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2013/12/30

木づかいから森づくりへ

年末において思うところを。

この1年、興味を持ったのは「森づくり」である。

実は、私の中では「木づかいの時代」は終わっている。木づかいという名で、木材利用を推進するなんてことは、日本史上始めてだろう。歴史的には、飛鳥時代から20世紀まで、常に木材は不足し続けてきたのだ。そこに「木余りの時代」が到来して、あわてて木づかいを唱えている……というのが、私のここ数年の見立てだ。

そして、木を使えば、必ず次の世代に向けて木づくり、森づくりが必要になる。いくら、今は日本の森が飽和状態でも、今から森づくりを始めないと間に合わない。山に森がなくなってからでは遅すぎるのだ。しかし、今と同じ方法の森づくりでは、確実に失敗する。

そもそも、明治初年、あるいは太平洋戦争直後は、動乱と復興のための乱伐が進み、荒れた山をなんとかする必要にかられて大造林した。この頃の森づくりと同じことを21世紀も繰り返すのは危険だと感じるのだ。

また、かつての乱伐時代には、野生動物の減少をもたらしたが、現在は反対に増えている。これは造林を難しくする。一方で人間の人口は急減し続けるだろう。それは木材需要の減少とともに、とくに山間部を中心に限界化が進むことを意味する。かつて動乱時には、都市から田舎への疎開が行われたのと逆現象だ。

そんな時代の森づくりとは何か、を考えている。

ただし、それはモデルとなる画一的な方法ではないだろう。その地域社会、その環境条件、そして所有者ごとに求められる森の姿は違っているはずだ。その意味では、多様な森づくりを見つけ出さねばならない。
ただ100の地域があれば100の方法がある……というと、それが正しくても現実的ではないだろう。できれば整理して5~10程度の種類の森づくりベクトルを示し、その中で選択してもらうようにすべきではないか。

そこには量の林業あり質の林業あり。長伐期あり短伐期あり。一斉林あり近自然林あり。低コスト施業がいいのか丁寧な労働集約的施業がいいのか。バイオマス生産林や農用林があってもよい。そして景観重視や環境保全林も遺伝子保存地域も必要だろう。

できれば一定圏内に多様な森林地帯を抱え、有機的に結びつきながらさまざまな人間社会の森林需要に応えられたらよいのだが。

しかし、同時に「なるようにしかならない」というさめた気持ちも強い。決して中央集権的な政策誘導は成功しないだろう、という予感めいた思いもある。森林だけ、林業だけ、木材需要だけ、国産材だけを考えても全体像が見えない。

たとえば材価一つとっても、昨年の大暴落から一転、今年後半は高騰した。消費税増税の駆け込み需要が終わるとまた落ちると思えるが、気になるのは円安だ。この年末、為替レートは急激な円安を進めている。これは外材の価格急騰をもたらすだろうから、国産材に格安感をもたらして、今しばらく国産材の引きが強まるかもしれない。すると価格は高値推移もありえるのではないか、と思えてきた。もっとも、高くなりすぎると外材に追いつくし、なにより非木材素材に転換を誘うだろう。一方で円安で輸入品の高騰が進めば、日本経済全体が傾きかねない。
そうした経済動向が、また日本の森にも影響を与えるに違いない。

……そんなことを考えると、日本の林業の方向や森林のあるべき姿を大袈裟に考えるのが不可能に思えてくる。

 

新たなステージに進むか、成り行き任せか。年末年始はお休みしつつ、ゆっくり?ぼんやり?考えてみるとするか。

では、よいお年を!

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森林学・モノローグ」カテゴリの記事

コメント

田中さんへ

以下の考えに賛同します。
「しかし、同時に「なるようにしかならない」というさめた気持ちも強い。決して中央集権的な政策誘導は成功しないだろう、という予感めいた思いもある。森林だけ、林業だけ、木材需要だけ、国産材だけを考えても全体像が見えない。」

私も、これからはモデルがありそれを真似ればなんとか行く時代ではないと考えます。やはり、全国各地の里山、中山間地はそれぞれに違う歴史を持ち、限界集落化しているといっても様々ですから、その地域地域で生き残りをかけた戦略を立てないとそう簡単には問題は解決しないでしょう。
その時には、世界的な状況をシッカリと把握したうえでその地域の特長を生かした戦略を十分に練り上げないと難しい状況ですね。
次世代の若い血と地元の長老の知恵とが混ざりあり、練り上がるといいのですが、そのようなことが可能な地域はそう多くはないので、なるようにしかならない、という結論が出てくることになります。
林業再生や地域の再活性化という単なるスローガンでなく、地域の将来をどうするか、日本全体の将来をどうするかという視座を議論しつつ前に進むしかありませんね。
私は、誰でも、どこでも、楽しくできる新しい炭焼き法(松村式改良型ドラム缶炭窯)を広めることで、少しでも問題解決の糸口に役立てばと考えています。環境教育としての炭焼きが地域に根づき、そこから広がりを見せてほしいと考えています。
いずれにせよ、これからが日本にとっても、地域でも、本格的な生き残り作戦の展開がスタートすると考えています。

議論ではなくて実践を通じて地域社会、林業、森林、景観を変えていく道しかないでしょう。
各地で様々な試みが展開しており、それぞれに何らかの成果や失敗が産まれていると思います。
この場を借りて、宣伝しますね(笑)
京都では、左京区の宝ケ池公園の景観や植生を復元しようというプロジェクトが始まりました。
すでに9月から毎月1回の学習会が開かれ、来年1月12日には、京都府立大学で宝ケ池連続シンポが開催されます。
興味や関心があればご参加ください。

シンポの内容です。
日時;2014年1月12日(日)13:00〜17:00
場所;京都府立大学 大学会館2F 多目的ホール
テーマ;「宝ケ池の森・京都の身近な森の今を見つめる」
講演;
宝ケ池の現在の植生とその再生への道                 長島啓子
虫たちの世界と環境学習の視点からみつ宝ケ池の価値          斉藤準
宝ケ池周辺に生息するシカが森林に及ぼす影響と被害対策        高柳敦
京都市域の野鳥の生息から生物多様性を考える             福井
パネルデスカッション
宝ケ池の森育て

田中様

何時、やるんですか!!!!!
今しかないでしょう!!!!

