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森と林業と動物の本

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2014年7月

2014/07/31

CLT建築物の見学

昨日は、東京の勝どきで開かれた「2020年に向かう、新たな森づくりシンポジウム」に参加してきた。

 
なんだか大臣やら官僚やら財界人やらが並ぶ仰々しいシンポだが、私の目的は、女優の南沢奈央を見ること……ではなくて、会場に建てられたというCLTの建築物の見学であった。
なんでも「都市部では初めてとなる業務用施設」があるという。私は、とにかくCLTを肉眼で見たい、写真に撮りたいと思ったので参加したのである。
 
CLTに関する私の意見は、これまでも書いてきたが、そのうちまとめて語ることもあるだろう。ここでは、あくまで今回目にしたCLTの建築物について語ろう。
 
ひと言で言えば……大失敗ではなかったか。
 
今回のイベントは、東京にCLTの施設を建てて、世間にCLTの認知と普及をめざすのが目的だとしたら、まったく効果が見込めない。
 
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施設は、なんと倉庫の中に建てられている。天井がつかえているようにも見えるが、隅にあるので全体像が見えない。
 
それだけではない。写真でも多少わかるだろうが、この建物、CLTだけではなく半分は合板なのだ。とくに2階部分は。
 
内部も合板がやたら目立つ。開口部はCLTでつくれなかったらしい。
もちろん時間をかけて加工したらつくれるはずだが、急いだのかやっつけ仕事だったのか、開口部に面したところはみんな合板なのだ。
 
 
これでは、CLTの宣伝にならない。そもそも、部屋の内部にはなぜかLVL(単板積層材の展示が。。。

  
 
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内部もたった一つの換気扇のために、みんな合板。
 
わずかに? 見えるCLTも、色の悪いこと。だんだら模様だ。
 
これでは「あらわし」にはできないから、まともな住宅やオフィスなら内装材が必要だろう。それを木材でやるのかクロスなのか、新建材なのかはともかく、CLTの木肌はみっともない、と感じさせた。
これは外装部分も同じだ。CLTそのままを露出すると、デザイン的には情けない建築物になるだろう。
  
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それに宮崎県日南市のオビスギを使ったようだが、表面に気根の跡が点々と……(-_-)。
  
なぜオビスギを使ったのだろう。乾燥も大変だったろうに。
 
 

 
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そして接合部。
 
なんだ、この隙間は。間に挟んだのは、LVLだろうか。スカスカだが。
 
  
仮設家屋を思い出した。2年しか持たない……。

 
こんな建築物見せられて、CLTの宣伝になるのか。。CLTって、こんなものしか建てられないの?という宣伝になったかも。
 
見学会というのは理屈ではない。訪問者に実物を見せて、その見た目の感想が大切であることをわかっていない。どんなにCLTが有望な建材であると力説されても、目の前に良いものを見せられなかったら、心の奥底で馬鹿にする。推進意欲が湧かなくなる。


ほかにも言いたい点はたくさんあるが、お披露目の施設としては、あまりにもお粗末。
 
見学者も落胆した様子がありあり。エアコンのない倉庫で4時間にも渡るシンポジウムが続き、頭が朦朧とした。そのうえに、この建物である。
 
ただし私は、シンポ中でも中によく入っていた。写真を撮るふりして幾度も出入りした。
なぜか。このセミナー棟だけがエアコン効いて涼しかったからである(^o^)。

2014/07/30

CLT シンポで発見したもの

CLT シンポで発見したもの
東京・勝ちどきまで足を運んでのCLTシンポ参加。しかし…。

暑いのなんのって。会場は倉庫を改造したFOODARTs studio なる施設。エアコンはなく、開けっ放しの扉から入る海風に頼る。そこに200人あまりが入っているのだから。

CLT の建物は倉庫の中。ショボい(((^^;)。詳しくはあらためて紹介するが…。


そこで発見したのがコレでした。

2014/07/29

書評『環境の経済史』

環境の経済史 森林・市場・国家』(斉藤修・著、岩波現代全書 2100円+税)を読んだ。

  
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※ 寡聞にして「岩波現代全書」という存在を知らなかった。
 
そもそも、全書とは何か。執筆者の全作品を網羅する全集ならあるが、全書は知らなかった。
文庫、新書、選書……と判型の違いなどで書籍をいろいろな表現をするが、全書とはなんなんだ。
 

ただ「岩波全書」は1933年に発刊しており、岩波現代全書は2013年スタートらしい。基本的に学術書らしい。もう33冊も出ている。
   
  

  
 
閑話休題。
 
本書は、大雑把にいえば森林史だ。環境史でもあるが、ほとんど森林に割いている。
 
ただ本人は専業の環境史家ではないと断っているし、森林や林業に深くコミットして研究しているわけでもなさそうだ。
プロフィールによると、経済史畑の出身で、歴史人口学なども専門とある。
 
そのうえで東西の膨大な文献を読み説きながら、日本の森林史を、中国の森林、ヨーロッパ(主にドイツ)の森林史と比較しつつ論じている。
 
まず前提として、日本の森林はかつて減少していたが、江戸時代に回復した、という事実を示す。これはコンラッド・タットマンの「日本人はどのように森をつくってきたか」に依拠するのだが、そこでは日本人は森を(国家が政策的に制度として)守り、復活させた、としている。
 
だが、本当にそれだけか。トップダウンの森林保全策だけでなく、市場原理(つまり、木材が商品として扱うこと)も大きな役割を果たしたのではないか、というのが著者の視点だろう。つまりボトムアップ的に商品生産のための森林造成が行われたとしている。
 
ヨーロッパも国家が森林保全⇒林学・林業政策を進めて森林を復活させた。一方で中国ではほとんど森林政策はなかった……と比較する。(もちろん、例外も紹介している。)
 
そして、「日本は古代より自然を愛する国民だった」的なナショナリズム色を漂わせた蒙昧を排除している。
経済学者らしく、市場原理を上手く活かすことが森林保全に役立つことが語られる。(過去の日本は上手かったのだけど……。)
 
 
  
これは推測だが、本書は、ある程度世間の支持を集めたかのような「外資が日本の森を奪っている」とか「欧米は自然を破壊し支配する思想で、日本こそ自然を愛する民族なのだ」的な論説に対する反論なのではないか。仮にその意図はなかったとしても、その役割を果たすだろう。
 
 
 
実は、私も現在、森林史の本を執筆している。日本人と森林の関係の変遷と、ドイツ林学なども交えて紹介する。そして林業がどこでどのように生まれ、それが持続的産業へと衣替えしたかを描く。なんだか先んじられた気分だ(-_-)。 遅れがちながら、なんとか出版にこぎつけそうなのだが。。。
 
そこでも愛国者ぶって森林をネタにした日本礼賛をたたいている。ついでに潜在自然植生とか鎮守の森讃歌、サクラ讃歌もたたく。
まさに私が書いているのも、某無知蒙昧学者や論者への挑戦状なのである。
 
ただ、そこでは日本は森林を破壊しまくったことを記し、江戸時代だって、とても守ったとは言えないとした。また明治期こそ森林破壊の頂点であり転機だったとした。そしてヨーロッパの影響を重く見た。同時に森を愛する発想、守る運動史も取り上げた。
 
そして、決して日本人は森を守っていない、危機的状況であるという結論に達する。むしろヨーロッパのような市民レベルの知的向上の必要性も説く。書き方は、全書(専門書)ではなく新書(一般人向け)を意識してかみ砕き、コントめいたコラムも付けたが。
 
