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2013/08/30

チューリッヒに木造7階建てビル

スイスのチューリッヒに木造7階建てのビルが誕生した。そして、それを設計したのは日本人の坂茂氏。

http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2013&d=0828&f=national_0828_024.shtml

チューリヒの都心、シール川のほとりに木造の7階建てビル「タメディア新本社」が誕生した。木造でこれほどのオフィスビルは世界でも初めて。日本の建築家、坂茂(ばん しげる)の作品だ。スイスの優れた木造技術のお蔭で生まれたという。」

これは昨日のコメント欄に寄せられた情報だが、記事によると、何もスポンサーが木造を要求したわけではなく、「スタッフにとっての快適な空間、持続性、低建設費」という三条件に適合したのが木造だったという。そして世界でも、この規模は初めて、とある。

ところでこの記事には、肝心のビルの写真がない。探すと、この程度の写真は見つかった。建築中の写真もある。木造ではあるが、ガラスも多用して、鉄骨?も使っているのではないか。現代的でお洒落な雰囲気だ。

http://www.ma-che-rie.com/shigeru-ban-tamedia/

http://www.shigerubanarchitects.com/works/2013_tamedia-office-building/index.html

実は私は、このビルの建設を知っていた。というのも、昨年訪ねたスイスの街角で見かけたからだ。しかも、建材の加工現場にも訪問しているのである。

Dsc_0126


これは、エルレンホフという木材系の異業種コンプレックスの現場である。

一つの敷地内に、原木が山積みしてあり、製材所に設計、プレカット、さらにバーク肥料や木質ペレットの工場が合わさり、熱電併給も行っている。

その一角で加工していたのが「日本の坂茂の建築用の部材だ」と聞かれた。曲線が多いが、どのような加工機械を使ったのだろうか。


Dsc_0132


これが完成した部材。

一度組み立ててから、またバラして建築現場に運ぶそうだ。

この奇妙な鳥居のような形の部材が、どのように使われているかは、上記の記事の写真を見てほしい。

ちょっと気になるのは「世界最大」という点。たしかオーストリアで9階建ての木造ビルを建てていたはずだが……。スウェーデンにもあったんじゃないかなあ。
スイスにも、8階建て木造マンションがあった気がする。

もっとも、こちらはCLT(交差集成材)を使ったものだが。坂氏の設計では、集成材であるのは間違いないが、CLTには見えない。(逆に言えば、CLTでなくても、高層の木造ビルは可能ということだ。)

日本で木造ビルが建てられない(3階まで)のは、ひとえに建築基準法の規制のためだ。技術的にはOKだと取材したことがある。

まあ、部材が何でもいい。

私の興味は、建築そのものや構法ではなくて、この建材の価格であり、その原材料の木材仕入れ価格にある。

おそらく原木1立米単価は、日本円で数千円程度、それも下の方のレベルだろう。低建築費が条件だというのだから、建材だけが高価格であるはずはない。

それでもスイス(および周辺諸国)の林業はやっていけるのか。

そこが納得行かない。なぜ、安くてもやっていけるのだろう。
伐出コストが安いから? スイスの林業山は日本の山より険しく見えたし、それほど機械化が進んでいるとも思えない(日本よりは進んでいたが)。それどころか人件費は確実に日本より高い。そして林業系の補助金はない。

もしや、小規模な農家林家からの出荷は、あまり利益を重視していないのか……。木材生産で食っているのではないのかもしれない。

しかし木造ビルを建てたいという欲求と、それが森林地域にどう反映されるかは別の次元ではないか。

これは、合板でも集成材、CLTどれでも同じなのだが、これらの素材は川下(建設者・建築発注者)に喜ばれるのはよくちわかる。使い勝手の良さのほか強度、断面積の自由度も高い。無垢材よりよほどよい。
が、川上の人々に何をもたらしているのか。高く買ってくれるならよいだろう。が、安く買いたたかれるのなら……。その点がいまだに納得できていないのだ。

