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森と林業の本

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2014/09/03

混交林化する里山林

私は、いつも裏山を歩いてカエンタケなどキノコ類ばかり追いかけているわけではない。

 
最近気に入っているのは、里山の人工林。里山の森林と言えば雑木林なのが定番のように思いがちだが、よく観察すると、かなりの頻度で人工林が目に入る。
 
里山の植生は、落葉広葉樹に加えて、近年はタケ……モウソウチクが増殖しているが、それとは別にスギ、それにヒノキが混じっている。戦後の造林ブームの際に「低質な」雑木を伐って針葉樹を植えたのだろう。
 
それが馬鹿にならない面積を占めている。とくに生駒山の場合は、感覚的には森林の2割を占めているのではないか。製紙会社の持ち山も多く、わりと手入れはされているように思う。高級材とはいかないが、すっくり伸びた直径30センチ級のスギが林立しているところもあるから、なかなかのものだ。
 

Photo

 
結構よい木が育っているではないか。

最初ころは枝打ちもしたのだろう。


          
 
しかし、収穫される可能性は極めて低い。材価が下落して利益が出ないのはもちろんだが、そもそも伐採しても搬出ルートが難しい。ハイキングコースは縦横に伸びているが、そこを作業道にして重機を入れるのは無理がある。そして森の周りはニュータウン。丸太積んだトラックを走らせるのは住民側が抵抗するだろう。
 
で、どうなるか。放置されるのである。それがどうなるのか、観察している。
 
1
  
キノコと一緒に見てきた里山の人工林。
  
 
林床に落葉樹、照葉樹がびっしり生えてきたのだ。
これなら、雨にも強いだろう。
      
こんな森林が増えている。

  
  
     
 
4

              

もう少ししたら、広葉樹もスギと肩を並べるかもしれない。
 
多少は紅葉する木も混ざっている。上手く育てば美しい混交林になるだろう。
 
                         
放置された人工林は緑の沙漠。林床は暗くて土壌が流出して、山もいつ崩れるかもしれない。木も育たず細くてヒョロヒョロ……。
 
そんな一般的なイメージを吹き飛ばす放置混交林になってくれ。
 
こんな見どころもあるのだ。
 

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森林学・モノローグ」カテゴリの記事

コメント

こういう里山があることは嬉しいですね。このまま何世紀もじっとしておきたいものです。土砂災害への耐久性も高いでしょうね。

私は、仮に放置せざるを得ない人工林も、ほんの少しの工夫で混交林に誘導できるんじゃないかと思っています。放置、即線香林で荒廃すると決め込まないで早めに手を打てば。

もちろんケースバイケースですが、そんな技術を研究してほしいですね。

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