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2014/01/06

林業補助金は、いつからおかしくなったか

今夜は、ちょっと硬派(^o^)。

日本の林業がおかしくなったわけ、そして再生するのに何が必要か、について考えると、何よりも補助金に問題があると考える。

林業に多額の補助金を注ぎ込んだことが産業構造をおかしくしてしまい、事業体に依存体質を染み込ませた。だから、林業再生をもくろむなら、補助金全廃を目標に掲げるべきだ。

とはいえ、いきなり全廃したら確実に林業界は破綻するだろうから、5年10年かけて補助金を徐々に削減し、必要な助成部分と切り捨てる部分を仕分けすべきである。

……これが私の基本的スタンス。これに対しては、異議を認めません(笑)。

さて、この立場から林業界を見渡すに当たって、「いつから林業の補助金は登場したのか。いつからおかしくなったのか」を考えてみたいと思う。

そこで戦後の林政史をひもといてみる。

戦前はもちろん戦後も林業に補助金はほとんどなかった。むしろ林業は優良産業であり、林業の生産額は日本の財政を動かしていた。正確な数字はわからないが、明治初期のGDPの何割かは、林業が生み出していたはずだ。また戦後の高度経済成長下の材価の高騰は、林業に巨万の富をもたらした。

わかりやすい国有林経営でみると、戦後は一般会計から切り離されて国有林野特別会計にされたが、ずっと黒字続きで一部を一般会計に繰り越すほどだった。1950年代,60年代に外部に出された利益は920億円にもなるという。今の価値に直せば、額面の10倍以上だろう。

それが恒常的な赤字になり、借金財政に転落するのは1975年以降だ。おそらく民間の林業界も、多くの経営が傾きだすのは、同じ頃だろう。

林業関係の補助金が登場するのも、だいたいこの頃ではないか。ただ何を以て林業の補助金とするのか定義づけるも難しい。また林業関係に支出される助成は、いつからどんな項目だったのか正確に調べられない(知っている人がいたら、教えてください)。

国有林の場合は、今でいう公益的機能にともなう部分、つまり治山費用や保安林の造成、林道工事費……などに一般会計から支出し始めたらしい。さらに国立公園や保安林の管理費、さらにマツクイムシ防除とか山火事防止などにも支出するようになる。特別会計内で行うべき事業なのに一般会計からの支出したのは、補助金と同じだろう。
民間も、国や都道府県がこれらの項目と似た補助金が設けられたのだろう。(具体的な補助金の内容がわかる人、教えてください。

それでも、造成に長期間が必要で公共性も高く、天災の影響も大きい森林には、国費投入も仕方がない面もある。とくに森づくり(造林関係)は、数十年後への投資だから、民間資本ばかりに頼るのは無理があるだろう。……と納得できなくもない。

ここで注目すべき言葉が、某書籍に載っていた。1987年に林野庁の某人物が発した言葉である。
「いくら赤字で困っているとはいえ、経済行為をともなう費用まで要求できない」。
つまり、森林整備のための伐採だとしても、その木材を販売したら経済行為になるから、補助金は使えない、使うべきではないということだ。
そして「これが最後」。これ以上は求めないという意味だ。

だが、今はどうだろう。もろ経済行為である利用間伐、つまり木材を販売して利益を出すための伐採にも、堂々と補助金が出る。むしろたくさん木を出す(販売する)と補助率が上がる。間伐どころか主伐にも税金が支出される場合もある。もちろん販売利益を収入としつつ、補助金も受け取るわけだ。かつての林野官僚の「良心」は吹き飛ばされたかのよう。
国有林も同様だ。そして国有林の膨らんだ赤字総額3兆円以上が一般財源で肩代わりされて、特別会計も昨年消え去った。

いつのまに最後の歯止めを失ってしまったのだろう。個人の経済行為に税金投入するのに違和感を持たなくなったのだろう……これをモラルハザードというのではなかろうか。

この歯止めが外れたのがいつで、きっかけは何か、興味がある。でも、調べるのは億劫だなあ。きっと調べる過程で気持ち悪くなり、ムカつくよなあ。

誰か、代わりにやってください(⌒ー⌒)。ああ、また他力本願の悪い癖が出た。。。

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コメント

ガツンとやっちゃってください。

ガツンと……誰にすればよいでしょうか(^^;)。
ここは得意の「他力本願」で、誰かやってください(^^;)\(-_-メ;)。

水源税にみられるように、森林は林業だけのものではない、という理解が進んだせいもあると思います

初めて書き込みいたします。

補助金漬けになったのは、補助金を執行することが目的化しているからではないでしょうか?
誰のための補助金か?国や県の役人のためではないかと思える局面が多々あります。

