アーバンフォレストリーとアーボリカルチャー
日より、アーボジャパン主催の「アーボマスター講習会」。私も覗かせてもらった。
会場は、生駒山中の大阪府立公園むろいけ園地。その中のアイアイランドの研修室。
アーボリカルチャーの世界でアメリカの第一人者を呼んで開催する講習会だ。
非常に密度が濃い内容であったが、今日から5日間、朝から晩までみっちり行うものなので、初日を覗いただけの私がここで勝手に報告することは差し控える。
ただ印象深かったことを一つ。
まず午前中は座学だったのだが、そこでアーバンフォレストリーという言葉が登場した。一方で、アーボリカルチャーが近年登場したことを紹介している。
そこで会場から質問。アーバンフォレストリーとアーボリカルチャーの違いは何か?
アーバンフォレストリーとは、意訳すれば伝統的な都市部の樹木管理……という意味合いである。昔から、都市部にある樹木(街路樹もあれば、庭木、公園……)を伐ったり剪定したり、という作業はあった。それなりに担当する人もいた。しかし、それは日常的な技術を取り入れたものだった。個々人の技と経験で行っていた。
そして、その中から生み出されたのがアーボリカルチャーなのである。高木に登り、必要な作業を無駄なく安全に行う。こちらはロープワークにしろ伐採方法伐採道具にしろ、科学的で新しいテクニックを取り入れた世界。先進的な要素で成り立っているのだ。
だからアーバンフォレストリーの中にアーボリも含むが、アーボリは時代の先端部分で専門を特化させている。だから、講義には物理学的な要素も登場し、内容が理論的だ。
……このような説明がされた。それを聞いて私が感じたこと。
ああ、日本の林業は伝統的なアーバンフォレストリーのレベル分のまま止まっている……。
アーバンではなくルーラルかもしれないけれど、科学や理論を十分に取り入れていない。経験則を重んじ、系統だったシステムもない。それは作業のことではなく、教え方や学び方の分野にも顕著だ。伐採一つとっても、受け口・追い口・ツルの関係……を理論的に新人に教えているろうか。身のこなしやチェンソーの持ち方だけでなく、心理面も含めて安全も理論的に教えているだろうか。そして造材は、木取りは。労働形態は。
何よりも、常に新しいものを学び取り入れようという心構えは身についているか。現場に重機を導入するだけが先進林業なのではないだろう。
ちょっとショッキングな映像が続いた。
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