母親に未来世代の一票を!
昨日からハンガリーのオルバン首相が来日している。23日まで滞在予定だ。
ハンガリーは、日本よりも過激な金融超緩和策を打ち出しており、いわばアベノミクスの見本。当然、安倍首相とも会談して意気投合? したのかどうか。
が、オルバン首相の政策で私が注目しているのは、金融政策ではない。
実は、オルバン首相が党首を務める与党フィデス・ハンガリー市民連盟は、昨年3月に、斬新な憲法改正案を発案している。
その中に議員選挙において「子育て中の母親には、2票を与える」という項目があるのだ。
人間は生まれながらに基本的人権が保証されるという立場から、0歳児であっても選挙権を有するという考え方からだ。ただ、さすがに投票は母親が代行する。正確には、現在選挙権を持たない18歳未満の子どもの代わりに、母親が投票するのを認めようというものだ。(ただし子どもが何人いても1票とするらしい。)
この憲法改正案は、国会での激しい反発に会った。そこで全有権者にアンケートで可否を問うた。結果は4分の3が反対であった。そのためオルバン首相は断念したのである。
この現実離れした構想は、いわば理想主義の賜物だ。が、同時に高齢化の進む社会で、成人だけに選挙権を与えたら、政策が高齢者視点になり目先ばかりを追ってしまって未来を見ないという問題点を突いている。
子供を抱いた母親が2倍の選挙権を行使できれば、子供の未来を考えた政策(を訴える候補者)に投じる確率が高くなるだろう。国の将来を考えれば、次世代の視点を政治に反映させる仕組みが必要なのだ。
なんと過激なのだろう。が、なんと清々しいのだろう(笑)。
壮大な発想を、とにもかくにも国政の場に持ち出し、国民アンケート実施まで引っ張ったオルバン首相に拍手したい。
それを少し矮小化するが、日本の森林政策にも未来の世代を見据えた施策が取れるような仕組みが必要ではないか。何より森づくりは人づくりよりも長い時間をかかる。未来を見つめて行動しなければならないのだ。
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