役物こそ、木材商品の本質!
木材の商品について考えると、今や役物は、まったく過去の商品となった……と言われている。が、最近、思い直し始めた。木材商品の真打ちにして本丸こそ、役物ではないか。
え、以前「役物は売れない」とか「役物、銘木とは素材にすぎない」と書かなかったか?
知らないねえ。
……自分の書いたことを否定してみせるのは、人によっては苦痛を伴うらしいが、私は気にせずにやっちゃう。とくに無料のブログに書いたことなんぞ、忘れたふりして否定できるのだ(⌒ー⌒)。
実は、売れないと言われている磨き丸太や四方無地の柱などは、たしかに量的には縮んでいるが、需要は決して途切れていない。むしろ底堅く出ている。
比較するのが、昭和30~40年代の住宅ブームに連動した役物ブームだから、現在は落ち込んでいるように見える。か、それが間違いなのだ。当時は建てられる住宅の3分の1には、床の間があったという。これは、戦前にもなかった高水準だ。
だから、人工絞り丸太とか、化粧張り集成材とか、役物もどきが氾濫した。
そんなバブルが弾けて、今は本当に和風・数寄屋づくりを愛している施主によって採用されている。
もともと役物は「意匠材」の意味であり、木材ばかりを指すわけではない。が、今や(林業界では)役物と言えば、磨き丸太とか無節・密な木目など美しさ・珍奇さなどを追求した木材を意味するようになった。つまりデザインとして木材を楽しむ利用法だ。
たしかに磨き丸太に、天井を支える構造材として期待することはあまりない。鴨居に耐震性を要求しても仕方ない。
そして、私がかねがね強調しているように、木材の最大の価値は強度などの機能ではなく、人間の官能に訴えるものなのである。視覚、触覚、嗅覚……また一部に聴覚もあるだろう。そしてストーリーという記憶もあるのではないか。
言い換えると、人の官能を刺激する素材であり、必要性より嗜好性である。欲しいと思ったら、益不益を越えて高値でも購入する。
その代表例が、役物ではないか。
ただし、役物イコール磨き丸太と考えなくてもよい。ようはデザインにより嗜好性を高めた木材商品だ。
そう考えると、木材の用途は、今こそ役物なのである。
もともと、役物の起源は茶の湯だと言われている。千利休などが、茶室をつくるのに雑木や曲がり木を使用したのだ。いわば欠陥材を感性で活かした。それは書院づくりのような大径木が使えず、当時は節だらけで、細くて、曲がりくねって、皮つき……を選んだ。反骨精神から建築に向いていないとされた木を茶室に持ち込んだ。
今こそ「売れない」とされている木を、高く売れる「役物」に変身させられる可能性がある。その鍵は、単にデザインに凝るのではなく、ブームを起こすマーケティング戦略と、販促戦術にある。
それは、ユニクロなり、AKBなりに学んでくれ。
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