だから微妙に立脚点は違う。ただ、おそらく問題意識は一緒だろう。森林・林業は、上から目線の政策では救えないよ、ということである。
 
※本書は、サイドバーにリンクを掲載。

2014/07/28

シンラの復刊

新潮社から「シンラ」が復刊された。

 
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さっそく購入してしまった。
しかし、テーマが田舎暮らしとは……。


もっともよく見ると、発売は新潮社だが、発行・編集は株式会社天夢人になっている。また隔月刊らしい。
 
正確には、復刊というより新創刊に近いのかもしれない。
しかも「玉村豊男 責任編集」の文字も。どうも今号だけでなく玉村氏がシンラ編集長を続けるらしい。玉村氏は、エッセイストや画家、ワイナリー経営などで知られている。
 
 
 
 
……こんなこと書いても、わからない人にはわからないだろう(^^;)。
 
「シンラ(SINRA)」は、かつて新潮社から発行されていた月刊誌だ。1994年に創刊し、2000年に休刊した。森羅万象から取った誌名らしく、自然を扱う雑誌として結構カルトなファンがついていた。自然と言っても、ちょっと切り口が変わっていて、ニホンオオカミの残像をおいきかけたり、妖怪を探したり。
 
実は、私とは多少の縁がある。と言っても、執筆していたわけではない。当時の私は何冊か本は出版していたが、まだ森林ジャーナリストは名乗っていなかった。ビーパルとかフィールド&ストリームなどの雑誌を舞台に活動していた。また「田舎暮らしの本」の常連ライターでもあった。
 
関わりは、ニフティサーブのパソコン通信に遡る。その中に「冒険&フィールドライフフォーラム」というのがあり、私はスタッフだった。サブシス(こんな言い方も懐かしい)を勤めて20近い会議室を仕切っていた一人だった。
 
その中に「シンラ」の会議室もあったのである。(ほかには「アニマ」会議室もあり、わりと出版社と結びつきが強かった。シスオペが出版界に強かったからだと思う。)
ここではシンラの読者と編集者が直に話し合う場を持っていた。
 
しかし、パソコン通信がインターネットに押されて縮小する中で雑誌のシンラも休刊になり、会議室は閉じられた。
 
で、私がシンラの編集者を大阪に呼び、関西圏の読者とオフ会を開いたのである。
考えたら、交通費向こう持ちで呼びつけたのだから、度胸ある(^^;)。もっとも新潮社の度量もあって足を運んでくださった。そしてシンラ・グッズをたくさんもらった(⌒ー⌒)。さすがに今は残っていないなあ。メモ帳やらいろいろあったはずだが。
 
そのオフ会では、シンラの復刊の可能性も語った。たとえば価格はもっと上げてもよい。月刊でなくても季刊なら可能ではないか? イヌネコ特集は売れ行きがよかったらしいが、あんまりこの手のものはコアなファンは喜ばないよ……なんて話をした記憶がある。
 
まあ、14年の歳月を越えての今回の復刊だ。ちょっと当時とテイストは違うが、さてどのように展開するだろうか。
 
田舎暮らしは森羅万象に入るのか? ちなみに第2号は「森の命 クマとシカの世界」特集らしい。
 

2014/07/27

Yahoo!ニュース「世界の農地や森林は余っている?」の裏側

Yahoo!ニュースに「世界の農地や森林は余っている?」を執筆しました。

 
 
森林資源のU字仮説」を紹介するのが主眼だけど、一般人向けに「農地が余っている」「人口爆発は止まる」を抱き合わせたもの。
 
実は、未完成。というか、ちょっと無理がある。なぜなら、日本やヨーロッパ、中国、韓国……などで森林面積が増えているとはいうものの、グラフにすると、とてもU字には見えない。せいぜいJ字(あるいは平仮名のの字ではないか(笑)。
しかし、一般にはU字仮説と呼ばれているのです。
いずれも検証・論考が十分ではないのだが、あえて書けば、なんか反応あるかなあ(^^;)と。
 

2014/07/26

土倉翁磨崖碑清掃現場!

奈良県川上村で行われている土倉翁の磨崖碑清掃の現場を訪ねた。

この磨崖碑および土倉翁に関しては、このブログの過去をずっと遡るか、拙著『森と近代日本を動かした男 山林王・土倉庄三郎の生涯』を読んでください。

 
この清掃は、11月に現地で開かれる「豊かな海大会」の天皇陛下行幸(とは最近は言わんか)に合わせて行われている。25日から始まり、明日までの3日間。
 
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論より写真。まずは全体像。
  
土倉翁造林頌徳記念  大正十年 」と彫られている。
 
高さ26メートル。幅12メートル。
  
写真をよく見ると、小さな点のような人が崖にへばりついているだろう。
  
 
 
     
 
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そこをアップすると、こんな感じ。
 
文字の大きさがわかるだろうか。一辺が1・8メートルあるそうだ。人の身長より高く見える。
 
今回は、この文字が見えにくくなったから行うもの。
 


 
  
 
   

 
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さらに作業をアップする。


カリカリと,草やコケ、地衣類、そして刈り取ったり土を削り落とす、実は地味な作業。
 
しかも炎天下!
  
  
  
 
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真下から見上げると、その高さが引き立つ。
 
これは大変だ。
 
ただ間近に行くと、私も登りたくなる(^^;)。
いえ、登れませんけど。
 



     
 
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その後,高圧水で洗浄。ここまで水を上げるポンプも凄いと思った。

明日は、ここに再塗装をほどこす。
 



 
ちなみに私は、見学と撮影が目的だったが、なぜかボートの船頭(^^;)を引き受けることに。
おかげで真下まで行けたし、弁当いただけたし。ボートの上は、多少涼しかったし。
なんか、作業に参加した気分が味わえて楽しかった。
 
私は3時には現場を去ったのだが、それでも帰り着くとヘトヘト。身体が焼けてしばらく水風呂に入って冷まさねばならなかった。
ただ気になるのは、作業の中日とはいえ、村の役所の人の姿が見えなかったことかな……。
 

2014/07/25

高野霊木之家モデルハウス

高野山に行ったのだから、やはり見たいと思っていた「高野霊木之家」。

 
なんと、真言宗総本山金剛峯寺の真正面にモデルハウスがあった(^o^)。そもそも建てたのも、金剛峯寺なのだそう。
 
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時間がなかったので、サラリと見ただけだが、金剛峯寺の山林部が監理する高野山の森から出た間伐材で建てる家である。なお、ここでいう霊木とはコウヤマキではなく、スギ材。
 
 
ところが、中を覗いてみると、間伐材と言っても相当な太さの材を使っている。またヒノキもあったが、これはどこから出た木なのかな。

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キッチンに風呂も木製。風呂桶はコウヤマキ……というわけではないのかな。何の木を使っているかは説明がなかった。
 
 
梁も柱も、なかなか太い。
 
 
基本は和風。床の間もある。 
和風の家は今は売りにくいと思うのだが、高野霊木を喜ぶ顧客は、やはり和風か? 契約数が気になるところ。
 
それはともかく、高野山も、かつては伐りすぎて荒れたらしい。今は長伐期の山づくりを展開しているが、伊勢神宮と並ぶ、宗教法人ならではの林業を見せてほしいものだ。
同時に住宅販売まで手がけたら、神宮と違って庶民に近づくのだが。
 
 

2014/07/24

悲観主義者こそ成長する

高野山では、「3/11における心的外傷後の成長 スピリチュアルな側面にフォーカスして」(尾崎真奈美・相模女子大准教授)という講座を受講してきた。

 
タイトルだけではわからんでしょう。いや、難しいのですよ。わからんのです。
ただ「心的外傷(トラウマ)を受けた後に起きる精神的な成長」をPTGというわけです。何が成長したかというと、自己概念や対人関係や人生哲学……などの変化なわけです。
 
