった。

http://www.youtube.com/watch?v=Z3O1TCUsE6Y

さて、先日の大阪で開かれた『だれが日本の「森」を救うのか』セミナー。

第二部のトークイベントのテーマは、「林業でわくわくするか」だった。内容的には、あまり深く「わくわく」に触れられなかったような気がするが、実は改めてこだわってみたい。

上記の問いかけに関する私の答は簡単だ。「全然、今の林業にはわくわくしない」である。もちろんドキドキもしない。WAKUDOKIからほど遠いのだ。

何をもってワクワクすると定義づけるかはともかく、正直、日本林業の現状の話をしていても面白みがない。つまんない。何も不景気だから、ではない。

いかに集約するか伐採するか搬出するかコスト削減するか。あるいはどうしたら木材を高く売れるか。どこそこ製の林業機械の性能は。私に、今後の材価の動向を聞かれてもねえ……。

そんな話題ばかり。もちろん林業や木材産業に従事している人々からすれば、もっとも重要なことなのかもしれないが、私の感性的には、そこにワクワク要素・ドキドキ要素はない。正直、つまらない。そんな話をするのなら、経営評論家かコンサルタントになっとるよ。

昨今の林業的話題からは、ほとんど森づくりが消え失せて伐採中心になってしまった。木づかいという言葉だって、今ある木を利用することだけで、その木が育つ過程から今ある素材までに眼を向けることは少ない。

現代の日本林業の問題点として、よく指摘するのは、各分野がバラバラなことだ。伐採と市場、製材、建築、木工、そして消費者……。お互いの情報を共有せず、つながらない。
が、それは林業界だけでなく、林業を論じる人々まで分野ごとに分断されているのかもしれない。細かな分野のオタク化している。いや、オタクならまだその分野に興味を持っているのだろうけど、今は利益が出るかとか、政策に従っているかとかが行動原理かも……。

そこで、少しウイングを広げてみた。林業に絞らず、森林全般でワクワクするか。ドキドキするか。WAKUDOKIするのは何か!

もちろん、人それぞれ自らの感覚に響くところは違うだろう。しかし、世間には、森林が好きで、林業・木材産業に関わっていないのに森林ファン・林業ファンがいる。森林や林業関係のシンポジウムが開かれると駆けつける人が少なくない。
私もその一人だろう。以前は、たしかに森でWAKUDOKIしたのだから。

森の、何にWAKUDOKIするのか。

森の中を歩くこと。

遭難すること(~_~;)。

不意に美しい森の景観を出会い目を奪われること。

動物や昆虫、植物などのシュールな造形を観察すること。

何やら妖しの生命が満ちている気配を感じること。。。。

やはり未知なものと接触し、想像力をフル回転させる瞬間が楽しい。

たとえば森の中で、古い人の痕跡を見つけて永い時間の流れを感じる。

そして、森に人がどう関わっていたのか思いを馳せる。もう少し具体的に言えば、どんな森づくりをしてきたのか。あるいは今後するのか

ここで、改めてWAKUDOKIする(森の一部としての)林業とは何かを考える。

森づくりからスタートして、生物多様性とか、景観とか、気象とかの末に、育った森の最終行程としての収穫がある。さらに樹木が木材となって何らかの品になる。それが美しい工芸品だったら喜びになる。そんな森の時間と空間を超えた姿を感じたい。林業は、そんな森の一部だ。

自分にとって、もっとも楽しい森との関わり方を改めて思い起こせば、その中から再びWAKUDOKIするものが見つかるかもしれない。そしてWAKUDOKIする要素がわかれば、自ずからやるべきこと、あるいは正しいやり方が見えてくるような気がする。

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コメント

まったく、おっしゃる通りですね。
やはり、森の中に入るとワクワクドキドキする体験が出来る事が、今の若い人には分かってもらえないのが残念です。
一番の理由は、森と接する機会がほとんどない事でしょう。
林業をしている方は毎日100%森や木と接していますが、それ以外の業種の人には全くと言っていいほど機会がないのですから。

森に行けば、森ガールがいると、いえば男は来ます。
森に行けば、美味しい物が食べられます。といえば女が来ます。
森に行けば、色んな生き物がいるよ、といえば子どもが来るでしょう。
森には、人工物では代替できない素晴らしいモノがたくさんあります。
人類のふるさとは、森です。
といいたいね。

熱帯雨林だけでなく、温帯林でもWAKUWAKU DOKIDOKIする体験が必要ですね。

たぶん。林業女子はそのことに気づいていますよ!

現在の林業事情は、林業家からも森を奪っているのかもしれないなあ。

……しかし、森ガールは森にいませんぜ(^ー^)。男はだまされるかもしれんけど。
昔、「森林がサルを生んだ」(河合雅雄)という本を読んで感動したなあ。そしてサル学に目覚めてしまい、ボルネオのジャングルに野生のオランウータンを探しに行ったのだった。あれもWAKUDOKI体験だったなあ。

人は自然を「破壊」して学ぶ─森遊びwith田中淳夫コンセプトが原点でしょ!

年金が怪しい、生活保護費が怪しい・・・

1人森1haを5年貸与・年○万円5年限定補助。

生きたいDNAが発動し生きる感覚が再生し森が再生します。

テストプロシェクトを提案します~

一人森1haも体力がある内ならOKですが。
なかなか、そんな暇な方はいないでしょう。

それよりも若者達に集団で森を管理させる方がいいのでは。
年間一人あたり200万円補助を出して5年間林業を学ぶプロジェクト今必要です。
民主党政権でそんな制度あったような気がするが。どうでしょうか?
森ガールたちを、町から森に入らせる事がたいせつですね。そのきっかけになるような気がする。希望的観測でしょうか。

ところで、7月27日から8月3日まで、インドネシアの北スラウエシ州にある自然国立公園を2カ所自然観察して来ましたが、熱帯雨林を伐採してパームヤシが大規模に植えられていました。
急激な経済発展をしているインドネシアでは、まだまだ自然保護とはほど遠い森林管理が進んでいます。

東南アジアの森林の減少の原因と進む対策、というサイトをご覧あれ。
http://www.gef.or.jp/forest/kashio.htm

森を出ることで人類の二足歩行は始まったんじゃないんでしょうか?
だから本当は人間は森が嫌いなのでは?
確かめようが無いですけど

なるほど、青年たちの集団による森プロジェクトの方が有効ですね。

自衛隊の屈強な青年たちも訓練を兼ねて参加する。

森ガールたちが強い男に出会う機会になりますね。

切った木は『物』かも知れませんが森に居る樹木は『物ではない』・・・未だ命が有ります。ひたすら『光合成』に励んで命を長らえさせていますし酸素を供給して他の命の保全を司っています。

(旨く表現できませんが・・・)こりゃもうほとんど『神秘』です。

酸素を供給できる『生命体』って他にありましたっけっ・・・?!

森に、樹木に、感謝する気持ちからスタートせねばっ!!

立体世界の森で進化したことによって目と手を発達することになり、サルは生まれたのです。ところが、その後森林が後退して草原が広がると、再び大地に降り立ったサルは、ヒヒなどの草原性サルとなり、やがて二足歩行の類人猿が登場する……そうか、森林の減少は、新たな人類を生み出すかもしれんゾ(@_@)。

でも、オランウータンは森にもどった類人猿だな。森にワクワクする人は、オランウータン系人類なんだ。

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