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2014/06/10

臨床環境学!

今年の日本森林学会の発表要旨を眺めていたら、一つの項目に眼が向いた。

 
森林をめぐる臨床環境学とは
 

思わず、脳内のアンテナがピピピと動く言葉だ。

 
「臨床環境学」は、地域の環境問題を総合的かつ実践的に解決しようとする新しい学問体系、なんだそうだ。
 
私も面識がある名古屋大学の竹中千里教授は、「臨床環境学と森林~アジアの森の診断と治療」と題して概論を発表しているのだが、そのデータを見ているだけで面白い切り口が浮かび上がる。
 
一部を切り取って紹介すると、

2
 
こんな具合。
 
これだけでは詳しいことはわからないが、私の思うに、
純粋学問と臨床(現場)の乖離を埋める体系・システムとして提起しているのではないか。

とくに環境問題では,診断(何が起きているか)と治療(どうして不都合を治すか)の間をつなぐのが難しい。
そこで基礎的な科学から現場につなぐ橋渡しの役割を担おうとしているかのように読み取れた。


そして人と森林との関わりを次のような図で示す。
Photo


里山は、人と森をつなぐ存在であることを示している。
それを連結型と位置づける。


乖離型とするのは、人は町に住んで、森林に通うだけ。
融合型は、森林生態系の中に人の営みも溶け込ます……と解釈してもいいかな?
 
     
そして研究場所として、
経済的に成熟している日本(伊勢湾流域圏)、
高度経済成長期の中国(沿岸部)、
開発途上国のラオス(高地と低地)

この3つの地域で調査研究していくそうだ。
それそれ環境問題のテーマが違う中で、どのように臨床研究と治療をつなげるのか。
日本なら町と農山漁村の共存がテーマとなり、中国は急成長期の環境負荷が課題であり、ラオスなら生物多様性保全と伝統的生業の調和が大きな問題だ。

各論の発表もあるが、じっくり聞いてみたいものである。
これらの発表データだけでは、まだ理解できないところも多いが、私は期待したい。

竹中先生、教えてください(^o^)。


それにしても、林学と林業の乖離が言われて久しいことを考えると、多くの応用が効くかも。林学と環境学の乖離もあるし、林野庁と環境省の溝もあるし(~_~;)。

上の図からすれば、現在の林学は「基礎環境学」だけしかやっていない。ちゃんと現場に則した「臨床環境学」に位置する臨床森林学を設けるべきかもしれない。
同時に森林学と林業経営を結びつけた指導のできる人材(=本当のフォレスター)が求められているのではないだろうか。

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コメント

ジャーナリストや公務員にもいえる事ですね。チェーンソーに触れた事すらないのが乖離型って感じでしょうか。現場の声を聞かない、聞こうとしないタイプですね。

机上の学問……基礎的な研究は大切ですが、それを臨床につなぐにはどうしたらよいのか。
昔から机上の学問と現場の乖離はあったのでしょうが、これからはその「つなぎ方」の研究も課題になってきたというのかと理解しています。

文武両道って事が出来てないからですかね。現場の人の中には「あの人は現場を知らない」って言う人がよく居ますけど、そのほとんどが現実以外の事に興味を持ってないように思います。

私、「現場主義」というのが最近イヤになりまして。
机上の空論もキライだけど、現場至上主義に陥ると、未来を見通す目を失うような気がします。現場を見つつ、少し遠くからの客観的な目を養うように努力します。

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