わからんでしょう。私もよくわかっておりません(^^;)。
 
ま、私がここで説明できることではなく、アムステルダムで開かれたヨーロッパポジティブ心理学会議に出席して、基調講演してきた内容を語っていただいたのでした。
 
一般にポジティブ感情が人を成長させると言われている。楽観的に物事を捉え、ものごとの輝かしい面を見る。そして前向きに、努力して、行動して、その結果が個人をより成長させ……というスパイラルが強調される。
 
ところが、東日本大震災後に311人の学生を対象にした調査によると、「震災後に悲観的な感情を抱いた人々の方が、その後の精神的成長は高かった」という結果が出たのである。
 
そして脳生理学や認知科学の世界では、ポジティブ感情とネガティブ感情は同一次元の対立概念ではなく、独立した直交関係にある……らしい。つまり、同時に抱けるものなのだ。
 
まあ、この当たりは心理学と宗教がクロスしそうな世界なのであるが、同時に文明論や哲学論になってしまう世界であった。そして9・11に対するアメリカ人の感情と、3・11に対する日本人の感情の差異や今後の展開にまで触れていく。
アメリカ的な「努力」「克服」「勝利」といった少年ジャンプ的思考ではなく、日本人の「弱い」「静かに耐える」「明け渡す」といった日本的精神の方が将来的に可能性があるのだ。。。。
 
わからんでしょう。私もわかっていない(^^;)。 
しかし半可通ながら、感動してしまった。論理や理解を超えた、すべてを受入れる感情が超越するという、ちょっとアブナそうな天使語に心打たれたのである。
 
 
 
たとえば、これを林業界に当てはめると、
「林業はこれから成長産業になる」「林業にはこんな可能性が秘められている」とポジティブに捉え「努力」する人よりも、
「林業は、もうダメだ」「林業がダメなのは私がダメだからだ」「私に責任がある」「とても克服できない」と悲観的に思っている人の方が、今後の成長が望めるのである。。。。(多分、誤解していると思う。)
 
ともあれ、悲観主義は必ずしも悪いわけではない。
そして超長期を要する林業界には、悲観的な思いを抱いてもよいのではないか。長期ゆえに、行き着くところに希望があるかもしれない。
 
……そういや、聖書にも「苦しみは……希望を生み出す」(超意訳)なんて、言葉あったなあ。
 
南無~(-人-)。

2014/07/23

天空の霊山・高野山

今日は、弘法大師の開いた高野山を訪ねる。

 
なんといっても真言宗の総本山金剛峯寺のある高野山である。2015年、つまり来年は開基1200年だという。おかげで、高野山大学にて心洗われる話を聞いてきた。
 
ただ、今日は少し疲れた。片道3時間(渋滞あり)の往復はきつかった。素晴らしい経験をした話はまたの機会にしよう。
 
ただ、改めて感じ入ったことがある。それは聖なる山に漂う静謐の雰囲気だ。荒野の山々の標高は1000メートルを越える。その高原に100を越える寺院・伽藍が建ち並び、まさに天空の宗教都市なのだ。静かに歩く僧の姿。林立するコウヤマキの木立。コンビニさえ派手さを抑え、しっとりとした店構えをしている。このような土地は、ほかにいくつもないだろう。
 
ここを訪れれば、下界のしがらみやささくれた感情を洗い流してくれる。人間界のいざこざなんて、小さい小さい。他者と比べて競ったり争ったりしないのだよ。無我の境地に達して、ネガティブな感情を昇華する。きっと心洗われる……。
 
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……なんで、スカイツリーと競うのだ?

2014/07/22

自治体の“気概”

本日は、某県の林務関係者勢ぞろいの研修セミナー。

 
手づくり感たっぷり(^^;)の運営であったが、気持ちよく講演をさせていただいた。
で、終わってから質問を受け付けると……。
 
みんな、質問より「ブログ読んでます!」と言うのである。うわっ、昨日書いた内容がもろ公務員の話だからなあ。今夜は書きづらい(書いてるけど)。
 
面白いのは、終了後話しかけられたのだが、「林野庁がいろいろおかしな施策を言ってくるが、どう対応したらいいか」であった。
 
これは、私の方が聞きたい。
 
なぜ、法律でもなく従う義務のない国の施策に盲目的に従わねばならないのか。抵抗しないのか。
 
別に喧嘩しろと言っているのではない。(してもいいけど。)
その施策は、こちらではコレコレの理由で難しく、むしろこういう手を考えております……的な対応したらダメなの? それこそ林野庁の人を教育するつもりで。
 
もし上から目線で「国が決めたから。上司が言っているから」と盲目的に“命令”して来たら、腹の底で罵りつつ、のらりくらりとかわす術を身につけてもいい。
 
「そういえば、以前は列状間伐ばかりしろと言ってきたけど、結局うちの県ではほとんどしなかったんですよ」
 
おお、それでいいではないか。
 
「今はコンテナ苗を植えろばかり言ってきます。でも、植える場所がないし、まだ苗をつくっている最中で植えられる状態にない」
 
林野庁の担当者は、どれほどコンテナ苗を植えられたか、という実績がほしくて都道府県に無理強いしてくるだけだろう。しっかり林業の現場のことを教えてやりたまえ。まあ、あちらは林業の現場の情報なんぞに興味ないかもしれないが。
 
ちなみに列状間伐やコンテナ苗がいけないというのではない。それぞれの土地の特性に合わせて行うべきであって、「上から言われたから」と盲目的に行うな、というだけだ。
施策の原点は何か。森や林業をよくすること、地域をよくすること。この原点に寄り添って捨拾選択しようよ、というだけだ。
 
……私なんぞ、勤め人時代は毎日編集長と怒鳴り合いしていたけどね。(懐かしモード)
 


そう言えば、明治初年、国は幕府や藩、そして寺社から取り上げた山林を元に官林を作り上げた。で、どうしたか。
 
売り払ったのである。野放図に金さえだせば、誰でも山林を民間に払い下げ、その後どのように伐採しようが構わない、という通達まで出している。無理やり取り上げた山林を売って金にするとは盗人猛々しい……というか盗人そのものだが、森林経営をする気がまったくなかったのだろう。
 
だが、猛烈に反対した県がいくつもあった。何かと抵抗して山林を払い下げなかったのである。藩時代の山林行政が当時はまだ残っていて、野放図に伐採することの危険性を認知していたのだろう。
やがて払い下げを主導した大蔵大輔(次官)の井上馨が失脚したことで、官林払い下げは止まった。
 
しかし、本当に実行され続けたら、今の国有林はほとんどなくなっていただろう。そして林野は荒れ放題になったかもしれない。マトモな林野政策もつくられなかったに違いない。当時の県知事たちの気概に拍手したい。
 
 
今の自治体にも“気概”をもってほしい。
 

2014/07/21

長官交代からの連想~クレーム対応

沼田正俊林野庁長官が退任するそうだ。後任は、今井敏農林水産省官房長とか。

沼田長官は、2012年に就任したから2年で任期を終えることになる。技官出身の長官(村尾行一氏の教え子)だったが、今井氏は東大法学部卒の事務官。
 
今更、技官だ事務官だと言ってもあまり意味はないが、やっぱり任期2年は短いと感じる。私は沼田氏が次官時代に名刺を交換したが、長官として会う機会はなさそうだ。名刺交換しても、次に会うときは肩書が変わっている……といういつものパターン(-_-)。
 
素朴な疑問として、この期間で仕事ができるのだろうか。担当するのは短期間とわかって取り組む仕事にはどんなスタンスで臨むだろうか。揶揄ではなく、本当に素朴な疑問。。。。
 

