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森と林業の本

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2013/11/19

陸奥の海岸林

ちょっと寄り道したが、またもや八戸のお話。

視察した森の中には、海岸林もある。種差海岸と言って、このほど三陸復興国立公園入り。もともとあった陸中海岸国立公園を延長した形になる。

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そして、ここも津波被害を受けている。が、マツの海岸林が被害を最小限に抑えた地域でもある。

津波に破壊された漁協?の建物が今も残る。

岩手から宮城にかけてマツの海岸林が津波を防いでくれたか議論になっているが、ここは見事海岸林の役割を果たしたところとして林野庁も注目しているところだ。

陸前高田の海岸林が1本を残して全部流された、しかも流された木が被害を大きくした、と報じられたことからマツを無能視する人がいる。だが、相当おかしい。

そもそも、どんな樹種だって、津波に規模が大きければ流れて当たり前だ。それを、マツは流されたからダメで、たまたま生き残ったタブノキを取り上げて照葉樹は強い、本物の植生だから、とのたまうアホがいるんだから恐ろしい。

同じことは、台風で倒木が相次いだら、人工林だから倒れた、スギだから倒れた、という学者もいる。天然林だって、広葉樹だって、本当に強い風を受けたら倒れるよ。また生育具合にもよる。地形や地質にもよる。健康に育っていたのか、生命力が衰えていたのか。

そうした条件を精査せずに、短絡的な結論を求めるから自然は常に人々の朝令暮改の営みに左右されてしまう。

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これは、流された海岸林の再生現場。飛砂を防ぐための木柵で方形の区画をつくり、その中にクロマツの苗を植えている。

その中の前にある藁の簾のようなものは、水分を溜めて苗に供給する役割があるそうだ。

このような技術も長い歴史の中で蓄積したものだろう。その結果としてマツが海岸に適しているとされたのだ。

何より青森県南部地方は、今もマツ林が十分に残る。、気候に適しているのだろう。

この様子が何キロも続くのは壮観。今も工事が続いていたが、完全に海岸林が復活するのは何年先になるのだろう。

ちなみに、これは震災直後の仙台市南方の津波の跡。

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かろうじて残ったマツの海岸林が見える。

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コメント

津波の強さ/高さは海岸線から数キロ内の海底地形によるので、そこを見ずに樹種や生育状況の議論しても仕方ないですよねえ

「緑の防波堤」も、そのうち植えた木が枯れてコンクリートの防波堤に変わるんじゃないかなあ。

もっとも、どこでもマツを植えたらいいわけではないことも裏返しに言えるんだけど。

おはようございます。
 私は盛り土の種類も気になっております。山砂が安いので使われる傾向にありますが、さまざま樹木の治療を取り扱っているうちに、山砂の盛り土は生育に適していないと思っております。

 
 

瓦礫を積んで防波堤に、という発想は耳障りがいいんですけど、表土は難しいですね。それに大量に必要だから調達も大変でしょう。

「のたまうアホ」について、地元生態学関係者は呆れています。
神格化しちゃってるから、うかつに公の抗議はできないけど。
ところで、高速道路の盛り土部分に逃げて助かった人がたくさんいると聞きました。あれは山砂ではなかったのかな?

 わざと「筆が滑った」ところを突いてきましたね(⌒ー⌒)。
問題視する人は多いのに、ストップをかけない、かけられないのが困ったところです。

高速道路は別に森を育成するところじゃないから、山砂でいいんじゃないですか。

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