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2013/11/20

一斉林を多種多様な森にする

ちょっと思考メモ。

多種多様な樹種の森の重要性が指摘されている。もちろん、私も主張している。そもそも森林とは、地球上でもっとも複雑な生態系を備えた世界であり、多様性の象徴の面もある。

しかし樹種が少ない森では、昆虫や鳥獣などが生息しづらく、生物多様性全体が低くなる。さらに樹齢も同じだと林冠が鬱閉しやすく林床が裸地になりやすい。そして一斉林は災害に弱い。病虫害、気象害、そのほか酸性雨やら土壌保持力、保水力……など環境面に弱い。また経営的にも、モノカルチャーになって材価の上下などのリスクを強める。

・・・このように多様な森づくりが大切とされるのだが、それは裏返すと、あまりに日本ではスギやヒノキ、カラマツなどの一斉林が作られすぎたことを意味するのだろう。

そこで複層林施業や広葉樹施業、天然林施業、近自然林業……などが提案されるようになった。それ自体は私も大いに押したいところだが、ちょっと問題も感じる。というのも、多様な森づくりには、今の一斉林自体が間違いと考えがちになるからだ。
つまり、現在の一斉林を皆伐して、その後に多種多様な森づくりを行うか、択伐しつつ植林もして樹種樹齢をばらつかせるなど、一斉でなくするしかないと思ってしまう。

そして、「そんなの、いまさら無理だろ!」という気になってしまう。

でも、そんなに一斉林が駄目だろうか。

素人がこういってはなんだが、森林とはもっと柔軟性を持っているように思うのだが。そして一斉林を残して多様な森にすることも考えられるだろう。

たとえば速水林業のヒノキ林では、植物が213種発見され、同じ地域の天然林185種より多かったという報告がある。つまり天然林より人工林の方が多様性があったことを示すのだが、この場合も、人工林とはヒノキの一斉林なのではないのか。
ただ林間に多くの植物(ようするに雑木、雑草)が生えていたから多くの植物種が生育できたのだと思う。

同じことは吉野の林齢200年、300年の森を訪れても思う。多くの動植物が生息し、水源涵養や土壌流出防止機能は高い。

これらの森は、やはり一斉林だろう。300年前に一斉にスギの苗木を植えて育てたのだから。だが、その巨木の間にさまざまな広葉樹が育ち、草が林床を覆っているから、きっと生物多様性は高いはずだ。調査した記録はないが。(やろうよ、と言っているのに。。。)

つまり、一斉林でも林床にうまく光を入れたら、多様な森になる。そして上層木であるスギやヒノキと共存している。これって、林業的な経済林と生態学的な環境林の両立が可能であることを意味すると言えないだろうか。

さらに言えば、多様な森づくりは現在の一斉林を残したまま創出できるのではないか。それも時間をかけずに生み出すことが可能なように感じる。それが技術的に難しいのか意外と簡単なのか判断できないけれど。

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林業・林産業」カテゴリの記事

コメント

今日の記事は『問題提起』ですね?!

田中節・田中理論を各地に住む田中さん読者や支持者が実践してみたらどうでしょう!!
その『理論展開者・実践者』は普通の人で構わないと思います。(・・・何も、『専門の研究者・学者』で無くても良いのでは?という意味です。)

思い付きを実践してみたら良いと思うのです。普通の人は『思い付き』にも至らない!!==思いつく人は偉いです。また、其れを発信できるというのも、すごいです。

ニホンジカとの戦いが必至です。林床への受光を考えて本数を調整しますが、A0層があるところでも特定の種類しか生育しない場所が増えてきています。あるところでは、アセビが丸く刈り込まれたように新芽を食べられているところもありました(泣)。

いえ、「思いつき」です(^^;)。多様な森というと、どうしても天然林に近い森(樹種も樹齢も様々な木々が混在した状態)を描き、それと同じような森づくりは難しい、無理、と思いがちだが、どうだろう、と反問したわけです。もっと、現状(一斉林)を活かしたまま多様化させる道も描きたいと思ったわけで。

ただ、やはり強敵というか、チョー横やり入れてくるのがシカ害ですね。私も、なんでこんなに林床をきれいに下刈りするのか、高木層の生長に影響ないし、多様性が劣るではないか、と思っていたら、下草を刈り取ったのはシカだったり……。

かくなるうえは、どか雪に降ってもらって、深い積雪が春まで残るような年が10年に一度あることを願います。雪で動けなくなりシカなどが間引かれることを期待して……。

シカには伝染病とか無いんですかね?
あってもコントロール難しいから導入できないか

シカ肉を『欲しがり』ましょう!!美味しいです!!
ついでに猪も、どんどん『欲しがり』ましょう。獣害対策と『新食材開発・・・』

産地偽装あるかも。気を付けましょう。

ジビエ協会会員のベンツ仙人より

シカだけの伝染病となると、遺伝子改造でもして作らねばなりませんなあ。細菌兵器みたいだ。。。

あんまりシカ肉やシシ肉が流行ると、シカやイノシシを養殖して提供する業者が現れるんじゃないかなあ。。。狩猟より楽で、美味しく、安い(^o^)。

養殖の鹿や猪もあり得ると思います。だって、放射能汚染『肉』の心配は無いですから・・・。でも、

養殖業者が現れる程の『ブーム』になることは、歓迎しましょうよ!!
ま、其れはさておき、

猪にGPS発信器を取り付け、彼らの生態を観察し、効果的に『わな』をしかけ・・・などの取り組みも始まっていますので『養殖ブーム』の話しもあり得ると思います。

奈良に野生のイノシシの研究のため、発信器をつけてテレメーターで追いかける作業をしていた研究者がいるんですが、今はGPS付けたら一発で移動がわかりますね。
こうしたビッグデータを集めて襲来予想はできんだろうか。

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