 
そんなことを考えていたら、ふと連想したのが住宅産業である。住宅建築の仕事はクレーム産業と言われるほどクレームが多い。なんたって高い買い物で、住むところは生活の中心でだ。快適に暮らせるか否かは人生に直結する。
 
だから、ちょっとヒビが入っても、隙間が空いても、色が少し変わっても、抗議する。
 
さて、ここからだ。担当者は、クレームにどのように向き合うか。
 
クレームの出ない家を建てる。一切の憂慮を排除する。
もうひとつの選択肢は、クレームを受け入れて施主との関係を築く。そして改善材料にする。
 
・・・実は後者の業者が成長しているというニュースをやっていた。クレームから新しいニーズを発掘して、ビジネスチャンスにするというのだ。またクレームにしっかり対応することで、より人間関係が深まり、長いつきあいができる。
たしかに、こちらの方が前向きの対処だ。一切クレームの出ない住宅を建てようとするより論理的だし、効果も見込める。ただ、現実には前者を選びがちだろう。。
 
クレームの出ない家とは、狂わない建材を求める。集成材、いや合成樹脂製の新建材。金具で固めて、デザインも凝らず定型どおり。。。と考える。設計も工事もマニュアル化する。
でも、面白みのない家だ。施主の満足度は高まらないだろう。新規顧客を呼び込むことにもならない。
  
   
 
なんのこと、書いているか。なぜ、こんなこと連想したのか。

そうそう、公務員の仕事であった(笑)。
 
ちょうど今、そんなことを考えてしまう状況にある。
 
ひたすらクレームを恐れ、クレームが来たから対処するのではなく、クレームを来ないようにするのが仕事。来る「かもしれない」部分を除く、という対応を見事に受けているのである。
 
そもそもクレームと言っても、こちらに落ち度があるわけではなく、単に来た場合、対応するのが面倒というレベルだろう。説得して、こちらの気持ちを伝えるという努力なんて、めんどくさい。
  
しかし会議で決めたことも、上司がクレームを恐れたらひっくり返す。特定の人を取り上げたら、ほかの業者が(きっと)嫌がるから名を隠すとか……自主規制? 事前処理? いや単に姑息でしょ。
 
  
まあ、数年間在籍する部署の(本音では)興味のない仕事で苦労するよりも、スムースに済ませて、上司の覚えをよくして、任期中は大過なく……でしょうかねえ。
 
それが森林のため、林業のためになりますか? (あ、興味ないんだった!)
 
 
  
以上、あくまで連想に次ぐ連想のモノローグでした。

2014/07/20

木材利用ポイントよ、どこへ行く?

もう取り上げる気が失せていたのだが……どうせ3連休の中日、読む人も少ないだろうから(^^;)、メモ代わりに記しておく。

 
木材利用ポイント制度の改訂についてだ。
 
これまで度々紹介してきた木材利用ポイントに該当する樹種の追加問題。外材がどんどん増えているのだが、またもや増えた。
 
 
今回の追加は、オウシュウトウヒ(フィンランド産)オウシュウアカマツ(フィンランド産)である。
 
 
詳しいことはリンク先を。
 
しかし、びっくりなのは、「対象工法の追加」である。この際だ、みんな引用しよう。
 
  • 岩手県、京都府、長崎県において、スギ、ヒノキ、カラマツ、トドマツ、アカマツ、クロマツ、リュウキュウマツ、アスナロ、ベイマツ(米国産)又はオウシュウトウヒ(オーストリア産)を主要構造材等として材積の過半使用する木造軸組工法(あらかじめ定める対象工法及び基金管理委員会がすでに適切と認めた対象工法のうち木造軸組工法に係るものを除く。)
  • 滋賀県及び奈良県において、スギ、ヒノキ、カラマツ、トドマツ、アカマツ、クロマツ、リュウキュウマツ、アスナロ、ベイマツ(米国産)、オウシュウトウヒ(オーストリア産)、オウシュウトウヒ(スウェーデン産)又はオウシュウアカマツ(スウェーデン産)を主要構造材等として材積の過半使用する木造軸組工法(あらかじめ定める対象工法及び基金管理委員会がすでに適切と認めた対象工法のうち木造軸組工法に係るものを除く。)
  • 北海道、宮城県、茨城県、東京都、大阪府、兵庫県及び岡山県において、スギ、ヒノキ、カラマツ、トドマツ、アカマツ、クロマツ、リュウキュウマツ、アスナロ、ベイマツ(米国産)、オウシュウトウヒ(オーストリア産)、オウシュウトウヒ(スウェーデン産)、オウシュウアカマツ(スウェーデン産)又はラジアータパイン(ニュージーランド産)を主要構造材等として材積の過半使用する木造軸組工法(あらかじめ定める対象工法及び基金管理委員会がすでに適切と認めた対象工法のうち木造軸組工法に係るものを除く。)
  • 香川県において、スギ、ヒノキ、カラマツ、トドマツ、アカマツ、クロマツ、リュウキュウマツ、アスナロ、ベイマツ(米国産)、オウシュウトウヒ(スウェーデン産)又はオウシュウアカマツ(スウェーデン産)を主要構造材等として材積の過半使用する木造軸組工法(あらかじめ定める対象工法及び基金管理委員会がすでに適切と認めた対象工法のうち木造軸組工法に係るものを除く。)
  • 宮城県、茨城県、東京都、滋賀県、大阪府、兵庫県、奈良県、岡山県及び香川県において、スギ、ヒノキ、カラマツ、トドマツ、ベイマツ(米国産)、オウシュウトウヒ(スウェーデン産)又はオウシュウアカマツ(スウェーデン産)を主要構造材等として材積の過半使用する枠組壁工法(あらかじめ定める対象工法及び基金管理委員会がすでに適切と認めた対象工法のうち枠組壁工法に係るものを除く。)
  • 千葉県、富山県及び石川県において、スギ、ヒノキ、カラマツ、トドマツ、アカマツ、クロマツ、リュウキュウマツ、アスナロ、ベイマツ(米国産)又はラジアータパイン(ニュージーランド産)を主要構造材等として材積の過半使用する木造軸組工法(あらかじめ定める対象工法及び基金管理委員会がすでに適切と認めた対象工法のうち木造軸組工法に係るものを除く。)
  • 神奈川県及び広島県において、スギ、ヒノキ、カラマツ、トドマツ、アカマツ、クロマツ、リュウキュウマツ、アスナロ、ベイマツ(米国産)、オウシュウトウヒ(オーストリア産)又はラジアータパイン(ニュージーランド産)を主要構造材等として材積の過半使用する木造軸組工法(あらかじめ定める対象工法及び基金管理委員会がすでに適切と認めた対象工法のうち木造軸組工法に係るものを除く。)

 

凄い。建築の多様性を認めたのだ(笑)。しかし何の意味があるのだろうか。

 

各地方をきめ細かく?? 指定している。よく見ると、2度3度登場する都府県もあるし、登場しない県もある。どういう事情か説明なし。いや、読み込む気持ちにもならない。

 

ポイント付与の対象となるのは、平成26年8月15日から平成26年9月30日までに工事に着手したものだ。1カ月ちょっとしかない。

 

しかし不思議なのは、木材利用ポイント制度の適用期間の延長は、今年9月に終わるんじゃなかったっけ。つまり、あと約2カ月なのだ。

外材だってポイント取得のための条件整備で少なくない時間と手間がかかったはず。それを2カ月で打ち切ることはできるのか。

それをあっさり打ち切られては元も子もない。

 

……どうも延長を視野に入れている気がする。景気てこ入れに便乗して、またもや半年延長! 予算は……150億円くらいかな(まったくの推定。当たれば拍手!)

