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2014/09/29

フリーミアム、そして贈与経済としてのブログ

フリーミアムという言葉をご存じだろうか。

 
フリーとプレミアムを合わせた造語だ。……アルコール抜きのビールもどきのことではない。
 
フリーは無料を指し、無料で儲けるビジネスモデルと言ったらよいだろうか。矛盾しているようだが、無料で配って利益を得る仕組みは、今や珍しくなくなった。とくにIT業界では目立つ。
 
たとえば無料でソフトやゲームを提供しつつ、グレードアップを求めるとプレミアム、つまり割り増しの場合は料金が発生させ、そこで稼ぐ。
また、無料で雑誌や新聞を配るものの、多くの人が目を通すことから広告料で稼ぐ。
 
モデルはいろいろあるが、ようは無料で提供しても、ちゃんと元を取れるわけだ。
 
……なんで、こんなことを思い出したかというと、先に「素材とビジネス」について考え、無料で行う「おもてなしは大嫌い!」と書いたからである(笑)。
 
そして私自身が「ビジネス下手(泣)」と告白してしまった。
何より、このブログは無料で書いているのだから、まさにフリーなのである。本当は、このブログから拙著を購入してもらうことでプレミアムが発生するはずだが……果たして、採算はあっているのか? 
  
  
実は、もう一つ今風のビジネスを示す言葉がある。
 
贈与経済」だ。他者に与えることで経済を回す仕組みである。通常なら、いかに自らが受け取るか、収益を上げるかを考えるべき経済・経営に、無償で与えるモデルがあるという。
もっとも、これがビジネスなのかどうかは、私も迷うところだが……。
 
もっともよい実例は、ウィキペディアのような読者参加型の百科事典製作だろう。執筆者は、利益抜きで、自らの意志で参加する。しかも匿名だ。ほかにも、ネットには無料でさまざまなことを教えてくれたり助けるサイトが多くある。また実社会に進出する例もある。
 
これは、一種の趣味だろう。自らが持っている知識や技量を無料で贈与する感性を人々は持っていることを示す。
ただ、自らの所持するものを必要以上に滞蔵せず、次(他者)にパス(贈与)していく仕組みだ。(内田樹の定義より)
 
 
たとえば最近の年寄りは、金など財産も所蔵品も、自らが使う以上に溜め込んでいる例が多い。それは死蔵(不良在庫)となり、世の中に役立つことなく、消えていく。それぐらいなら、無料で提供する方がいい。それが経済を活性化すれば回り回って自らにも利益を与えることもあるし、評判や名誉につながるかもしれない……そういう考え方である。
 
贈与経済の次には評価経済という言葉も登場しているが、それはパス。
  
 
  
そう考えると、本ブログは、贈与経済の一つかもしれない。まあ、趣味だし(笑)。私自身には思考トレーニングの意味もあるが、基本は贈与。「思いつき」だから細かく調べないし、後で間違っていることがわかっても文句言わせないよ。(たまに「ジャーナリストなのに」と文句つける人がいるが、それは有料ブログやメルマガに言え。)
 
ちなみに、私は雑誌記事なり書籍なりを執筆する際に、相当な量の情報を仕入れる。また考え抜く。いくつもの論なり説なり、アイデアを生み出す。が、そのうち文章にするのは10分の1以下だろう。絞って、絞って、ほとんどを捨てて滴を執筆に使うのだ。
 
だから、残り(のさらに一部)を無料でブログに書くことによって提供している。滞蔵せずに「次にパス」しているのだ。もしかして、誰かが活かしてくれるかもしれない。それが回り回って……ああ、私の元に帰ってくることはあるだろうか?
 
  
というわけで、ここで少し情報漏洩を。
 
 
10月15日発売の拙著のタイトルが『森と日本人の1500年』になるまでの軌跡。
 
最初の仮タイトルは『森から見たニッポン』だった。
原稿アップ後、編集者とともに考えたタイトル案は、全部で20~30はあったのではないか。事前の打ち合わせの中で数字を入れるといいんじゃない? という提案があったので、ならば1500年という年数を入れようということになっていた。
 
最終的に絞ったのが、次の5本。
 
森と人の1500年史
森から見たニッポン ~人がつくった風景1500年史~
森の日本史 ~1500年かけて生まれた風景~
森と林業と日本人 ~知られざる風景1500年史~
森の風景進化論 ~1500年間、日本の森は変わり続けた~
 
絞ったせいか、かなり似通ったものになっている。そして決まったのが、これらをシャッフルした『森と日本人の1500年』だというわけだ。私の本としてはオトナシめだが、これは版元の性格もあるかもしれない。地味に売っていこう、というわけではないが。
 
以上、通常なら表に出さないボツタイトルの無料(フリー)大公開(贈与)でした(笑)。

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コメント

タイトルは見たとたん「読んでみたい」と思いましたよ。
1500年前というと6世紀前半大和王権が継体王朝に移行するあのころだな~とかいろいろ想像するので数字を入れたのは歴史好きにとっては正解かも。
まだ買ってませんが買うつもりです。
次は「評価経済」についてブログで書いてください!田中さんのご所見を知りたいです(^^)
あ、新刊買いますよ。もちろんです。

ありがとうございます!
しかし、1500年前から継体天皇を思い浮かべるとは……(笑)。まあ、飛鳥時代を想像してくだされば結構です。本当は邪馬台国も含めようとしたけど、すると1700年、1800年前になるからゴロが悪いかと。

評価経済にさらされるのは、読まれてからの私の方です。。。

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