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森と林業の本

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2014/08/25

環境省のシンポ

奈良教育大学で、「大台ヶ原に苔むす自然は再生できるのか」というシンポジウムが開かれると知って、覗きに行ってきた。

 
大台ヶ原は、奈良県と三重県の県境に広がる高原的な山で、吉野熊野国立公園の一部であり、日本一雨量の多い山とか、ニホンオオカミ最後の棲息地で今も希少種の宝庫とか、まあいろいろ言われているが、貴重な自然の残るところである。
だが、今やシカの個体数の増加によって、原生林が枯れて草原になりつつある。いや、ササさえ食べ尽くされつつある。また観光客の増加によるオーバーユースなども問題になってきた。
 
2
 
そこで環境省が、自然保護のためシカの個体数管理(ようするに駆除ですな)と柵の設置、そして入場制限などを実施している。
 
その成果発表ということなので、興味を持ったのである。大台ヶ原は私も好きだし、シカなど獣害問題は林業界でも大きなテーマだし、地域振興とも絡む。

   
  
……そして会場に着くと、140人先着順とあったところ、私は事前申込みも無視して押しかけたのだが、ガラガラであった(笑)。50人くらいかなあ。
 
が、始まる前から感じるのだが、空気が違う。何か、違う。
数多くのシンポジウムを経験しているが、なんだろう。
 
まだ、誰も話していない。知った顔もない。……それでも感じる違い。
 
そうか、これは環境省の主催シンポなんだ。
 
そう気づきました(笑)。いつもは、林野庁もしくは林業系の自治体、林業団体が関わっている。会場にも、林業系の人が多く、もしくはそこそこいる。自然と林業系の雰囲気が漂っているものだ。
 
でも、この会場には、その臭いがない。。。(⌒ー⌒)。
 
シンポが始まってからも、その発表の仕方や内容に「環境省的」な臭いを嗅いだ。
 
いや、まあ、気のせいかもしれない。別に研究発表という点では同じなんだが。環境系と林業系と言っても、扱う分野は被っているし、シカ問題や生態系の話なんぞは同じはず。パネラーの研究者には林学系の人もいる。
 
が、何か違いを感じるのだ……。
 
パネルディスカッションでは、自然保護団体の代表も混じっていて、彼が強烈な個性を出していた。
ここに林学を持ち込むな」とか「森を再生するためと言って、植林するな」なんて言葉も出る。ようするに、自然の遷移に任せよう、人の手を加えない方がいい、という主張。が、それは後半の話。
 
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会場に来ている人も、環境系自然保護系の人が多いのだろうな。なんか反応が違う。
  
パネラーには地元の上北山村の人も入っており、「大台のネームバリューで多くの観光客を呼び込んで、地域活性化を」というのだが、林業振興の話は出ないねえ(^^;)。

   
ツッコミドコロはいろいろあったのだけど、それはそれで、違和感を楽しんできたよ。
 
なお、シカの問題に関しては、個体数を1キロ平方メートルに目標の5頭まで減らすことに成功したという。またコア部分のほとんどを柵で囲んだことで、植生の回復も徐々に見られるらしい。これは、国立公園だからできたことだろう。
 
   
なお、シカ問題が大きなテーマではあるが、会場の大学があるのは奈良公園の一角と言ってもよい場所。
 
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キャンパス内に、シカの糞がいっぱい落ちている。
 
「奈良のシカ」は駆除できないしねえ。。。。

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