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2014/01/19

投機と投資、資本と資産

私もメジャーな経済や社会問題を扱うジャーナリストめざしていたら、別の人生歩んでいたかもしれない……と思うんだが。

そこで、少し経済的な思索を。

現代の資本主義には、株式会社という存在がある。それは資本(マネー)を集める手段として、株券を発行するわけだが、それを買う人がいることで株式市場が成り立っている。そこで株を買うということは、株を発行する会社が将来伸びることを見込んで「投資」するわけだ。

株を売ることで資金を集めた会社は、それで事業を行い、利益を出して成長すると、株の価値は上がり、また配当金もあり、投資した人に還元される。

だが、このシステムを利用して、株の価値の上下をにらんで売買する人が現れた。その会社の将来なんぞに興味はなく、単に購入価格より高くなったら売って利ざやを稼ぐことを目的とするわけだ。だからデイトレードなども行われる。これは「投機」というべきだろう。

そして、現実のマーケットは投資より投機で動いている。ときに巨大なファンドは、小さな国を破産に追い込んでも利ざやを儲けることに邁進する。そこまで行かなくても、さまざまな思惑で会社の成長どころか下落を狙うことさえある。

これが経済を長期的な目で見ることを失わせ、健全な発展を妨げていると思うのだが……。

森林を運用する林業でも同じことが起きていないか。

森林という資産に長期的な「投資」をして、資産価値を上げることが本来の林業なのに、多くの人が「投機」目当てに動いているのではないか。森林から短期に利益を上げることを期待してマネーを流し込み、それ以上の資本を回収しようとする。たとえば借金で高性能林業機械を購入して、どんどん木材生産して利益を出す、みたいな発想だ。

ようするに目の前の利益で考える。

しかし、資産=資本プラス負債だと理解したら、ときとして資産を減じてしまうだろう。
株の売買をしている人(たとえば素材生産業や木材産業?)はそれで儲けた損したと短期に判断するのだが、肝心の森林所有者は資産価値を落として完全に損してしまう。すると、森林を投げ出す。いわば会社を廃業か破産させるようなもので、株は紙切れになるだろう。それでは公益的価値まで減じてしまう。

森林の資産価値を上げることを目的にしたら、短期の利益に追われないで済む。もちろん長期投資すれば必ずしも上がるとは言えないが、それは投資の失敗であり、考えた末のことならあきらめもつく。森林を瞬発的な投機対象にされると、森が痛めつけられるのだ。

なんとか林業を「投機」ではなく「投資」にする方法はないだろうか。林業改革の方策の一つに、「森林の証券化」も考えられるのだが、この状態だと難しい。

……こういうことを熱心に考えて、森林経済ジャーナリストに衣替えするかねえ。

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コメント

日本の林業の歴史を振り返ってみよう。それは、2つの林業に分かれてきたと思う。1番目は建材を得るため、2番は薪を取る為。1番目の林業は大径木を得るために、数100年のスパンで木を育ててきた。2番目の林業(薪、炭)は20年周期で行ってきた。前者は数100Ha の山林を抱え、3,4世代に渡る事業が当たり前だった。後者は数Haでも、1代限りでも生計は成り立った。今、林業家と言う時、前者と後者がごっちゃに含まれ、林野庁の保護の元の保証金で成り立っている。
はっきり言って、今、薪や炭を求める家庭はほとんど無い。
今林業と言う時は、建材を作る林業で有るはずで有る。しかし、小面積の林地所有者は真の林業をやるわけでは無く、本来建材を育成する林業家の邪魔をするだけの存在になっている。
これは農業(特に米作)にも言える。本来時給自足の為の農地を持っていた人たちが兼業農家と称して農業に全く寄与していない。
こんな農林水産業を続けてきた農林水産省に大きな責任が有る。TPP について騒いでいるが、来るべくして直面しているだけだと思う。

株の売却益には税金がかかっていて、その税率の多寡によって株式市場を政府が間接的にコントロールしている、なんて常識ですよね
森林についても、利益への課税の際に所有年数などの条件を付ければいいのでは?

建材を生産するだけが林業ではないし、また建材用にも10年20年で育つ木材もあるから、必ずしも生産目的の差を強調する必要はないと思います。ただ、目的の違いから時間の差が生み出されるのは事実で、それを政策的に整理しないと、「投機」に走る経営者が増えるでしょう。

補助金も、年単位ではなく10年20年単位で出せば(たとえば20年後に森が育っていたら支払われる、あるいは成林しなかったら返却を命じられる補助金なら、「投資」を意識するのでは?)、少しは違いが出るでしょうね。金を出す入り口ばかり見ずに、出口の審査が大切です。

曰く『・・出口の審査が大切です』・・・同意しますっ!!
出口からの『逆算』の発想が大事です。

すべての補助金を「伐採後、再造林して成林したのを見届けてから支払う」としたら、誰も申請しなくなるかも(~_~;)。それはそれでよいけれど。

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