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2014/08/11

「イヌワシのために」皆伐

最近、何かと目にしたり耳にすることの多い言葉「皆伐」。

 
いよいよ間伐では間に合わなくなったことを伺わせるのだが……。
 
こんなニュースを知っているだろうか。

http://www.nacsj.or.jp/katsudo/akaya/2014/08/post-35.html
 
群馬県みなかみ町の国有林「赤谷の森」で、行う「赤谷プロジェクト」。
絶滅危惧種のイヌワシの生息環境(とくに餌場)を作り出すために、成熟した人工林を皆伐して、イヌワシが獲物を捕獲しやすい開けた場所をつくり出す……というものだ。
 
ここで注目すべきなのは、猛禽類は上空を飛びながら地上を走る餌となる小動物を捕獲する習性があることだ。とくにイヌワシは基本的に草原性の鳥。森林に覆われた日本列島では餌探しに苦労している。
 
そこで、人工林を切り払って人工的な草原を作ってあげましょう、という計画なのである。
 
これは日本自然保護協会なども関わっており、実験には165ヘクタールを当てるという。来年にまず2ヘクタールを皆伐するそう。順次伐っていくそうだから、いつか全部? 皆伐するのだろうか。
 
猛禽類に開けた土地がいるのは事実。現在も、イヌワシやクマタカ、それに里山のオオタカなどは、餌場に田畑や林道が重要であることが知られる。
そして私は、草原生態系こそ地域全体の生態系の中で重要なのではないかと思っている。だから、理屈としては賛成なのだが……なんとなく、釈然としない。伐採した木は搬出して利用するそうだから、林業そのものだ。そして跡地に再造林はしないのだろうか。
 
皆伐と言っても、どれほどの規模なのだろうか。実験地になる165ヘクタールは連続した土地ではないと思うが、一か所皆伐した周辺にどれだけの森林が残されるのだろうか。
 
それにイヌワシのためなら、自然林も皆伐する必要があるのだが、対象は人工林だけなんだなあ。林業側の都合も入っているのかもしれない。
 
なんとなく、この実験が成功したら、人工林の皆伐にお墨付きを与えるような気がする。繰り返すが、皆伐が悪いというのではなく、その規模や伐り方、そして伐採後の土地の扱いが気になるのだ。
 
皆伐OK、猛禽類のためになるよ、国有林、どんどん伐ろうぜ、という声だけ広がって、技術もノウハウも規範もないまま全国に広がる可能性だって無きにしも非ず。
 
 

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森林学・モノローグ」カテゴリの記事

コメント

兵庫県にもイヌワシやクマタカが棲んでいますが、近年 官公造林(約20ha)が伐採された跡地の近くでクマタカの繁殖が確認されています。
皆伐の規模といいますか、立地条件というのが重要なのでしょうね。
スキー場などを見るとよくわかりますが、広範囲で草原として生き残れるスペックというのがあると思います。大昔は草原として生態系を維持していた所に人間が入っていって造林しているのだとしたら、皆伐して草原に戻すことは可能だと思います。またその逆もあるとおもいます。皆伐する区域の見極めには充分な配慮をお願いしたいですね。

猛禽類が羽を広げると2m以上になると言われてますが、皆伐でなくても傾斜に対して直線方向の帯状間伐(残存木の枝も考慮して6m~7mくらいの伐採)でどうなんでしょう?林分にもよりますが、滑空しやすい環境を作ってあげることで事足りると思いますが。

問題は、皆伐の規模と技術です。
私は帯状より群状というか、一か所は1ヘクタール以下の皆伐地をモザイク状に入れたら……と思うんですが。また皆伐によって表土を荒らさないようにするとか、伐採跡にどのような植林をする(あるいはしない)などの技術的な蓄積をしておかないと、怖い。
形をまねるのではなく、目的にそったやり方を厳密に守らせないと。

他地域でも「イヌワシのために」という口実で野放図な皆伐を始める可能性がなきにしもあらず、だから。

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