鳥獣保護法改正案とドロップネット
鳥獣保護法の改正案が、閣議決定されたそうだ。
鳥獣保護と付いているが、今回の改正はむしろ有害駆除をしやすくする法案。法律名と目的に鳥獣の「管理」を加えるそう。鳥獣保護管理法?とかになるのだろうか。
上げられているのは、
・猟銃の夜間(日没から日の出まで)使用の一部解禁。(都道府県の実施する捕獲事業)
・集団で組織的に捕獲する業者の認定制度の創設。
・わなや網で捕獲する免許取得年齢を現行の20歳以上から18歳以上に引き下げ。
・住宅地でも麻酔銃による捕獲を可能に。
また都道府県は、生息数の増加や、生息地の拡大している鳥獣の管理計画を定める。
……といった項目が並んでいるようだ。
ただ、この改正案に反対する動物愛護家もいるらしい。
それで思い出した。森林総研の研究で、ドロップネットによるシカの捕獲研究・実験が行われていた。海外では一般的だそうだが、日本ではほとんど試みられていない。
現在の駆除は、どうしても銃器や罠などが多いが、作業道の上に網を設置して、数日間餌付けをしつつ無線LAN映像を飛ばす。
そして遠隔操作で網を落とす(パソコンでクリックするだけみたい)ことで群れごと捕獲するというアイデアだ。
北海道の実験では、12日で16頭捕獲というから、なかなかの確率だ。
捕獲後は、電気ショックで絶命させるそうだが、これは肉利用には向いていない。が、むしろ生け捕りの可能性を広めるのではないだろうか。網に絡まったシカを生きたまま縛り上げるか麻酔注射するなどして、生きたまま屠殺場に運ぶことも考えられる。
なぜなら、野生獣の食肉化の大きな壁は、解体だからだ。本来は射殺後その場で解体して血抜きをするのが理想だが、それでは技術取得者も必要なうえ、場所が山中となり運搬も難しい。
しかし、車の通えるところでドロップネットで生け捕りして、専門解体場に運べたら、新鮮で専門技能者による食肉化がやりやすくなる。また駆除猟師の心理的負担を減らす面もあるだろう。(もっとも、生きたまま縛ったり運ぶのも難しそうだが……)
ともあれ、あの手この手を取らないと、解決しないだろうね。
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