このうち何割を外材に持って行かれるだろうねえ、血税を。 

2014/07/19

黒門市場の大変身

黒門市場を知っているだろうか。大阪人、いや関西人ならたいてい知る、大阪の台所と呼ばれる商店街。年末などはよく紹介される。

 
 
ここに最近は外国人客が殺到していると聞いた。なぜか、観光スポットになったのだ。
 
訪れてびっくりした。なるほど、大変身している。
かつては、たしかに賑やかな商店街ではあったが、ミナミの繁華街に近く、プロ用の高い食材も並んでいるイメージだった。しかし、今やお祭り的な盛り上がりだ。
 
なにしろ朝から出店が並び、立ち食いOK。おかげで外国人(日本の観光客も混じって)が、アチコチ覗きながら買い食いできる。
 
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朝からホタテやサザエだよ!
 
客の呼び込みもあり、ラーメン屋も外国人相手。
 
一般の商店も、少し違った品揃え。大阪の伝統野菜もあれば、肉だって不思議な加工品やマニアックな総菜も。おにぎりの店も出ていたが、細長く握ってあって、手にして歩きながら食べるのに便利。
魚屋なんぞは、中に座って食べる席があるのだ。そこで刺身を食っている外国人もいた。
 
そのほか全国の地サイダーとか、かなり珍しいものが並ぶ。
 
 
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この、奇天烈なバーガーはなんだ?
 

なかには英語の看板も並ぶ。中国語、韓国語も少なくない。
 


 
なんか、東南アジアのマーケット、いや、イメージ的には沖縄・那覇の公共市場を連想した。なぜか?品にも沖縄関係の商品が目立つ。
沖縄に行かずとも、あの開放感、異国情緒?を味わえるかも。


 
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そして、無料休憩所も。

この奥でも、外国人がたむろしていて、日本人が近寄れない(笑)。




進化しているなあ。シャッター商店街が話題になり、衰退著しい街の市場だが、工夫次第で新しい客層を呼び込めるものだ。おそらく黒門市場も、どこかに転換点があって、先駆的な店が外国人対応したのだろう。
 
 
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最後に、ぜひ紹介したいのが、この屋台。
 
こんな屋台が大活躍しているのだよ。
屋台こそ、表に客を求めて討って出るアイテムだ。
 
そして屋台も商品だ。全国の商店街に売り込めないか(^o^)。
もちろん、国産材の屋台であってほしい。

2014/07/18

世界の人口は減る! 木材需要は?

昨日は、直近の木材輸出状況を紹介したが、少し反省。

本来の林業は、そんな目先に追われちゃいけない。もっと世界のとうとうたる時代の流れで物事を考えないと( ̄^ ̄)。
 
 
ということで、世界の木材需給の大きな波を考えた。
 
思い出したのは、世界の人口推計である。日本の人口は減少局面に入っていることは皆が知っているとおり。が、世界的には、途上国を中心にまだまだ増え続ける、人口爆発の脅威はおさまっていない、と思っている人がほとんどではないか。
 
だが、仰天する推計が発表されている。怪しい統計ではない。国連の人口局のデータだ。
 
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わかるだろうか。
 
地球上の人口増は、そろそろ頭打ちなのだ。
もちろん推計だから、増加圧を高く見積もれば、まだまだ増えていく。それでも増え方は鈍っているが。
 
低レベルならば、なんと2040年代には減少局面に入る。中間モード値を取っても、横ばいから微減へと移りそうなのだ。
 
つまり、発展途上国も含めて、多産による人口増はいつまでも維持しないと考えられている。
 
理由は、やはり少子化の進行だ。医学の発達と経済発展は生涯出産数を小さくする傾向が知られるが、それが世界的傾向なのである。
 
同時に、世界の木材需要は今は増えているが、おそらく頭打ちになるだろう。
 
もっとも多い燃料としての需要は、効率的な発熱装置の開発で少なくなるだろう。薪を使うにしても効率的なコンロの開発で少量で無駄なく熱を発することができる。
用材需要も、代替マテリアルが続々と登場している。建築物や土木素材から木材の利用は減少するだろう。
 
かつてのように木材は、絶対的な燃料や建築材ではない。多くの資材の中の一つである。その中で木材が使われるのは、やはり「木」とわかる使い方に絞られていくだろう。
 
これは悪いことではない。これまでいかに無駄な使い方をしていたか振り返れば、その無駄を省くだけで木材需要は縮み、森林への圧力は減るはすだ。
 
思えば、地球上には飢餓が常に発生しているが、実は農耕地は余っているというデータがある。余るから放棄地が出るのだ。ある統計では、世界にある15億ヘクタールの農地のうち3億ヘクタールが放棄地。途上国にも多い。しかも農地でつくられる穀物の半分が飼料用。だから、適切な流通により分配が行われば、飢える者など出ないと言われている。
 
 
おそらく同じように、木材も無駄に使用されているものが多い。本気でほしい人のところに届ける流通を築き、無駄なく使う技術を磨けば、原生林を切り開いたりせずとも、木材は世界的には余るのではないかと想像する。
世界の持続可能な人工林面積と生長量、歩留りを計算し、需要量と付き合わせれば、人類が森林に与えるインパクトをよい方向に誘導できるだろう。
 
 

2014/07/17

最新・国産材輸出事情

木材需要が縮む一方の日本。

 
その対策として上げられるのが、CLTなどの新建材に加工して、住宅ではなくオフィス建築物に使おうという発想があるが、もう一つ、国内で伸び悩むなら外国に売れ! という木材輸出のベクトルがある。
 
すでに2000年に入ったころから動きはあったが、なかなか上手くいかなかった。とくに期待された中国ビジネスは難しい。ところが、今年に入って新たな状況が展開されているらしい。
今年に入り、木材の輸出が大幅な伸び出したのだ。
 
1~4月の輸出額は前年比48,5%増の49億5000万円。
 
国別では韓国、台湾、ベトナム向けが4割以上のプラス。そして中国向けは2,4倍と突出している。
 
中国向けで売れるのは、スギ材が中心だが、低品質材の人気らしい。国内なら規格外扱いでチップにされるC材でも、高く売れるという。
その主な需要は物流用の梱包材や物流資材用らしい。貿易大国になった中国にとって、梱包材は逼迫しているのだ。
 
おかげで九州の業者は、必死で材を集めているとか。
 
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写真は、2002年の宮崎から中国への木材輸出。
 
船いっぱいに原木が積み込まれる様子は、迫力があった。当時、国産材がこんなに一か所に集められたことはないんじゃないか、と言われた。
せいぜい2000立米程度なんだが。
 

ここで改めて振り返ると、宮崎県で中国への木材輸出を開始したのが2002年。これを皮切りに各地で試行された。しかし、契約の概念や法規やビジネス慣行が違いすぎて、なかなか上手くいかなかった。またロシア材や米材との競争にも巻き込まれた。
 
その時の苦労が今になって生きたのかもしれない。あるいは10年前の挑戦は、機が熟していず、少し早すぎたとも言える。
 
なお当時輸出を狙っていたのは、住宅用資材となる原木だった。この分野は、競争が激しい。梱包材のような需要を見落としていたのかもしれない。
現在、韓国などには高級住宅用のヒノキが人気だ。中国も、じわじわと住宅用の日本材が求められるではないか。ベトナムは、おそらく加工して日本にもどす貿易だと想像する。


 
もっとも、金額的には四半期で50億円程度。まだまだ貿易としては小さい。木材量ははっきりわからないが、さした量ではないだろう。
そのうち大量受注が入ることがあれば、今度は日本側の輸出体制が問われるだろう。バイオマスだなんだと浮かれていては、とても輸出に回す分が確保できないのではないか。(あるいは、輸出に回すことで、発電用のバイオマスが集まらないかも。)

2014/07/16

福島・磐城高箸記事続報

昨日の記事に関して、別の記事があるという情報とともに、(写真が小さくて)老眼には読めない(^^;)という声が寄せられた。

 
そこでスペシャルバージョンで続報。
 
ただし、今度は大きすぎてブログへのアップが難しい。
そこで2面に分ける。見出しは二つに分かれたが、記事は読みやすいだろう。
 
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どうだ!