林業だけでなく農業もそう。こんなこと言う私は、実は地方の農林事務所の役人デス。

この前のうちの所長の発言なんかアキレましたよ。曰く、
「林業なんて、どうせ補助金無しじゃ成り立たない産業なんだから、
ヲマエ(私のこと)の役目は補助金を1円でも多く地域に持ってくることダロ。
だったら、つべこべ言わずにさっさと言われたことをやれっ!」ですと。。。

農政出身のこの所長は、補助金に完全にマヒした田舎役人の典型です(泣)

たしかに森林は林業だけのものではない。……これを逆手に(実態は林業であっても)公益的機能には税金を使えと言い出した最初の人は、もしかしてスーパーアイデアマン?(笑)
もっとも、今は公益的機能の中に地域振興まで入っていますけどね。

そう、最初の段階の補助金とは、緊急措置だったり大いなる意図を以て企てたはずだったんです。ところがもらう側は「もらえるものは取れ」「くれなきゃやらない」と開き直り、役人ほか補助金実務担当者はそれ自体が仕事として定着して、補助金業務がなくなると自分の居場所がなくなるから必要なくても無理にでも取るように押しつける。そんな構図がかいま見られますね。

こんばんは。初めてコメントを書かせて頂きます。大学で林政を学んでいるものです。補助金に関しては、どの補助金を削減すべきかが重要になると思うのですが、田中さんはどのような補助金が削減の対象となるべきかと思いますか?また、最終的に林業がどの様な形に向いていくことを望みますか?経営が成り立つのが、林業の最終形になるのでしょうか。よろしければ、ご意見お聞かせ願えたら、光栄です。よろしくお願い致します。

林政学を学んでいるなら、ぜすひ日本林業の補助金の変遷と目的外使用について」を卒論テーマにしてください(笑)。

こまかな定義付けは研究者に任せたいですが、明治や大正時代でも、林道開設や索道設置には補助金があったようです。また造林補助金なくして戦後の大造林は不可能だったでしょう。
やはり民間資本だけでは先に進まない事案を後押しする効果はあります。が、経済行為にまで税金を熨斗つけて渡すのは間違いですね。
林業は50年100年単位の収支で計算すべきです。

風呂敷を広げすぎて畳むタイミング(というか畳むに畳めなくなって)を逃してしまったので、公益的機能とか屁理屈付けて広げたままにしているのだと思いますよ。
さっさと畳んで別の風呂敷を広げれば良いのにと・・・。

風呂敷広げた時点で、補助金を受け取る方だけでなく出す方(と言っても自分の金ではないのだが)まで依存症になったのだと思います。止まらない止められない。止めると禁断症状が起きるのです(^^;)。
だから、風呂敷畳んでも、次の風呂敷を出したら、フラッシュバックが起きます。

こんにちは。ご意見ありがとうございます。今、自分の趣味で林政を学び、研究室は土壌学を専攻しているので、専攻を変える機会があれば、提示いただいたテーマも考えてみようと思います。or趣味で研究しようかと思います。林業は、50年100年単位の収支で計算すべきとありましたが、そのような収支計算が出来ない背景には何があるのでしょうか。ご意見お聞かせ願えれば、幸いです。よろしくお願い致します。

横から失礼します。
収支計算だけなら出来るのでは?
収支計算の結果、ご飯が食べれられるかどうかは別にしてですが。

個人的な感覚としては、林業は自分の代で投下した経費は回収出来ないモノだと思っています。

上2つのコメントを見逃していたようです。

収支計算ができないのではなく、面倒でしょうね(~_~;)。物価も変化しているし、古い時代の人件費や経費の記録を探し出さないといけないし。
また間伐と主伐の木材収入なども計算しないといけません。
たしかに一代で経費は回収できることは少ないでしょう。もっとも、最近では100年たって3代に連なっても回収は厳しいと思います。
ただ美しい森をつくって世間から評価を得た利益もあるかもしれない。あるいは森で遊んだり、公益的機能も含めて享受した利益を計算に入れると? また別の世界が見えてくるのではないですか。

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