グリーン購入法と竹パルプ
たまには「竹林ジャーナリスト」としての情報と意見も……。
グリーン購入法の基本方針が見直され、対象品目に竹パルプを使った紙類が追加されることになったのをご存じだろうか。
26年度から、コピー用紙や印刷用紙で使用するパルプの判断基準に、竹を原料としたパルプ~ようするに竹紙を加えることになった。
「竹パルプを紙の原料として使用することは、手入れされずに放置された竹林の里山や森林への侵食を防ぐとともに、二次的自然環境を持続可能な形で保全・利用することにつながり、生物多様性の保全、水涵養機能の保全、土砂崩壊防止対策、森林吸収源対策等の森林の有する多面的機能の維持、資源の有効利用等に大きく貢献するものと考えられ、紙の原料としての竹パルプの利用を積極的に推進することが重要であるとの判断に至った。
このため、紙の原料としての竹パルプの使用を推進していくことの重要性を鑑み、来年度より竹パルプを「間伐材等パルプ4」として間伐材パルプと同等な環境価値を有するものとして総合評価指標の基本項目に位置づけ、その使用を促進するためのインセンティブとすることとする」
http://www.env.go.jp/policy/hozen/green/g-law/archive/h25com_02/mat02.pdf
と、グリーン購入法の方針を検討する委員会で決定した。
なかなか朗報だが、この委員会の議論に目を通すと、何やら隔靴掻痒。
もともと竹パルプは、これまで草と同じ扱いをしていてポイントが半分だったところを、間伐材同様のポイントとする、ということなのだ。
で、この間伐材パルプというのもグリーンとされているのだが、その定義が曖昧。だいたい間伐材と主伐材の区別なんぞできるのか、いや、森林経営の手法の一つとしての伐り方の問題であり、木質的に区別するものではないだろうと思う。直径80センチの間伐材を刻んでチップにして紙を作ってもグリーンなのかい? と皮肉を飛ばしたくなる。
しかも、重きを置いているのは明らかに古紙である。古紙の配合率の定義について延々と議論していたようで、紙の材料から見た環境の視点が妙にずれている。
古紙は紙を一度作ったから生まれるものであって、すべての紙が古紙100%で作られる、なんてことはあり得ない。古紙を主要材料とするのではなく、あくまで味付け程度でよいのではないか。
それなのに古紙にこだわるものだから、未利用の竹を100%使った紙は、古紙を配合していないことになるからグリーンには適用されないらしい。
材料として真正面から捉えるべきは、低品質な材なり端材なり林地残材である。あるいは森林認証材だろう。
どうも環境省の発想は、林業の現場とのズレを感じるのである。
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環境省の役人になってる人は、ほとんど森林の実地経験は無いのでは?
大学演習林で実施されている実習のほとんどは農学部関連で、進路は農水省ではないかと思います
さらに内容は森林生態学が多いと思います
いわんや林業をや
投稿: か | 2014/03/10 01:12
昔から環境省は理学系、農水省は農学系、と言われてきましたね。
環境省の役人で、森林に関して触れたことあるのは、理学部の中でも生物系の一部だけでしょう。ましてや産業としての現場は知らないだろうなあ。
投稿: 田中淳夫 | 2014/03/10 09:39