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2014/08/03

リーダーなんかいらない?

土曜日に続いてアクセスの少ない日曜日。またドーデモな頭の中にくすぶっている「思いつき」ネタを綴ろう。

 
 
もうすぐ夏の甲子園・高校野球が始まる。今の私はまったく興味がなくて、テレビで映ると反射的にチャンネルを変えるほどだが、今年は少し違った。(過去形)
興味を持ったのだ。それもPL学園に。
 
実は、PL学園は今夏の甲子園には出場しない。大阪予選の決勝戦で破れたからである。
強豪ひしめく大阪大会で決勝戦まで行ったのだから健闘したと言えるが、私か注目したのは今年のPL学園野球部に監督がいないこと。
 
監督なしで決勝まで勝ち進んだのである。作戦指示は、主将を中心に選手自身で考え合議制で行ったという。このことを知って、俄然興味を持った(笑)。
 
リーダーがいなくても、戦いに勝ち進めるのだ。
 
それで思い出したのは、リーダー、ボスの代名詞になりがちなニホンザルの群。動物園などでサルの群はボスを中心に組織づくられているような説明をされることがあるが、これは野生化ではまったく違っている。
 
野生のサル群にリーダーはいないのである。 餌付けされ(必要量を確実に供給される)、狭い閉鎖空間に閉じ込められるからボスが登場するようになったという。
 
餌付けされると、自分で餌を探す必要はなく餌を得る能力も発揮できない。狭い空間の中では逃げ場や独自行動を取ることもできない。ただ力の強いものが分捕り、指示(分配)する支配関係が生まれる。だからボス支配の組織となるのだ。
 
 
最近は国家や会社などで強いリーダーを求め、素早い決断などが重要だと言われがちだが、これは騙されているように感じる。
強い指示型リーダー(ボス)が登場するのは、国民・社員が自ら判断できない状況に追い込まれていて、それに乗じて支配構造を作る輩がいるからではないか。
 
誘拐された人質が、誘拐者にすがり頼る心理状況に陥ることをストックホルム症候群と呼んだと思うが、国民・社員が「強いリーダー」「勇ましいリーダー」を求めるのは、まさにそんながんじがらめの社会が作られている証拠だ。
 
いわば非常事態。戦争とか災害などでは個人で判断できないことが多くあった際は、短期的に全体を見回した人のリーダーシップが必要となることもあるだろうが、平常時~長期戦では指示型リーダーの存在は害毒になりかねない。
いや、そもそも強いリーダーを求める組織自体が異常事態。組織行動の体を成していないから、しぶしぶ必要となるのだ。
 
 
反対に考えると、リーダーがいなくても機能する組織を作るには、国民・社員が自ら判断するだけの情報を共有しなくてはならない。全員が同じ情報を持つこと。お互いの考え方を把握すること。(同意しなくてもよい。他者の考えや行動を知ることに意味がある。)そのために必要なのが、相互間の深いコミュニケーションではないか。
 
他者の考えや動きを把握し合っていたら自ら判断できるし、また他者の動きをフォロー合える。結果として全体が一丸となって動く。粘菌が環境に合わせて、単独行動型単細胞から多細胞的共同体へと変化するように。
 
 
そういえば、スイスのフォレスター学校のカリキュラムを見せてもらったら、その半分くらいが森林コミュニケーションの講座になっていて驚いた記憶がある。仕事仲間、森林所有者、木材販売先、環境教育……さまざまな場でコミュニケーション技術は必要なのだそうだ。
 
またアメリカ人の指導者のチェンソー講座では、二人一組になるのだが、一人が伐りながら常に手元の状態を伝えていた。もう一人はそれを聞いて、その木がいつどの方向に倒れるかを想定して、その後の準備に動く……という方法を説明していた。
 
欧米は「話さなければ伝わらない」という意識が強いためだろか、非常に積極的コミュニケーションを重視していると感じた。
(日本人は、なんとなく「話さなくてもわかってね」という以心伝心コミュニケーションを期待する。しかし、現代社会ではもはや通じないのは言うまでもない。)
 
しかし、コミュニケーションを重視する欧米は、見た目と違い、実はリーダーシップの必要性を減じている社会だと言えなくもない。
そういやスイスはリーダー不在社会に近いかもしれない。首相権限が小さいし、直接民主制である。にもかかわらず国際社会における存在感は大きい。
 
ともあれ完全なコミュニケーションを達成した社会にはリーダーはいらない。リーダー不在の社会こそが、理想社会のような気がする。
 
  
はたしてPL学園は、その域に達して監督不在でも強さを保てたのかどうかは知らない。
ただ今の日本社会は、コミュニケーション不足が甚だしいし、かといって有事型のリーダーもいない。自分の考えを押しつけることがリーダーシップだと勘違いしている知性や教養のない輩はごまんといるが。
 

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