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2014/06/26

奈良のシカ資源

時代小説を読んでいたら、台湾からシカ革を日本に輸出している話が登場した。

 
舞台は江戸時代初期で、まだ鎖国はしておらず、むしろ盛んに御朱印貿易が行われている。そして高山国、つまり台湾に行くと、そこで日本人もオランダ人も、現地人(いわゆる高砂族)にシカを獲らせて革を大量に輸出しているエピソードが描かれている。
そのため台湾から急速にシカが減少し、それが元で部族間の争いも激しくなり……。
戦国の世がまだ明けきれぬ時代だから、鹿革は侍に欠かせなかったらしい。刀に槍に、陣羽織に。でも、日本では十分なシカが捕獲できなくなっていたのだろう。さもないと、あの時代の貿易品になるわけがない。しかし、それが彼の地の生物だけでなく 部族社会にまで影響を与えたとすると。。。
 
シカが増えすぎて困っている現代とはまったく違う状況だったのだ。
 
 
ところで、奈良県でもシカ肉の缶詰を作っている情報を仕入れた。春日大社では「神の使い」として保護してきたシカだが、やっぱり増えすぎて困っている。
缶詰用のシカの狩猟場は、吉野郡天川村だそうである。
 
そこで探してみた。見つけたのは、こんな感じ。
 
 
頑張っているみたいだ。620円なら、ギリギリ買えなくもない値段。
 
しかし、難しいことに挑戦したものである。
シカ肉は狩猟で獲るのだから、安定供給が難しいうえに屠殺方法を誤ると商品価値がなくなる。銃弾が腹を撃ち抜いていたら、もう使えない。そのうえ、直後の血抜き・解体などの作業も大変だ。また肉の量は意外と少ない。体重の数分の1しか、食肉にはならない。
 
缶詰だから生鮮品ではなく、多少は売りやすいが、味を固定してしまう面もある。
珍味、土産物としての取り扱いにならざるを得ないだろう。
 
しかし、昔は絶滅においやりかねないほどシカを獲ったのは、革需要だとしたら……。
 
現代でも鹿革商品を開発できないだろうか。解体(皮剥)やナメシ工程の難しさは感じるが、
食肉需要とは別の価値がつく。価格も高めに設定できないだろうか。
鹿革の服飾のほか、いろいろなグッズも考えられるような気がする。原材料としての鹿革さえ確保できれば、商品化に関しては、一般も参入しやすい。
 
まさかハヤリすぎて、鹿革需要でシカの生息数が激減……という事態にはならないだろう。

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コメント

つい昨日、職場の図書館で高校生が、
シカ肉料理の本に興味を示していました。
その場にいた他の高校生も、
食べたことあるそうで・・。

さすが馬肉の県・・・。

興味があるだけでなく、食べたことある……。高校生が。
しかし、馬肉と合わせたらイカンでしょう。馬と鹿は。。。

はっ!!!!!

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