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2014/04/18

「林業は人手不足」のからくり

先にメールで質問された。「林業界は人手不足、若手不足というこれど、一体何人いたらいいんですか」と。

そんな難しい質問、私にしない方がいいよ(ーー;)。。。

私の返事は、「そもそも本当に人手不足なのか」云々。。

あらためてこの問題を考えてみた。

いつの頃から林業は人手不足と言われるようになったのだろう。一方で、林業は構造不況で儲からない、食えない、とも言っているではないか。儲からない業種が人手不足というのは矛盾している。今いる人が食えないのに、もっと多くの人を雇えば仕事の取り合いになって、いよいよ食えなくなるだろう。
いや、緑の雇用などで新規就業者を募る際は、補助金つきだから、いわば失業対策だろうか。そのために無理に仕事を作っているケースもある。山村の失業者を雇用するだけでなく、都会の失業者を山村に送り込む効果も見込んでいるのか。

実は林業が「人手不足」と言われ始めたのは、「間伐遅れ」の指摘と軌を一にしている。

つまり、戦後の大造林で育った人工林が間伐の時期を迎えているのに、十分に間伐するだけの人数がいない……これを「人手不足」と呼んだのだ。しかし、林業が好景気なら、黙っていても人が集まり間伐もするだろう。間伐遅れは林業では儲からないから起きた現象だから、人手不足とは別次元である。

だいたい林野庁が間伐遅れを指摘するのはなぜだ? 人工林が荒れると環境的に劣化することを心配しているのだろうか。しかし、そこに産業としての林業振興の意図を含んでいるように思えない。そんなに森林環境を心配しているのか? あるいは地球温暖化防止にひっかけての間伐推進(二酸化炭素削減)だとすると、地球環境を心配しているのか?

そのあげくに切り捨て間伐という産業的には無駄な施策を推進し、さらに列状間伐という情けない技術を生み出した……。これが森林環境を改善しているとは思えない。むしろ森林を劣化させているのだが。

このように「林業は人手不足」という言葉には、大きな矛盾を感じる。現在は、補助金制度が変わって、事実上切り捨て間伐にストップをかけた。が、その現政策下でも、さらに「人手不足」を強調されている。

今度は利用間伐を推進しているから、木材生産する人手の不足を指すのか。事実、国の森林計画では今後さらに木材生産の増強を謳っている。

が、日本の木材需要は年々縮んでいるのである。将来的にも減少していくと見て間違いない。それなのに生産増強するのは……需要がないのに生産したら、木材価格が暴落する。それでも山村の「人手不足」解消が大切だと考えた? 

ここでも論理は同じ。「伐期を迎えた人工林が増えているから」。

最初に決めた伐期どおり伐らなくてはいけないと考えたのかもしれない(実は、すでに40年から60年、さらに80年と延長している)。しかし経済情勢を無視して伐採する必要性はどこにある。そもそも民有林の伐期をなぜ国が規定する?

いやいや、もっと深読みすると、マクロな林業経済はどうでもよくて、過疎が進む山村の雇用を拡大して消滅を防ごうというのか。それとも林業技術を受け継ぐ後継者づくりを目的としている?……そんな深慮遠謀によるものなのかもしれない。それにしては、伝える技術のレベルが低すぎる。むしろ新規就業者の技術の低さが森を荒らしている。また事故を引き起こしかねない。質より量を重視しているようにしか思えない。

しかし、日本の人口は全体が減っている。都会でも減少傾向だ。となると、どこから山の雇用者を引っ張って来るのか。都会の人口をより減らして山村に移すという政策なのか? 都会はもう限界、山村で生き残るのだ、という裏の意図があるのか?

ならば、大いに賛成だ\(^o^)/。

……こんなに、いろいろ考えさせてくれたのは、Yさんの質問のおかげ。ありがとう。

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政策・行政関係」カテゴリの記事

コメント

沢山考えていただき、ありがとうございます。
他の業種から転職した人が、先ず「何それ?」と感じるのが補助金制度だと思います。
経営が厳しくなったら国がお金を出してくれる。
しかも返さなくて良い。
パチンコ業界では考えられません。

「人手不足」と「若手不足」を挨拶のレベルまで浸透させた事は凄いと思います。
そのパワーを別の方向に注いでくれていたら、もっと面白い業界になっていたかもしれませんね。

