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2014/04/10

なぜ「ソメイヨシノを守ろう」なのか

散歩で少し山手に歩きに行くと、サクラが満開だった。

周囲では、サクラは散り始めていたのに、ほんの少し場所が変わると、その一角に植えられたサクラは満開なのである。

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単に標高ではなく、ちょっとした微気候の差なのだろう。

樹は違っても同じ場所なら一斉に咲くのがソメイヨシノの特徴である。

平日だが、花見客もいて、桜樹の死体、じゃない下で宴を催していた。
日本人は、なぜサクラが好きなのだろうか。。。

と、それで思い出した。先日、某編集部から電話でサクラに関する質問を受けた。別に私は植物担当ではないのだが(~_~;)、知っていることは答えた。

その際に、紹介されたのが、以下のサイトである。

サクラを未来に! 〜ソメイヨシノを守ろう〜

http://goo.gl/kGG4gJ

change.org というキャンペーンサイトでオバマ米大統領が選挙で使ったことで有名になったそうだが、ある主張を訴えて、それに賛同する人は署名するらしい。そして数が集まれば、圧力になる……という発想だろう。

で、ここで主張しているのは、ソメイヨシノを守れ、なのである。

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日本人が大好きなサクラがいま、危機にさらされていることを皆様はご存知でしょうか。

東京オリンピックの前後に全国各地で植樹されたソメイヨシノは樹齢が40から60年を超え、「寿命を迎えている」といわれています。寿命とは、つまり立ち枯れの危機を迎えていることです。 

この理由を元に、全国で多くのサクラが伐採されようとしています

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しかし、いくら読んでもさっぱりわからん。どこそこのサクラが、どういう理由で伐られようとしているから守りたい、という運動ではないのである。なんでもかんでもサクラ、それもソメイヨシノは伐るな、と言っているのだ。

上記に引用したように、寿命を迎えたから伐る場合まで守れ、ということらしい。ちゃんと世話したら守れると言いたいらしい。その根拠はなあに?

アメリカのポトマック川の桜は100年以上生きているとあるが、そりゃ勘違い(笑)。あそこのサクラはソメイヨシノだけではないし、幾度も苗を送って植え替えている。とくに戦後が数多いはず。そもそもソメイヨシノはクローンだし。生長が早いから寿命が短いのはいたしかたないし。

きわめて感情的なサクラを守れ運動と言わざるを得ないだろう。なぜ、ソメイヨシノだから守らないといけないの? 美しいから? 花を咲かさない木々だったら伐ってもいいの? だったらスギやヒノキも寿命がきていないのに伐採するのは反対する?草はいいの? 農作物は? リンゴの木から果実をもぐのは残酷なの? (このように問い詰めて、いぢめてみたい気分になる。)

もちろん、サクラの名所で景観にも寄与しているというなら、一応の理由になるが、今回の署名は、どこでもあり、らしい。

なんか、熊森●会に通じるものがある。いや欧米の捕鯨反対運動にも近いかな。

実は、植物に詳しい人にはソメイヨシノを嫌う人は多い。ソメイヨシノは園芸品種で、自家不和合性のため種子もつけないことから違和感を持つようだ。そもそも江戸末期に誕生して、明治になってから植えられ始めた品種で、とくに全国に広がったのは戦後である。そんなに馴染んだ花木ではない。

サクラと言ったら、やっぱりヤマザクラだよね! とまでは言わないが、ほかにもエドヒガンやヒカンザクラ……など見どころの花を咲かせる種類は数多い。

そういや、サクラの名所・大阪造幣局の「通り抜け」は明日から解禁ではなかったかな。百数十類のサクラの品種が見られるが、花はこれからが盛りだ。

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