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2013/12/11

博打感覚で、木材価格予想

このところ、ゆるゆるの記事を書いてきたから、なんかマジで硬くて厳しいことを書こうかな、と思ったが、直近の話題は、材価高騰だろうか。

各地の木材市場で、たとえばスギ1立米1万6000円前後と、いっときの2倍以上の価格を付けていると聞くが、考えてみれば予想できたこと。消費税増税が決まって、駆け込み需要が高まっているからだ。そこに木材利用ポイントなどで「国産材の家を!」とけしかけた効果もあるだろう。

が、そんな需要拡大に際して、生産が拡大、つまり供給量を増やせなかったことが決定的だ。その理由はああだこうだと唱えられているが、個別事情はともかく、需要の先行きを読み損なったから、と言うのが最大公約数的原因だろう。
多少ともはしこく市場や建築業界に探りを入れれば、年末に向けて駆け込み需要が膨らむのは読めたはずなんだが。

と、後出しジャンケンのような評論するより、今後のことを考えよう。

まず、今回のことで来年は何が読み取れるか。

供給が少ないと、価格が上がる。……(おいおい、小学生の教科書みたいだ。)

そして消費税の駆け込み需要は必ず終わる(笑)。それが1月か2月か。 もしかしたら年末で終わるかもしれない。終わるときは突然だろう。遅れて出荷した材は、外れ籤を引く。

そして建築業界からは、国産材とは、欲しいときに手に入らないものということが知られてしまった。これで、やっぱ、電話一本で欲しい量が配達される外材だね! という気持ちになりかねない。そうなると、致命傷だ。

木材利用ポイント制度は、来年も継続させるらしい。消費税は、今後8%、10%と上がるのが規定路線だが、その分を木材利用ポイントでカバーする? 
仮に2000万円の木造住宅を建てると、消費税は現状5%が8%になれば、3%分の60万円高くなる。木材利用ポイントは最大60万円分。なんか、よくできた話だ(笑)。実は、この制度は、消費税が上がることを見込んで創設したんだよ、とか嘯いたりして。

経済や株価予想は基本的に博打みたいなものである。上がった理由(下がった理由)は、後からなんとでも付けられる。木材価格も、その一つに過ぎない。さあ、今後どうなるか。

私は、下がる方に1票。

ほかの業界はみんな自己責任で予想し、増産減産を決断する。それに外れると、シャープやパナソニックのような大手企業でも傾くわけだ。林業・木材業界だけが嘆いても文句を言ってはいけないよね。

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コメント

来年第一四半期に始まる暴落は10四半期を越え、発電用出荷が官民上げたキャンペーンで復活するが、原発を動かし始めたので「そんな高く電気買う必要あるか?」と批判が起き、木材発電も実質的に終了。 

なかなかシビアな予想ですね。暴落価格は数年続くと見ますか。

たしかに、来年後半あたりから木材需要にバイオマス用D材も参戦してきますね。でも、これは全体の価格を下げる方向に引っ張るかもしれない。。。。A材は当分厳しいだろうな。

田中様
お久しぶりです。
3寸角の4m特一が、55000円/m3だそうです。昨年同じ月の倍ですね。製材所は、「原木がない」と言っています。私としては、その価格でも供給が安定してあれば、良いのですが、「まず、無理だ」と思います。年末に現金が欲しい方が、原木を出すのでは・・・と見ています。暴落とは行きませんが、値が少し下がると慌てて、出す方がいるのではと考えるのです。私的には「今!でしょ!!」と言う気持ちなんですが・・・。良い材であれば、適正な値段で買いたいのです。これで儲ける方もいるでしょうが、圧倒的に損をする(損なような気分)方の方が多くなると思います。
ちなみに自民党が経済対策で作った大型補正予算は、年度を繰越ことのできないお金です。

宮崎は、上がっているそうですね。でも、いくら上がっても肝心のブツが出てこないのでは……。

仮に高値になっても、安定して出ていれば、使う方もそれを組み込んだ計画をつくってくれるのでしょうが、乱高下することで(国産材を)見放す可能性が強いと感じます。

地デジもエコカーも、需要を先食いした結果、2年前後苦しんで来ましたよね
今の住宅着工は消費税の駆け込みなのはハッキリしてます
アベノミクスには全然実体がないので、来年以降は消費税の反動で大きく落ち込み、それが数年続くのではないでしょうか

消費税は、次に10%に上がるから、その時にまた「駆け込み需要」がおきるんでしょうかね。。。
政府は住宅減税やらも行うそうですが、住宅建設とは器だけじゃなく、全体に出費を伴うものだから、絶対に景気はしぼみますね。

新築物件だけでなく、
増築、改築の先食いも少し気になるところです。

もともと建築は減少傾向にあるのだから、無理に逆らわず、ゆるやかな流れに乗りつつ、軟着陸地点を定めないと……。

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