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2013/10/04

木材は足りている?

現在、日本で展開されている「木づかい運動」。

これは、もしかして日本史上初めての事態ではないかと思っている。

史上初めて気づかいと木づかいをかけたシャレを考えた……ことではなく、「木をもっと使おう」と運動することが、である。

日本は森の国だ木の文化だというが、歴史的には木材は常に不足気味だった。山村の自給自足生活ならともかく、都市はもちろん農村でも木は足りなかったらしい。だから、非常に大切に、リサイクルしながら使った様子が史料にある。資材としても燃料としても、常に不足気味。農村でも、年々薪を取る山は遠くになり、困って藁を燃やしたりしていた。

それが近年、木をもっと使おう! である。

一方で、世界的には木材が足りないのは常態化している。発展途上国では燃料としての木材が足りないし、先進国でも用材としての木材は、過伐が起きて資源量の減少が囁かれている。森林面積が増えている国も、実は木材需要を埋めているのは外国からの輸入だったりするのだ。

世界的には森林は減少しているのに、日本はもっと木を使おう!というのはアンバランスではないか。

日本だって、外材を含めた需要と国内供給力を考えた場合、木材が足りていると言えるだろうか。そして森林の持続と木材の需要はバランスを保てるのだろうか。

現時点では、地球規模で森林は減っており、木材は足りないと認識されているのかもしれない。

もっとも、需要は供給されるから生み出される面もあり、さらに価格によって需要も左右される。しかも、今ほど木材代替素材が豊富な時代もないだろう。

木材が足りなければ、金属でも合成樹脂、あるいはガラスやシリコンなど無機素材はいっぱい。本当に木材でなければ困る使い道は意外と少ないように感じる。

そう考えると、実は世界的に見て潜在的に木材は足りているように思う。ただ使い方がカスケード利用されず、無駄に切り捨てられる木が多すぎる。そして流通の不均衡や価格の反映に正常な市場原理が反映されないため、足りない地域もあれば、余っている日本みたいな地域も登場するのではないか。

……どうも世界的規模で流通問題が起きているような木がする……気がする。

以上、思索途中メモでした。

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林業・林産業」カテゴリの記事

コメント

そうなんですよね。木づかいを推進していながらなんなんですが、
どんどん使おう、というのには抵抗を感じます。
なが〜く木づかい、か、気づかいな木づかい、としないとなあ…。
そうすると、スローガン的には弱くなる?

木づかい運動は、そろそろ限界に来ていて、基本的な木育が必要になると感じますね。木の良さや木のより良い使い方を伝えることが大切なんで、木の使う量を増やす……というのは、世界の趨勢から言っても違う気がする。
ここでも、量の林業を質の林業に変えていかなくてはならない……気がする(^^;)

国産材を原料とし、『立ち木価格の20倍くらいの』価格の加工新商品を開発して外国に販売する・・・その昔日本は、
パルプの原料としてとか建築材とかを『原料輸入』していたのですよね。世界的に『木が不足』というのなら、
木材料に高付加価値を付けた、日本ならではのプロダクツ輸出で海外からの『賞賛』も頂けるようにして、

そうなれば、『世界的な木づかい運動』に繋がるのではないかと。

東急ハンズで売っている広葉樹材とかの高値の一枚板、実はパルプ材から抜いていると聞いたことがあります。捨て値のパルプ材を高級品に化けさせるわけです。
アコギ? いや木材の有効利用でしょう(笑)。必要とするところに必要なものを提供すれば、価値はいくらでも上げられるのです。

  OHJII といいます。私はオーストリアの林業をこの目で見て、西欧のように、日本の林業が基幹産業となり、エネルギーのバイオマス化により、化石燃料を大幅に減少することを夢見ています。

  実は日本の森林資源は厖大です。資源を減らさないために、その生長量(今でも100百万m3/Yある)の範囲内で使うことは当然ですが、輸入を含めた森林利用量合計の80百万m3/Yを十分まかなえます。実は
日本の森林は人工林も天然林もほとんで放置状態だから成長が少ないのですが、もっと使い手入れすれば生長が大きくなり(使った後は当然植林する)、私は150百万m3あると見ていてます。日本の問題は技術がなく、コストも高く良品で安価な用途を見つけ出せないことです。私はエネルギーチップが最も近道の用途と思いますし、バイオマスエネルギーに大量に使い石油を追い出したいのです。私は西欧ができていることを学べば日本でも必ずできるはずと考えています。どうかご意見下さい。

YES-BUTでお話しさせてください。
(木質)バイオマスを『石油代替で利用する』・・・YESです。BUT、
所謂エネルギー効率(カロリー面や運搬性)で今ひとつかと。そこで、カスケード利用をしたら良いと=憚りながらご披露しますと、
チップとして一次利用し(家畜小屋の床など)その後、肥料に。更にもう一度『炭化処理』して、肥料もしくは燃料(バイオチャー)に。

間伐材を『土木用=屋外』に一次利用し、一定期間後に『燃料』利用・・・全天候フォレストベンチ工法に於いて今後、大量の間伐材利用が見込まれます。・・・屋外で使用している間に間伐材は乾燥しますので、その後の燃料使用に於いて有利です。

以上、意見として述べました。意見交換したいです。

この問題はコメント欄で語れないほど深くて複雑ですが、一点だけ。

バイオマスエネルギーの利用法は、何でしょう。オーストリアも含めて熱利用が主流のはずです。間違っても発電ではない。そこを見誤ると、統計の数字をいくらいじくっても意味はないです。
そして、日本で熱利用がそんな大量に求められているか? また配熱インフラもありません。

>日本で熱利用がそんな大量に求められているか?

私は、日本での熱利用は非常に大きいと思います。
灯油や電気での熱利用がもの凄いと思います。灯油(石油)の値段は将来大幅に上がるでしょう(途上国を含め、世界中で取り合いに成る。特に中国、インド。)電気での暖房は効率は非常に悪い(約30%)。

日本に唯一残されている熱資源は木質だと思います。木質の燃焼効率は非常に高い(約80%)。

インフラを作る事を検討すべきだと思います。

日本に木は余っている、とよく言われますが、熱利用に燃やしだすとあっと言う間に底を尽きますよ。
また北海道や東北は比較的暖房期間が長いですが、西日本で暖房入れるのは2~4か月でしょうか。配熱インフラにかかるコストを考えると、割に合わないように思うなあ。

OHJIIです。まず、日本の全体の最終エネルギー消費の中で暖房給湯の占める割合は13.5%と莫大ですが化石エネルギーが使われています(エネルギー白書)。日本の森林資源は大きいですがこれを減らしてはまずいので、毎年の生長分だけ使う事にすればいいですが、それだけでも1.5億m3の森林が使えます。しかし現在は製材用に0.2億m3しか利用してませんでその他は手つかずで放置されていて荒廃が心配されています。1.5億m3全て使えば輸入の製材を100%自前とし更に全暖房需要の40%程度は賄える計算になります。世界で森林を活用していない先進国は日本だけです。是非とも活用したいものです。詳しくは下記の私のホームページやブログをご覧ください。
http://www.ohjiiji.com/fo/indexbio.html
http://ironjw.blog.fc2.com/

最近、全国の山村に同じような数字を並べてバイオマス発電所建設を企てるコンサルが出没しているようですよ。
でも、現場の山を見ることです。どうやって材を出すの?それも燃やすために! コストは燃料費の10倍ではきかないかも。さらに作った熱を各家庭や施設に供給するインフラに何千億円かかるか。。。机上の空論の最たるものですな。

そもそも、こんな統計の数字を信じてはいけません。デタラメですから。

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