そして、もう一つ気になる点。これは上記の記事の中の坂氏の言葉なのだが、
実は、木を使った他の建築家の建物は、ほとんどの場合が鉄骨の方がいいようなものを、ただ木に置き換えているだけ

そうなのだ。私も、木造を売り物にしている建築物の多くで、そう感じていた。無理に木を使おうと気をつかって建てた印象が強い。

これは、もっと木を使ってくれという川上側の要望だ。しかし、本当に木でなくてはいけないのか、という点が不明確なのである。

坂氏は、木造でなければ、という設計をしたそうだ。それはわずかな写真だけで判断しにくいが、デザイン的には曲線が多く、木材ならでは感を醸しだしている。

ついでに、こんな言葉も発している。

スイスの木造の技術が世界で一番発達していて、それがあったからこそできた建築」
「具体的には、いいエンジニアがいるし、優れた木材の加工製品がスイスでは誕生していたり、木材をコンピューターで3次元的に切る機械があったりとか、そういう意味でスイスは世界一進んでいますね
」。

この点でも、日本は遅れを取っている。同じ設計図を使っても、建てられたかどうか。機械はともかく、人材という点ではもう手遅れかもしれない。今から施工者は木材の性質を勉強するかね……?

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木製品・木造建築」カテゴリの記事

コメント

ma-che-rie.comの「宮大工(寺社など)や数寄屋大工(茶室など)の監修のもと進められたという。」という記述は本人へのインタビューには無いですね。ソースは何でしょうか。「スイスの木造の技術が世界で一番発達していて、それがあったからこそできた建築」 と矛盾していますね。
 あと、そもそもスイス産材で建てられているかどうかは、書かれていない気がします。 スイスの木材自給率はどれくらいなのでしょうか? 内陸国だから輸入しても高くつきそうです。
 いずれにしても、この挑戦の自由度が素晴らしいと思っています。山にその結果が戻っていればもちろんさらに良いのですが。


宮大工の「監修」とは変ないい方ですね。たしかにデザイン的には自社建築を思わせる部分もありますが……。

全部がスイス産ではないと思いますよ。そもそも距離的にはオーストリアとか南ドイツの方が近かったりしますから。内陸国だからこそ、輸入が楽なんです。積み替えせずに同じトラックで運べますから。

それにしても、この手の建築、日本ではできないだろうなあ。。。

swissinfo.chのサイトの別の記事に書いてありました

木造建築への人気で、建設産業にも変化が出た。「木造建築を手掛ける建設会社大手は生産力を2倍にした」と、建築用に材木を精密加工する会社を例にモイターさんは言う。「一方で、例えば製材所にはあまり影響がない。欧州の木材に比べスイスのものはあまり使われていないからだ。スイスの木材は価格が高い分、不利だ」

素材を提供する川上が潤うには、何か遺伝子改良した超杉(スーパー杉)を作り出したりすればいいんでしょうか 世界で唯一の材 他が追いつくには数十年かかります 最初に作るにも数十年かかりますが・・

ほお、スイスの木はあまり使われていないという証言があるんですね。たしかに高いだろうから。
でも、外国と言っても国境を少し超えたオーストリア辺りからの輸入なんだろうな。

遺伝子改造して、どんな木質にしたらスーパー杉になるでしょうか。ヒノキのような材質というのは意味ないし、むしろ柔らかさが特徴の杉だから、もっと柔らかく。それをCLTにして強度を高めるとか。。。

香り成分とか何か有益な成分を作り出すように仕向け、成分を含んだ状態の樹木を収穫し、成分は採った後に『材木として』使う。

杉は沢筋に植えると言います・・・うんと水分をとらせつつ、『先述の成分』は水分中に蓄えさせる・・・そんな『樹木栽培』は、、、?!
(あり得ないか?!苦笑)

ふわふわの杉材で、ぶつかっても怪我をしない内装材にした方が無難じゃないてすかねえ(笑)。

とても魅力的な記事でした。
また遊びに来ます!!

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