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森と林業の本

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2013/12/16

山林王の植林本数

このところ、土倉庄三郎の周辺の資料が続々と集まっている。庄三郎本人ではなく、土倉家の縁戚関係が多い。不思議だ(^-^)。が、そのうち整理して紹介したい。

で、それとは関係なく、たまたま見つけた話。

「知られざる山林王たち」というサイトがある。

http://hon.bunshun.jp/category/sanrinou

なんで、こんな人々を私に取材させてくれないんだ……という恨み節は言わない(書いてしまった)が、永く中断していたと思ったら、ようやく更新された。

その最新号は、「現代に生きる日本一の山林王(後編)」では島根の田部家を取り上げている。田部家はさすがに有名だ。明治時代には2万5000町歩の山林を所有していたという。現在は4000ヘクタールほどらしいが。。。

もっとも、この山林はたたら製鉄に使うもので、主に木炭を生産していたらしい。そのためか林業界では、あまり林業家としては名が浮かばない。もちろん現在は木材も出しているだろうが。現在の本業は、KFC(日本ケンタッキー・フライド・チキン株式会社)のフランチャイジーだ。40店舗あるという。

なお現在の山林面積で言えば、吉野の北村家の方が上になる。たしか1万ヘクタールを越えていたはずだ。筆者は、北村林業を知らないのかな? ただ田部家も北村家も、取材が難しいことで知られている。

もっとも、そんなことに興味を持ったのではない。

こんな記述があったからだ。

近世では、幕末の嘉永3年(1850年)に生まれた21代目の長右衛門が、明治初年(1868年)から大正5年(1916年)にかけて、ほぼ半世紀のあいだに杉を158万本、ヒノキを38万本、それぞれ植えつけた記録がのこっている。」

合わせて約200万本近くの植林をした、と聞くと凄いことになるのだが、半世紀となると、それを50で割ることになる。平均すると年4万本? あまり多く感じない。
島根県の戦前の植栽密度はどれほとか知らないが、おそらく疎植だろう。1000本か2000本/ヘクタールくらいだとすると、年間20~40ヘクタールの植林をしていた計算になる。2万5000ヘクタールの中としては、そんなに多く感じない。あまりに大雑把な計算だが。

ここで引き合いに出すのは失礼かもしれないが、土倉庄三郎は晩年に「年間10万本から100万本植えた、平均して30万本ほどだろう」と語っている。それを60年は続けた。本数に換算すると、1800万本になる。これには、次男龍次郎が台湾で植えた分(1万ヘクタールの何割か)は入っていないはず。

吉野だから1万本/ヘクタール植えだとして、年間30ヘクタール植林したわけだ。

まあ、こんな比較をしても仕方ないか。

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土倉家の人々」カテゴリの記事

コメント

田中兄様

なかなか参考になる比較でしたよ。
「島根県の戦前の植栽密度はどれほとか知らないが、おそらく疎植だろう。1000本か2000本/ヘクタールくらいだとすると、年間20~40ヘクタールの植林をしていた計算になる。2万5000ヘクタールの中としては、そんなに多く感じない。あまりに大雑把な計算だが。」
とありますが、土倉庄三郎は建材の生産を目的として植林したのであり、島根の田部家は「もっとも、この山林はたたら製鉄に使うもので、主に木炭を生産していたらしい。」とあり、炭の生産にはこの程度で良かったのでしょう。

ちょっと疑問なのは、木炭用にスギやヒノキを植えたとは思えないので、植えた樹種がわからないんですね。
それとも、当時から建材用の山に切り替えつつあるのか? 現在の田部家の山は、多くがスギヒノキらしいですから。

……そういや、来年1月に島根に行く予定があるから、田部家の林業について聞いてこようかな。

私は戦前生まれで、里山の近くの貧乏農家の3男坊として育ちました。田んぼ、山林は共に約1.5Haを持っていました。当時の山林は雑木林がほとんどで、薪を取る為のものでした。1955年頃まで薪で、煮炊き、風呂を沸かしていました。薪を取るのは、おっしゃる通り皆伐です。山頂から山裾30m位の3角錐状に皆伐し、長さ1m位に切って薪にし、しょいこで沢筋の大八車がやっと通れる位の林道の有る山裾まで運びました。山裾に薪を積み上げ天井には杉の皮で屋根を作り(数年)乾燥させました。次の年は、その隣の雑木林を同じように3角錐状に皆伐します。
これを20年周期位で行うと、初めの場所に戻り手頃な薪の取れる雑木林に成っていました。
雑木林の自然萌芽と沢筋の利用が昔ながらの知恵だだった思います。

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