変なメールしてすみませんでした。笑

おっしゃる通り、農林省は今後の人口減少社会をきちんと考えてから一体何名が必要かを示していません。
また、本当に人手不足なら岐阜県や京都府の林業大学校のように後継者を養成するのか、それとも外国人労働者を養成あるいは雇用するのか真剣に考えてほしいですね。
ありあまるバイオマス資源の有効活用を国策として考えほしいですが、どうも国は真剣には考えていないかも。

実際、今までの国策である減反政策、拡大造林は失敗したともいえます。その影響について対策を打てず、あるいは考えていなかったわけだから。
補助金をもらって生き延びて来た森林組合や林家は、減反をさせられて補助金をもらっていた農民と同じことかな。

森林ジャーナリストを表明する田中さんへ提案です。
国の未来を真剣に考えて、バイオマス資源の有効利用をどうしたらいいか、全体的な視座から考えていくプロジェクトを私たちで立ち上げませんか? 国に任せて文句ばかり言っていても拉致があきませんので、自分たちで考えて実行するしかないと思います。
ちょうど、田中さんが自ら里山再生の実践を始められたように。

考え杉爺?より

あら、さっそく質問主が現れましたか。
まったく異常な業界なのです(笑)。

しかし、林野庁がそんなに深慮遠謀したとは思えず、単に目先の辻褄合わせでしょうね。人材が必要なら、林業系の専門学校や大学校などで質の高い技術を身につけさせないと。緑の雇用や日本型フォレスターなんて、量の世界ですから。
質の高い人材には、それこそ補助金でもいいから高額所得を与えたらよいのです。キャリア官僚並の給料と待遇を与えたら、林業職の魅力が高まり、一般従事者も増えますよ。

最近、どんどん林業の魅力が落ちています。また「林業? ああ森林破壊やってる連中ね」とか言われるんじゃないか。林野庁も森林破壊庁と呼ばれる時代が来るかも。
かといって、「提言」出すのも、アチコチがやっていて、それがまったく店晒し状態ですからね。。。
これからは、林業関係者一人一人が自ら生き延びる方策を考えて、実行するしかないと思っています。そこに「目先」ではない視点を提供するのが、多少とも私などの役割でしょうか。(あまりに小さな力ですが。)

難しい話ですね。拡大造林の頃に比べれば人が減ってますけど何人必要なのかは答え辛いですね。人手不足というのは色々な背景がありそうですが、省庁が予算を引き出す為に言ってる面もあるかもしれませんね。
木質資源の成長量と生産量が等しくなるラインが正解なんですかね?

基本的に市場が決めることだと思います。木材が必要な量を出せる人手が自動的に供給できればよい。ただ賃金などの要因で参入がすくないのであれば、それをカバーする政策が必要ですが。
失業対策的に雇用を生み出せば、森林に対する環境負荷を増やすでしょう。

工業製品に比べ生産過程において二酸化炭素排出量の極端に少ない木材製品。一人一人が温暖化防止のためにも木材を利用し、また木材の普及を推し進めましょう

林業は公共事業的な側面と、営利事業的な側面を切り離すことが困難といわれていますが、過去には全面的に営利的に運営されている中で、公益的機能が一定に満足されていた時代があったのだと感じています。この公共と営利を積極的に混乱させる戦術に国が加担している部分を、もう少しシンプルにできないものかと、
全面的に営利的な立場の、民間企業の人間として思っています。建設業において、人手不足は定量的に把握され、計画的に人員配置されています。ただし、やはりこの「失われた20年」で人の教育を怠ったつけが今、中堅不足として押し寄せています。
忙しいです。

長期的には、国立森林大学が必要と思います

比較対象として水産系を考えると、国立では、水産大学校(農水省所轄)と東京水産大(現在は東京海洋大)が単科大学です
水産学部は、(林業同様)華やかな70年代には7大学?あり、今でも3大学はそのままです
もちろん水産学科はもっとたくさんの大学にあります
国や地方の公務員だけでなく、水産高校教員やジャーナリストなど、もちろん博士も年間100人ぐらい?送り出しています

林学では、学部になったことすら一度もありませんよね
現場の技術者養成もいいですが、長期的にはそれを支える様々な人(政策を立案する人や、モニタリングや研究を担う人材等々)を含めて養成する必要があり、そのためには大学をなんとかするしか無いのでは

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