「女子高生ちえの社長日記」で学ぶのは…
三連休の最後の夜も、やっぱり読書……。というわけで、
「女子高生ちえの社長日記」 甲斐荘正晃・著 プレジデント社
実は、パート2以降も発売していて、それなりに売れたらしい。
これは小説仕立てだけど、ビジネス書。ようするに、突飛な設定でストーリーはあるけど、その過程でビジネスのイロハを伝えようというもの。その点では、「もしドラ」(もし高校野球マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら)と同じである。
ただ、完成度では数段劣る……(-.-)。まずストーリーがあってないがごとしで、当然ながら感動もしない。描写もイマイチ。ま、その点は仕方ないとしても、ビジネスとして伝えたい点も、表面をなでたようなもので、神髄を伝えたいという意欲が伝わってこない。もしドラの著者がドラッカーに入れ込んで、そのエキスを伝えたいという熱意のこもった作品なのに対して、こちらはまさにビジネス書の延長。
表紙の絵も、イマイチ萌えないし。。。
まあ、それでも会社の構造なり論理の基礎は伝わってくる。
たとえば根雪在庫(滞留在庫。死蔵。ようするに売れない不良在庫)の問題も、なぜさっさと処分しないかというと、帳簿上は赤字となるから担当者は責任を問われたくない……とか。財政赤字を先送りして、より膨らませる政府と同じ。
需要予測が外れて、Aは多すぎて在庫になり、Bは足りずに納品遅れ……なのに生産体制を変えられない工場とか。これって、木材業界でもよくありそう。(とくに国有林が需要を無視して計画通りに生産するのと同じ。「伐期が来たから!」という理由で材価が下がっても出し続ける(-.-)。
そういや予測の仕方をKKD(経験・勘・度胸)で決めるなんて事例も。
営業と生産部門の仲が悪くて情報伝達で齟齬が出るとか……。ああ、川上と川中と川下がバラバラの林業界そのものだ(;´д`)。
というように、経営の基本中の基本を知らない林業界の人は読むべき本かも(⌒ー⌒)。
もっとも、読んで納得して、でも改善しない、というのがありがちなんだけど。。。
以前、私は森林ビジネス塾というのを開いたことがあるが、実は同じことをやっていた。基本中のキを学ぶセミナー。決して林業理論のリとか、木材流通のモは教えない(笑)。扱うテーマは会議の開き方とか、値段の付け方とか、プレゼンの練習とか……ビジネスと経営の初歩を教えていた。
でも、受講者が現場に帰って活かすことはできたのだろうか……。
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