来年は、田中山林王の森で森林再生実験を開始する時期ですよ。
いい時に山林を入手しましたね(笑)
もう講演会に出かける時間はないですよ。
自分の山林をなんとか、かんとか、田中人脈とみんなの力で再生してからにして下さいませ(笑)

こんな記事もありました。
ご参考までにお知らせします。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
間伐材を「宝の山」に バイオマス発電、小型設備がカギ
日本総合研究所理事 足達英一郎
(1/2ページ)2013/12/29 7:00

 従来は石炭火力発電所での混焼などに留まっていた、いわゆる林地残材や間伐材などの未利用木材を用いた木質バイオマス発電に、本格普及の芽が出てきた。背景は電力の固定価格買い取り制度で、1キロワット時当たり32円という価格(税抜き)が設定されたからだ。これなら採算にメドが立つとして、国内で数多くの事業が計画もしくは操業に向けて動き出している。
■森林の荒廃に歯止め
 林地残材や間伐材などの未利用木材の活用については、国内の森林の荒廃に少しでもストップをかけるというメリットが指摘されてきた。輸入木材に押され国内林業が価格競争力を失った結果、間伐すらままならない状態。仮に間伐が行われたとしても運搬コストを回収できず、間伐材が林地に放置される状況があちこちで見られている。
 この結果、本来、成木となるべき木材の品質が劣化し、価値を失うという悪循環に陥っている。さらに、土壌の劣化や土砂崩れの原因にもなるという。
 林野庁の推計では、年間に発生する未利用材は2千万立方メートルといわれる。これらに需要家が生まれ、相応の価格が付くなら、国内林業には朗報だ。これがインセンティブとなり、間伐が再開される森林も出てくることが期待される。
 ただし、木質バイオマス発電のプラント設備には、規模の経済が働く傾向がある。採算性を確保しようとすると、大型設備を志向することになり、大量の木質原料確保が前提となる。広範囲の森林に点在する林地残材や間伐材を集めてくることのコスト負担は大きい。逆に採算性を悪化させるパラドックスを生じさせたり、原料の調達が途絶えて施設の稼働率が著しく低下したりするリスクを生じさせてしまう。

 本当の意味で、国内の森林に眠る宝の山を蘇らせるためには、次の2つのことが課題であろう。
第1は小規模でも採算の取れるプラント設備の普及である。木質バイオマス発電の方式には主に(1)蒸気タービン(2)オーガニックランキンサークル(3)木質ガス化――の3つがある。小規模な発電に適したオーガニックランキンサークルや木質ガス化のプラント設備を製造する日本のメーカーは皆無に近い。事業者が海外メーカー製の設備を使うにしても、多くの規制が立ちはだかる。

つづき、
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
第2は林地残材や間伐材を徹底的にコストをかけずに山から集めるノウハウの開発と共有である。例えば、シンプルな架線を使った集材・搬出方法、低コストで造れる壊れにくい作業道の敷設、非林業従事者に対するチェーンソー講習、山林所有者からの入山の合意とりつけなどだ。
■ハード・ソフト両面で支援
 過去の経済産業省の推定では、林地残材を使う場合の調達コストは、素材価格がゼロだとしても、1トン当たり1万5千円近いコストが発生。その半分は集材・運搬のコストと見込まれている。
 国や自治体の支援策は、こうしたハードとソフトの両面で再構築されることが必要だろう。例えば、小規模な発電に適したプラント設備の開発、普及については、国内メーカーの研究開発を支援することも一考であるが、海外メーカー製設備の性能検査や各種規制の必要な緩和を進めることも現実的であろう。
 ソフト面については、講習や人材育成といった形に残らない側面でも、金銭的な支援が国や自治体から受けられるよう発想の転換が必要であろう。
 比較的有利な電力の買い取り価格の設定で、ようやく芽が出てきた林地残材や間伐材などの未利用木材を用いた木質バイオマス発電。この動きを国内の森林整備や林業振興の確かな道筋とするため、具体的な課題に即した支援策がいま求められている。
[日経産業新聞2013年12月12日付]

木質バイオマス発電をするには、色々課題があることがよくわかりました。

やはり、炭焼きから始めるしかないです(笑)

誰でもできる炭焼き法の普及活動から、以下のような連鎖反応がスタートします。

誰でも出来る小規模炭焼き(ドラム缶炭窯 50kg/回)の全国展開
→各地で、ビジネスとしての平炉炭焼き(5トン/回)の展開
→直火・炭文化の復活
多目的な炭の活用(土壌改良、水質浄化、調湿、防臭、アクセサリー製作、安全な食品添加物、二酸化炭素の削減化を見えるする環境学習、防災用燃料として利用、そして火遊びの進めです!)

久しぶりのしゃべり杉爺節の炸裂ですね(笑)。

私も、バイオマスエネルギー利用系は、小規模分散型だろうと思います。目先の効率や採算を考えて大規模化すると必ず行き詰まる。
炭焼きも薪ストーブもチップボイラーも、地域で展開してほしい。

私? 私は森で焚火しようかな。ああ、怒鳴り込まれるか(-_-)。

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