2014/07/15

福島から届いたメール

福島県の農林部次長から届いたメール。そして添付されたファイルは……

 
「月刊ふくしま」の記事である。
 
2014071416000000
磐城高箸の社長インタビュー。
 
 
 
ちょっと字が小さくてよみづらいかもしれないが、頑張って読んでください。
 
 

私のことに触れられているから、と送ってくれたのだけど、内容的には知っていること。
だが、改めて読むと、ちょっと目頭が熱くなった。
 
そういや、ここで紹介されている「希望のかけ箸」と『割り箸はもったいない?』をセットにした「割箸セット」も、ほぼ売り切れだ。つい先日も、女子大生が、研究用(卒論用?)として購入してくれた。
 
試みに行った拙著のネットによる直販だが、圧倒的に割箸セットがよく売れた。本としては割高になるのに、あえてセットで買うのは、やはりこの割箸に込められた思いに共感してくれる人が多かったのだろう。
 
 
残念ながら絶版状態だが、続編構想もある。
 
そういえば『ゴルフ場は自然がいっぱい』も絶版状態だが、今頃になって各所から問い合わせが来る。ゴルフ場閉鎖問題がクローズアップされてきたことをあるだろう。
こちらも続編を書きたい希望はあるのだが……。
 
ともあれ、私の本は時間をかけてじっくり売れる。今の出版業界には合わないみたいだけど。
 

2014/07/14

Yahoo!ニュース「天守閣再建ブームが……」を書いた裏側

Yahoo!ニュースに「天守閣再建ブームが巨木の森を破壊する!」を執筆しました。
http://bylines.news.yahoo.co.jp/tanakaatsuo/20140714-00037377/
 
内容は、これまでも幾度か書いた古代から近代までの巨大木造建築と森林資源の関係を整理したもの。
というのは、江戸城天守閣が、東京オリンピックをネタに俄然クローズアップされていたから。それに木曽檜や天然サワラ材の枯渇とも重なった。
 
そんなもんを理由に無駄なもんつくるな。つくるならCLTでつくれ……と書きたかったが、止めておいた(^o^)。CLTの説明が面倒だったので。いや、実際に国産CLTで天守閣建てるなら、賛成してもいいかな。国産でなくてもいいけど。
ちなみに以前撮影したはずの江戸城の一角(つまり皇居だが)の写真が見つからない。どこへ行ってしまったのか。

2014/07/13

自伐林業推進協会の設立

昨日の「誰が日本の森を救うのか」セミナーでも触れたが、最近、NPO法人として自伐型林業推進協会が設立された。

NPOとして民間主体。土佐の森救援隊の中嶋健造氏が代表理事だ。しゃにむに自伐林家が日本の林業を救う、と訴えている。
 
ちょうど、彼を取材した人から「過激な人ですねえ」という感想を聞いた。その点については、私も同意だ(笑)。最初に会って取材したとき、最後は怒鳴り合いのような喧嘩になった。まあ、酒が入るといつもそうなるらしい(~_~;)。


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ところで誤解してほしくないが、私は彼の意見におおむね賛成なのだ。日本の場合、大規模機械化林業より、自伐の小規模・低コスト林業の方に未来があると感じている。また所有していない業者に委託することで、目先の利益を優先した施業になりがちで、しかも委託料が闇の中になってしまう。
だから自伐は、森林の条件・事情に合ったいくつかの方策の中の有力な一つになるだろう。
 
ただし、どんな林業地でも自伐適合できるとは思わないのは、搬出や造材、販売先・そして流通といった専門知識と技術を備えないと林材の質につながらない分野があるからだ。それを、いわゆる副業として行うには無理がある。 また大規模化・機械化が向いた林地だってあるだろう。委託型林業で上手く行われている山林もある。
 
むしろ私が注目しているのは、自伐とは経営の規模ではなく、森林所有者自らが森林経営に携わることにある。そのことが短期的な利害に捕らわれずに長期戦略を持った森林経営に結びつくはずだ。実際の現場作業などは雇用してもいいし、委託してもよい。ただ所有者が本気で森を維持する気持ちを持ってもらわないといけない。その点、やる気のない所有者の多い日本の山では、なかなか受け入れられない元になるのだが。
 
逆に言えば委託であっても、委託を受けた業者に10年20年、50年先を考えるモチベーションなりインセンシティブを与えることができれば自伐に近くなる。(吉野の山守制度や、長期伐採権制度などはその一つだろう。)

 
ともあれ、自伐林業は日本林業の向かうべき方向の一つの可能性になるべきだ。だからこそ私の方から講演などで自伐方式を紹介して、応援しているわけである。
 
彼も、もう少し一般に通じる話し方をすれば賛同者も増えて大きな力になると思うのに、損しているなあ。 せっかく取材しても、あの過激な意見を聞くと、取り上げるのに躊躇してしまうようだから。
 
とうとう全国組織を設立したのだから、戦術も見直してほしい。過激な物言いでガツンと世間に訴えるところから、世間をまとめる役割への転換も必要だろう。
土佐の坂本龍馬も、徒手空拳ながら宿敵同士の薩摩・長州をつないだように。
 
だから、そのうち怒鳴り合わずにちゃんと話そうよ(^o^)。

2014/07/12

誰が日本の森を救うのかセミナー

誰が日本の森を救うのかセミナー
サウンドウッズのセミナー終了。

熱かった。いや暑かった、かな?
途中で冷房切れたから(笑)。

写真は、禁断の壇上撮り。

2014/07/11

毒づく!

数日前から、ムカつくことが起きている。もちろん仕事上のことだ。

 
某仕事の原稿に関することなのだが、いくつもムカつくことが重なっており、夜の寝付きも悪くなるほどだ。
 
もはや仕事の段取りとか意見の相違などを超えて、本気で仕事しておるのか、何のために仕事しとるのかい、どいつもこいつも仕事のイロハをわかっているんかい! と毒づきたくなる。
 
気分転換にいろいろ試すが、なかなか晴れない。ほかの仕事が手につかないではないか。
 
今日は、ラッキーガーデンに行き、生駒の緑を眺めつつスリランカミルクティの昼下がりを送る。

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台風一過の青空も覗き、回りの棚田は緑一色。
目の前には、ヒツジが一心に草を食んでいる。
  
独特の熱気と湿気に夏を感じ……。
 
 
これで森林セラピー効果で気分も晴れて……。



ええい、やっぱりハラワタ煮えくり返って、気分は晴れんわい(-_-)。
 
明日は、講演なのに……そうだ、講演会場で毒づこう。暴露してやろう。これで気分すっきりしよう。
 
もし、私の毒づき・内幕暴露を聞きたい人は、サウンドウッズの「誰が日本の森を救うのか」セミナーへ。
 
満員御礼で受付終了しているけど(~_~;)。ワハハ。
 
 

2014/07/10

天然サワラが尽きた理由

台風8号が沖縄から九州を横断して太平洋岸を舐めるように東進……近畿も厳重注意だったのだが、実際のところはたいして雨も降らず風さえ吹かず。
なんか台風気分ではなかった。
 
