秋田の釈浄因
昨日は、琉球王国の蔡温を紹介したから、次に訪れた秋田県の人も紹介しよう。
それは、釈浄因である。(本名、照井浄因)
名前の通り、お坊さん。しかして、唯物論者?なのである。神も仏もあるものか、なのである。
もっとも、その点で紹介したいのではない。彼は、むしろ農学者であり農業指導者に近い。そして山野のことも語っている。
実は、彼については以前(10年くらい前だが)、小さい記事にしている。それを自分のホームページに掲載していたのを今頃思い出した。というか、改めてこの名前で検索してみたら、自分のページがトップに並んでいた(^o^)。思わず読み返す。いいこと書いているじゃないかぁ。
http://homepage2.nifty.com/tankenka/sub3-18.html
とりあえず呼んでいただければよいが、少しだけ引用すると、
亨保十五年(1730)生まれで、今も平鹿町に残る玄福寺の第十八代住職だった。浄土真宗の僧侶でありながら農業技術者でもあり、「玄福寺開き」と名付けられた新田開発で藩からも表彰を受けている。だが注目すべきは、彼の自然観、あるいは生態的発想である。
現存している釈浄因唯一の書と言われる「羽陽秋北水土録」は、米づくりの技術から農業土木、農村政策、農村信仰、そして宇宙論まで収められた大部の作品である。なかでも注目すべきは、森林の環境に及ぼす影響に言及する点だ。山林の良材を伐り出して売ると得失の二つがあるとし、目先の利益が「得」ならば、持続的に山の産物が手に入らなくなり、水不足を招く「失」があるとする。だから樹木を伐ることを禁止すべきだと唱えているのだ。
著書である「羽陽秋北水土録」は、一部ネットにアップされているようだが、読むのは投げ出した。漢文だし、難しすぎる……。それでも、こんな一説がある。
「万物ヲ養育スル」のは、樹神の徳が催す雷雨であり、「乱リニ大樹ヲキリ、樹神ヲ恐レザルコト大ナル謬リナリ」とし、森林が水を生み出すことを説き、乱伐を戒めるのである。
ほかにも米の遺伝に関する研究?もしていて、ある種の遺伝の法則も発見している。もちろんメンデルよりずっと早い。
鎖国ニッポンの中に、まさに突然変異的に世界的な論考を独自に生み出した人がいるのは、興味深い。
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