無料ブログはココログ

本の紹介

« 藻谷氏の「里山資本主義」講演会 | トップページ | 外資系投資銀行と森林組合。またはムーミンライフ »

2014/05/30

古書ハンターの林業書

私の友人に、古書ハンターがいる。かれこれ25年以上のつきあいになるだろうか。

 
と言っても、私は四半世紀の知り合いと言いながら、彼の連絡先をちゃんと知らないのである。ただ彼が週に1度程度寄る事務所、というか資料室が起点になるだけ。そもそも彼と会うのは、各地の古書市などぐらい。それも偶然だ。約束することもない。
 
古書ハンターと言ってもピンと来ないかもしれない。
 
しかし、この世にはそうした職業が存在するのだ。各地の古書店、古書市を渡り歩きながら、広大な古書の海からいくつか定めたテーマの本を探し出し、ときにオークションで競り落とす。ブックオフなど関西圏をすべて足を運んだという。
 
彼は、「食」に関する書を集めてくれと依頼を受けて、これまで数万冊の本を蒐集して見せた。費やした金額は、おそらく億の単位に達するだろう。
研究書を集めるのではない。巷のグルメガイドも雑誌も年度別に。さらにレシピ本もあれば断食の本もある。ノンフィクションだけではなく小説や写真集まで何でもあり。中でもクジラ文献は、日本一だと思われる。いやクジラから派生してイルカ本まで集めている。
 
先日は、自前の蔵書を整理して逆に古書店に売ったら200万円になったというから、いやはや。貴重書が埋もれているのだ。
にもかかわらず、一体どうして暮らしているのだろう、と不思議になるほどの清貧生活。すべてを本に捧げたような人生だ。
 
まあ、あまり彼のことを詳しく書くのは、彼自身の本意ではないだろうからこれぐらいにしておくが、彼から「林業書をもらってくれないか」と頼まれた。
 
最近は、どこの古書店も在庫を処分する方向にあり、まとめ売りをするそうだ。中に欲しい本が1冊でもあれば、一括して何十冊もまとめて売るのだ。逆に全部引き取らないと売らないという……。
 
そうすると、蒐集目的には当てはまらない本も含まれている。食品関係の本を買うために、なぜか林業書が混じっていたのだそうだ。
捨てるのも忍びないから……というわけで、私に白羽の矢が立った(^o^)。
 
もちろん、ありがたくいただくことに。戦前の本ばかりだというが……。
 
 
それが届いた。
 
003


タイトルが読めるだろうか。だいたい昭和初期の専門書だが、なかには明治の本も混じっていた。
森林組合関係が多いが、「森林保護学」「森林肥料論」「森林経理学」「造林学」「森林施業計画」……いずれも過去の林学で欠かせなかった文献だろう。
 
開くと、戦前の林学界の香りがする(^^;)。時代の息吹が漂っている。
 
その頃の学会の研究の流行りや一世風靡した学説が浮かび上がってくる。堂々と森林美学や恒続林の項目が並んでいるのを見ると嬉しくなるなあ。現在の林学書にはまず出てこないだろうに。
 
これらの本をいただいて、私が何か参考になるか、これをネタに何か書けるかと言えばノーだ。書けるのは本ブログぐらい(笑)。
が、処分されるぐらいなら私の書庫の肥やしにしてもよいだろう。

« 藻谷氏の「里山資本主義」講演会 | トップページ | 外資系投資銀行と森林組合。またはムーミンライフ »

森林学・モノローグ」カテゴリの記事

コメント

うらやましいですね。そんな方から林業関係の本が頂けるとは。
私も杉関係の本を少しは集めてますが、林業関係の本は読んでいるとその時代のことが想像できて楽しいですね。

植村恒三郎の森林経理学は、1920年の版ですが、近代デジタルライブラリにありますね
http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/954528
ないのもあるみたいですが

この世界は、実利ではなくマニアなコレクションです。古書の世界は恐ろしくも怖い(^^;)。情報がほしければ新刊を買う方がよいのだけど、手にとる本の世界ゆえの奥深さ。


でも、少しずつ目を通して、有益な情報を拾い上げるのも、受け取ったものの役目でしょうね。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/36391/59720792

この記事へのトラックバック一覧です: 古書ハンターの林業書:

« 藻谷氏の「里山資本主義」講演会 | トップページ | 外資系投資銀行と森林組合。またはムーミンライフ »

2017年4月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30            

森と林業と田舎