京都北山の巨大伏状杉
昨日の続編。
京都の北山に屋久杉に匹敵する巨木の森があることをご存じだろうか。
片波川源流から井ノ口山にかけて、推定樹齢1000以上の杉が数十本生える巨木の森があるのだ。ほかにもクリやモミやツガなどの巨木があちこちに見つかっている。
ただし、屋久杉なり、昨日の千本山なり、ほかの巨木の森とは様相がかなり違う。直径が1メートルの木が林立……というイメージで捉えると唖然とするだろう。
樹齢以上に目を奪われるのは、その異形の樹の形だ。
私が最初に訪れたのは十数年前だが、少し雨が降っていて、ガスに包まれていた。白い世界にこのような黒い姿が現れたときは、禍々しい、と書けば怒られるかもしれないが、巨木を前にした感動よりも、異世界に紛れ込んだかのような雰囲気を漂わせていた。
根周りが14・7メートル、胸高周り18メートル。その樹齢は、約2000年と推測されている。
写真に写っているのは、同行したカメラマン。
この樹形の理由は、肝心のスギが、ウラスギとか芦生杉とか呼ばれる伏状性の強い種類であること。伐採したり折れても、その切株・折れ口から萌芽が伸びたり、枝が地面についたら、そこから根が出て幹になったりする性質を持つ。
おそらくこの木も、1000年以上前に、折れるなりしたが、その後も成長を続けたのだろう。ちなみに、この地域の巨大杉は、みなこのような樹形をしている。もしかして、平安京の造営時に伐採されたのかもしれない。あるいは台風などで一斉に折れたのか。
なお、上記の杉は、個人の山にあるから、勝手に入ることは禁じられている。
それなのにマスコミも含めて勝手に侵入し、勝手に報道するケースが後を絶たないそうだ。なかにはツアーを組んで客を連れて行く「ガイド」がいたり、木の周りで宴会したりされて困っているとか。
私は、後にもっと厳密に侵入を禁じないのですか、と山主に聞いたところ、「山は先祖からの預かりものだから、完全に拒否するつもりはありません」と応えられた。ただ、持ち主にちゃんと届けて入り、森や木を傷めつけないような扱いをしてほしいという。
「先祖からの預かりもの」という言葉に、いたく感動したのである。
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