と思ったら、近畿を通り越した長野県の南木曽町で土石流が発生して死者を出している。
 
※ちなみにテレビのアナウンサーが「みなみきそまち」と何度も発音していて、ああ、後で訂正入れるかなあ、と眺めていた。もちろん南木曽と書いて「なぎそ」である。

先日紹介した木曽檜も、実は南木曽産である。くださった人の兄弟が会社をやっているわけで、私も訪ねたことがある。
 
それで写真を探してみると、こんな木材市場のものが。
 
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これは、天然サワラ。

 
 
 
今や木曽檜以上に貴重なのではなかろうか。
 
 



実は、天然サワラ資源は、もはや尽きているのだそうだ。もともと植林だってさして行っていないし、群生地も少ない。
その理由は、善光寺にある。最近、屋根の修理で天然サワラを大量に使ったのだ。
  
国の重要文化財になっている善光寺の三門の解体修理時に、大正10年の修理で檜皮葺となるまではサワラ板を用いた栩葺きであったことが判明した。そこで近年行った改修では、建立(1750年)当時の姿を再現するため、約260立米(170本)の天然サワラを集めた。もちろんそれは、国有林から切り出している。

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これは、木曽赤沢のサワラ林(のはず)。

夏でも、虫が飛ばないほど精気を発していた。
 


某氏は伐り出しに反対したそうだが、どうしても天然サワラでなくては、と言って最後に残っていたような資源まで伐り出してしまった。そのため、ほぼストックは底をついたという。
今後もまとまった量が出てくるかどうかわからない。もはや天然サワラは保護林しか残っていないだろう。そもそも栩葺きの屋根材にするほどのサワラは、樹齢200年ぐらいは必要だそうだ。
 
最近、寺社や天守閣などの復元や修理(計画)が増えているように思う。京都の東本願寺や西本願寺の本堂改修、奈良の興福寺の金堂が再建中。さらに平城宮の復元も進んでいる。名古屋城に駿府城に江戸城の計画もある。が、それは最後に残った長大材の資源を根こそぎ奪うことになりかねない。


  
……南木曽からここまで連想してしまった。災害に遇われた方々にお見舞い申し上げます。

2014/07/09

茶師と宇治茶条例

先日の東京で出会った人の中に「茶師」の佐々木健さんがいた。

 
茶師とは、チャノキの葉からいわゆる「お茶」をつくるまでの工程を担当する職人のことだという。製造は農家とか組合で行うのが一般的だろうが、こうした職人が介在することもあるそうだ。緑茶の世界にも、そうした役職があることを知った。
 
彼は、料理人からの転進という珍しい経歴の持ち主だが、マスコミにもよく登場しているらしい。思わず私と「最近美味しいお茶がない」という話で盛り上がった。緑茶ジャーナリストになりたいとも口走った(~_~;)。もっとも、私は、某氏が進める川根茶をついに関西で発見、購入してなかなか満足できるものだったのだが。
それはともかく、彼が日本の林業や国産材のことに興味を持っているというのは面白い。
 
 
ところで、関西圏のニュースになっているのが「宇治市の宇治茶条例(案)」である。一瞬、宇治茶の品質などを取り決めるものかと思ったが、全然違った。
これは、宇治市がもっと宇治茶を広めようと、「おもてなし」の心を業者、行政、市民一体として取り組む……という趣旨らしい。
 
 
折しも、うちの父が「前に注文した宇治茶を取り寄せよう」と言ったので、私は猛反対したところであった。
なぜなら、そのお茶には、アミノ酸などが添加された代物だからだ。その点は、以前も記した。
  
「宇治茶の味の素?」
 
条例で「おもてなし」を謳う前に、まず品質や成分を規定した方がいいんじゃないの?
 

 
同じことは、国産材にも言えるのだが。
国産材の振興を言いつつ、違法木材や産地擬装をしっかり締め出さないようでは、先が思いやられる。

2014/07/08

樹木「思いつき」占い

まずは、この写真を。

 
先日の東京を訪れた際に、さる住宅街で見かけたもの。
 
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見ての通り、一般の住宅の庭に生える木が柵を超えて……というか、ぶち破って伸びている。
 
この木はヒノキかサワラか。いやイブキかもしれない。
 

それはともかく、この光景を見て、最初に何を考えただろうか。
 
1、よく成長したなあ。最初は柵の向こうに小さな苗だったんだろうな。
 
2、壊れた柵が、木に突き刺さっているみたいだ。早く柵を外してやればいいのに。
 
3、あああ。柵を壊しやがって。さっさと木を伐るべきだ。
 
4、よくここまで木が大きくなるまで放置したものだ。住人は庭も満足に管理できないのか。
 
5、この町では、この木が名物になっているのかな? 見学者が来るかもしれない。
 
6、この木は何という種類だろう。これからもまだまだ成長するんだろうか。
 
7、壊れた柵を撤去して、ちゃんと直すには、どれくらいの費用がかかるかなあ。自作した方が安上がりかしら。
 
8、これがどうした。こんな光景に何の興味もない。
 


……どこまで続くか(^o^)。それぞれの見た感想から貴方の深層心理を分析しましょう。そして未来を占います……(-人-)なむ~。
 

2014/07/07

「立米240万円の木曽檜の板」の問題点

先日の東京で行った講演の参加者から、木曽檜の板をいただいた。

 
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お、これはまな板か。。。。
 
いや、違うのである。ある目的で切り出した板なのだが、その価格たるや、立米240万円!
 
今でもあるのだね、そうした値のつく木材が。
 

ちょっとアップして木目を見てもらおう。
 
2


アップしすぎ?だが、この繊細な目がわかるだろうか。
 
さすがに圧倒される。年輪幅は、1ミリ以下。十分に見えないほど狭い部分もある。
 

 
が、この板は使えなかったそうだ。依頼主から断られたそうだ。
 
何が悪かったのか?
 
裏をひっくり返して見ると……。
 
3

うっ。これは……。
 
ヤニ壺であろう。わずかに傷がついたのか、木目の間にヤニが生成されたらしい。
 
しかし、わずかこの程度で……。
 



もう一点あった。
 
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この断面。わずかに追い柾になっている。まっすぐな柾目ではなく、少し斜めに走っているのがいけないのだそうだ。
 




なんだ、その文句の付けようは。いちゃもんではないのか。
そもそも、この板から何を作るのか。
 
聞いてびっくり。なんと、卓球のラケットだそうである。
し、しかし、卓球のラケットと言えば、片面にはラバーを張るはず。つまり、ヤニ壺の傷があったとしてしも、隠れてしまうのではないか?
 
