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2014/08/29

FITと製紙原料

バイオマス発電事業が盛んになってきた。
 
もちろんこれは、FIT(再生エネルギー固定価格買取制度)によって燃料とするバイオマス(木材)の価格の底上げが図られ、採算が合うと見込まれたからだろう。
 
それに合わせるように、未利用材の収集が行われるようになってきた。山に眠っている未利用の木材を搬出して、チップにして燃料に使うのである。
ここで木材の区分が少し代わってきた。一般に無垢の建築材などになる製材される木をA材と呼ぶ。次に少し曲がりなどがあるものは合板用に回すのでB材。そのままでは使い道がなくチップにされるのがC材と呼ばれてきた。
 
これまではC材と言えば製紙用チップだった。ところがバイオマス用のチップ材も現れたので、最近ではD材という呼び方も登場した。しかし、C材とD材の区別は十分についていない。
ここで気がかりな点がある。製紙用になるはずの材も、燃料として燃やしてしまう可能性が高まっていることだ。なぜならFITで、価格が製紙用に出荷するより高くなりかねないからだ。
 
これはもったいない。木材としては製紙の方が価値のある利用法である。発電用はいきなり燃やして終わってしまうが、紙は一定期間使われた後て焼却される。つまりカスケード利用が可能なのだ。
 
 
製紙用チップにはちゃんと規格・品質があって、どんな木でも砕けばいいわけではない。チップの大きさ・形状もあれば、材質もある。また樹皮などが混ざってもダメだ。結構厳しいはず。
一方、燃料用は、とにかく燃やせたらいい。本当は樹皮が混ざると灰分が増えるとか、含水率の高いチップは熱量が下がるなど影響するはずだが、細かなことは言わない。
 
本来ならC材の方がD材より高いから、自然と両者は区分されたはずなのに、市場原理が働かなくなっている。
 
なおFITは、エネルギーの中でもとくに発電した場合しか適用できない。バイオマスを燃焼させた場合、通常木質の持つエネルキーの20%内外しか電力に転換できないとされる。残りは熱になるが、現在の日本に利用計画はないに等しい。せっかく上乗せ価格で集めた木材のエネルギーの8割を、無駄に捨ててしまうことになる。
 
これをなんとかできないか。
 
そう考えると、やはり製紙会社に任せるのが一番ではないか、と思い当たった。製紙会社は、(輸入、国産問わず)集めたチップをパルプにするとともに、そこに含まれるリグニンなどの成分を燃料に回し、熱を利用するとともに発電も行っているところが多い。またパルプにならなかったようなもの(木粉)も回収してエネルギー利用している。
すでに、そうした仕分け能力と、エネルギー利用のシステムを確立しているのだ。
 
製紙会社はセルロースを取り出して紙にするだけでなく、リグニンなどは燃料に、その他無駄なく利用するシステムを持つ。全部燃やしてしまうバイオマス発電より高度な利用技術をもっている。
 
新たにバイオマス発電に参入する業者に、そうした機能は期待できない。
 
いっそFITのバイオマス発電も、まずC、D材の全量を製紙会社に納入させるべきではないか。そして製紙用C材と燃料用D材の仕分けをさせ、ちゃんと有効に使う。さらに熱も無駄なく利用する。国産材によるバイオマス発電事業は、製紙会社に限定したがよいかもしれない。
 
……こんなことを書くと、製紙会社の回し者のようだが(^o^)、それでもよい。別に、何も受け取っていないけど。持ってこられても断らないけど。。(オイオイ……)
 
どう考えても、その方が資源の使い方としては効率的で無駄が少ないのだ。
ついでに言えば、燃料が足りなくなっても、製紙会社は輸入も含めて確保する手段に長けている。持続できる可能性は高い。(各地に、燃料を未利用材に限ったため、数年で燃料が尽きて稼働停止になりそうなバイオマス発電所が多い。あるいは最初から輸入バイオマスに限ったバイオマス発電所もつくられている。)

 
085
 


某製紙工場。
 
紙の原料の国産化を進めることは、木材自給率を上げる決め手だろう。




   

   
よく言われるように、森林事情は世界と日本は真逆である。
 
日本は森林飽和状態で、木が育ちすぎた。もっと木を使わないといけない……という木あまり現象を生じて、「木づかい運動」まで起こしている。
だが、世界的には森林面積の現象は加速しており、いかに森林を守るかが早急な課題なのである。そのためには植林も必要だが、木の伐採を抑制しなければならない。
 
だが日本だけを特別扱いして、「どんどん木を伐れ、木を使え!」と叫ぶことがよいことか疑問に思っていた。
日本も世界の一部であり、森林保全にも力を尽くさねばならない。それを世界に広める側に回るべきだろう。
 
だから使い方をもっと工夫しないといけないし、とくに無駄なく使う技術なりシステムを採用すべきだ。
 
 
……どうだろう? 今回は思いっきり製紙業界の味方(⌒ー⌒)。
 

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コメント

ちなみに、製紙用チップにも種類がありまして樹皮つき針葉樹チップも段ボール原紙用チップとして立派に流通しております。

下水処理汚泥からメタンを回収するプラントで発電された電力は、大半が下水処理に使われて、ちょっと売電という程度と思います。
糟取り焼酎は、日本酒以上の生産量は出来ないと思います。

今、バイオマス発電に期待されているのは、原発の(全てではないにしろ)代替電源な訳です。

製紙工場(のカスを使った発電)から十分な発電量を得るために、紙を大量消費しなくてはならないとしたら、本末転倒と思います。

もちろん樹皮も使える用途もあると思います。段ボールは再生紙分が多いでしょうけど。

発電量を高めるために無理に紙を使うなんて馬鹿な(笑)。輸入チップを国産チップに置き換えるだけのことです。針葉樹チップの7割は国産といいますから、あと3割はいける。

小さい木材市場に勤めています。
我が市場でも、
C材チップ用・D材バイオ用に分けるのですが
D材のほうが、価格がC材の倍以上です。
そうなると、みんなD材に送りますよね。

B材ベニヤ材(小曲がりOK)と、直材(集成材用)では、
ベニヤ材のほうが、価格が高い場合は直材も回します。
(分けなくてもいいしクレームも無い)

製紙会社も、価格を上げれば集まりますが、
広葉樹は高くなるので、行きます。

田舎なので、昔は製材所相手でしたが
今は、工場行きが増えました。
お金も安心ですし、回収も早い。
ただ、木を吟味して買いたい人には、悲しい時代になったと思います。
市場の『競り子』の人は、『昔は面白かった』と、言ってます。

D材価格が、C材の倍以上ですか! そこまで行くとは思わなかった。これでは、みんなバイオマス用に流れてしまいますね。

木材をきめ細やかに使って価値を上げてほしいのに、今の流れは反対です。本当は大きな木材コングリマリット企業が、自社でABCD材を分類して使い分けてくれたらいいのですが、そんな力のある会社は日本にない。せめて製紙会社が……と思うのですが。

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