エンドユーザーが誰かはわからないそうだが、とにかく最高級のラケットをつくるのが目的とか。しかし、性能的な最高級ではなく、おそらく付加価値を高めるものなのだろう。もしかして、依頼主は、中国の卓球好きの大富豪だったりして。


とんでもない需要があるもんだなあ。

でも……私がこの板を使うとしたら、やっぱりまな板になってしまう(^^;)。いや、もったいなくて使えないか。



                              
(thanks to 木曽檜板&情報提供・山一)

2014/07/06

誰が日本の森を救うのか2014

間際になったが、ちゃんと告知しておこう。

 
もはや恒例行事化となった夏のセミナー
「『誰が日本の森を救うのか』。今年は大阪と福岡である。

 
Img001  Img002














  


 
私は大阪(7月12日)に出演。
 
私としては、4回のうち3回を大阪セミナーに出ているし、残り1回も会場にいたし、ようするに皆勤賞だ(笑)。
 
ということは、参加者の中には毎年参加している人もそれなりにいる。すると過去の回と重なる話をすると、「去年聞いた」「毎度同じ話をしてる」とブーイングの出る可能性がある。つまり昨年のネタの使い回しはできないということになる(^^;)。
 
そんなわけで、今回は少々趣向を凝らす。というか、過去のセミナーで使った素材はダブらない。初心に還る。原点にもどって森を考える。精神論をぶつかもしれない。参加者にも覚悟してもらわないと。自己啓発セミナーにして、骨壺売るかもしれない(^^;)\(-_-メ;)。

 
と、ともあれ、ご注目あれ。
 
参加希望者は、要申込み(上記チラシを参考のこと)。

2014/07/05

和風の建具

ちょっと和風建築に凝っている私。

 
 
と言っても、先日見た「現代和風」の国家的施設は、実につまらなかった。莫大な金と超一級の材料と職人を全国から集めたという触れ込みだが、大味で、スカスカで、落ち着かない。これぞ、和風でしょ! という力みばかりが目立つ。そもそもコンクリートづくりで建具を中心に内装外装を木をいっぱい使って和風にしたと言うのだが……「和」を感じない。なんか、ニュータウンの張りぼて洋館を連想した。
 
 
ところが先日見たのが、昭和初期につくられた屋敷。
 
和風といっても洋間もあるし、かなり古いだけに傷みも目立つ。名もない大工が建てたのだろうと思う。
 
でも、こんな障子を見ると、ほぉっ、と思う。
 
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実は、見学時は開いていたので目立たなかったが、あえて閉じてみると、斜めの桟の入れ方とか、細かな細工が際立つ。
 
改めて今見ても、現代的なデザインかもしれない。
 

でも、現代にこんな障子、いや建具を注文したら、どれだけの金がかかるだろう……。

2014/07/04

木のネコ

実は、昨日から東京に行っていた。

 
そこで訪れていたのは……
 
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木のネコのいる会社であった……。

 

 
まあ、このクラスになると、芸術だけどね。
 

で、泊まったホテルのフロントにあった台。
 
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なんの変哲もない、しかし、集成したことが模様になっていることが気に入った。

真面目に書く

以前、出版社の編集者と話していて、

真面目に書いた本は売れない

という話題になった。これは反語「不真面目に書いたら売れる」という意味ではないので、勘違いしないでほしいが、ようするに力入れて、こだわって、会心の作!と著者が思う作品ほど売れない……という情けない話なのである(;´д`)。

実際、ベストセラーになった本は、実は聞き取りをまとめたものだったりゴーストライターがいるものが多い。放談して、それを練達の小手先ライターがまとめるのだ。先年のミリオンセラーもそうだし、往年のダブルミリオンセラーもそうだ(^^;)。

 

まあ、内容より著者の魅力ということもあるだろうが、肩に力を入れていない方が読みやすいのだろうな。だかから、こだわりの作品を、いかに力抜いて書くか、がテクニックになる。

もちろん、これは一般論である。渾身の1冊がベストセラーになることも、当然ある。ただ、思うに任せないのが世の習いなのだ。

 

そして私の本に関してよく言われるのは「情報てんこ盛り」だということ。扱う範囲も広くて森林・林業・山村・そして流通業界やら建設業界やら。さらに時代を遡った歴史に海外情勢……こんなに詰め込むのは、大変な作業なのだが、まさに「肩に力が入っている」。
これが本を売れなくしているのか?

……なんて疑惑を持ってしまった。

 

とはいえ、これは性分に近いのでしょうがないかなあ。一つのことを追いかけていると、その周辺事項に次々と眼が向き、しかも「これは外せない背景だ!」と決めつけてのめり込む。そもそも狭く深くよりは、広く深く(浅く、とはいいたくない)のだ。

しかし、総花的な本は売れにくいのかもしれない。

 

そういや初期の『「森を守れ」は森を殺す!』や『里山再生』(『いま里山が必要な理由』)『日本の森はなぜ危機なのか』などで扱った多くの分野の中から、割箸森林療法ゴルフ場などを深堀して別の本を出版している。

でもって、現在進行中の出版計画は、「広く深く」(笑)。

が、一方で「狭く深く」計画も進めている。同時に出版、というわけではないが、両方を世に問うて、世間の反応を知りたい。

2014/07/02

国産材柩とチャノキ樹木葬

樹木葬に興味を持って、いろいろネットで調べたら、次からネット画面には各地の樹木葬が表示されるようになった。Amazonしかり、フェイスブックしかり。煩いよ。。。

 

 

 

さらに関連して耳や目に止まる情報が、なんだか葬儀や墓関連。偶然なのか、興味を持ったからよく気がつくのか。

 

 

 

うっとおしくもあるが、時に面白い情報もなくはない。

 

 

 

たとえば、京都の井口木材では「杣人柩」を開発しているとか。

 

商標登録もされていて、京都京北産の節入りのスギ材(もしくはヒノキ材)でつくられた棺桶だ。

 

 

 

もともと井口木材は、木材販売に山仕事請負業をしつつ、おが粉を商品化したり、「井口きこり塾」の開催、そしてローズカフェというレストランまでオープンしている。

 

そんな6次産業化の一環として棺桶づくりを思いついたそうだ。 柩の中には、おが粉の布団も入っている。

 

 

 

 

 


さらに山梨県早川町の宝龍寺で始めた樹木葬は、埋葬地に植える木がチャノキだという。

 

 

 

 

 

 

もともと茶を自家栽培してつくっている土地柄らしいが、たくさん樹木葬をすれば茶畑ができる。そこから茶摘みをして茶をつくるのかどうかはしらないが……。

 

 

早川町は、なかなかの山奥。日本一人口の少ない町だそうで、私はこの町に設立された上流文化圏研究所に取材に行ったことがある。

 

 

 

 

 

この調子で情報を集めて、私も林業葬儀情報研究所を立ち上げるかなあ。

 

 

 

2014/07/01

木材利用ポイント制度を延長してほしい?

もうオワコン(終わったコンテンツ。たまには流行り言葉を使ってみたい)感がある木材利用ポイント制度。

 
だって、国産材振興のはずが外材もOKになったのだもの。いずれにしても今年春から半年延長されて9月までのはずだ。
 
ところが、再延長を望む声が出ていた。
 
福島民報 の論説である。(6月2日版を7月1日にネット掲載)
それによると、5月中旬に福島市で木材利用シンポジウムが開かれたらしい。そこで出席した木材の出荷側、住宅の建設側のパネリストがこぞって制度の再延長を林野庁幹部に要望したとある。
 
 
この時期には、すでにオウシュウトウヒやオウシュウアカマツ、ラジアータパインの解禁が決まっていたはずだが……。知らなかった?それとも知っていて気にしていない? 少なくても同席した林野庁幹部は間違いなく知っていたはずだが、口をつぐんだかな。。。
 
もしかして、これは全国的な傾向か。
 
たしかに今年5月までに6万件の申請があったというのだが、そりゃ金をもらえると思えば申請もするだろう。しかし、それが今後は国産材である割合はどんどん下がっていくだろう。
 
また昨年伸びたのは、消費税増税の駆け込み需要の要素が強い。実際に木材消費全体でも国産材が伸びたのと同じように外材も伸長している。何も施主が外材を控えて国産材に切り替えたといえない。
 
さて、林野庁はどうした心づもりだろう。
 
今、経済の腰折れをさせるわけにはいかないと政府が判断すれば、別に林業のことを考えるのではなく、外材であろうと何でも住宅着工件数を増やしたいだろうから、またバラマキをするかもね。 
 

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