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2014/10/19

森林総研の「シカ算」

先週末、17日に、京都で森林総研関西支所の公開講演会

「森のなか、シカが増えすぎて・・・」が開かれた。
 
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ほぼ満席。ただし講演中の写真撮影は禁止になったので、これは始まる前である。
 
  
テーマは、シカ、そしてクマ。(ツキノワグマも増えていると断言したのは、そこそこ斬新かも。ただ、その理由を明確には説明されなかったのは残念。)
 
セミナー的には、シカが増えたことでどんな問題が発生しているか、どう対処するか、クマも数は増えても問題がある……という点に重きを置いていたようだが、私が興味を持ったのは、なぜシカが増えたのか、という根本。
 
そこではシカ算が提唱?された。
 
ネズミ算は、一度の出産数が多いことが前提だ。1匹が子供を2匹3匹~10匹と出産することで、倍々的に増えていく。
ところがシカはたいてい1回の出産で1頭。ネズミ算は当てはまらないのである。
 
ただし、約1年で成獣化して出産可能になり、しかも毎年出産できる、高齢出産できる……ことがポイントだそうだ。また比較的長生きでもある。
 
つまり複利計算なのだ。孫、曾孫が生まれるほど世代を重ねても、自らも毎年生む。ネズミはそんなに長生きしないから、同じ世代で増えていくのに対して、シカは高齢世代と若年世代が同じように出産をすることで増えていく。……年20パーセントの増加率だそうだ。
 
付け加えれば、シカの餌は葉っぱ系なら基本なんでも食べられる。樹皮もたいてい食べられる。つまり餌の量は非常に広く多く分布しており、不足しにくい。それも数が増えやすい一因のような気がする。  
 
  
……こうした講演を聞いていて、ぼおっと思ったこと。
 
シカし、シカ算でシカが増えていくと言っても、それを止めるために人間が関与しなければならないというのは自然界の摂理なのだろうか。シカがシカ算という生存政略を取るのなら、それを規制する何かの仕組みが自然界にはあるはずだ。人間が管理しなければ生態系が守れないというのはどこかオカシイ。
 
シカ肉を普及させて駆除を増進させるのも、思うように進むだろうか。
仮にジビエとしてシカ肉が人気を呼べば、シカを養殖する人が必ず出てくるように思う(^^;)
すでにイノシシ肉を供給するために、イノシシ牧場をつくった人もいるからなあ。
 
いっそ、人が関与せず、このまま放置したら、どうなるか。
 
その先に何が起こるか興味がある。
 
 

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森林学・モノローグ」カテゴリの記事

コメント

シカの増加には人間が大きく関与しているのではないでしょうか?
森林整備的な作業は皆伐も間伐も除伐も、やればやるほどシカにエサを供給します。
人工林はシカ牧場です。
他にも道路へのエンカル散布なども影響あると言われています。

自然はどこかで帳尻を合わせるでしょうから、その時は人間もろともというコトも?

講演でもありましたが、戦後はシカの保護政策を取ったことは一因だと思います。また、皆伐などで山に伐採跡地を草原にしたことも増える端緒にはなったと言えます。
 
でも、今の増え方は人間だけのせいにはできませんね。
まさに、自然界はどこかで帳尻を合わせると思いますよ。ガクンとシカが減る変動が起きるんじゃないかな。その原因は、病気なのか気候なのか、天敵なのか。。。

すでにシカを増やして帳尻合わせを始めているような気も…別な意味で。(笑)

シカやイノシシ、そしてクマのせいで山間部の農林業が不可能になって人口が減ると、人の手を入れた土地で遷移が進んで生態系が変わる。
その末に新たな動植物の生態系が登場するのかもしれませんね、それが帳尻合わせ。

ご来場、有り難うございました
1.平安時代以降、すごくたくさん捕獲してきたと思いますよ。革製品といえば、まず鹿皮ですから。とくに明治〜昭和前半
2.昔はしょぼい植生の山が多く、今ほど餌がなかった
3.昔は少しは天敵も居た(オオカミの他、野犬など)
 林野行政には、残念ながら壮大な時間軸の視点はありません・・・(__;)
 ちなみに、安直に鹿肉料理を出すようになったお店の中には、かなり不味いお店も少なくないですね−・・・

鹿柵が多くのところで設置してありますが、鹿柵内の木も食害をたくさん受けており、鹿柵のあり方に疑問を感じます。かなり苦労して設置したんだろうなと思うような施工地もです。鹿柵自体、山にごみを増やすようなもので、景観も損ねますし、お金もかかり、やめた方がいいといつも思います。

江戸時代も獣害に苦しんだようです。銃を使わせてくれと藩に陳情した記録が多数ありますね。でも、その銃も火縄銃だから数を抑えるほどの威力はなかったんじゃないか。

結局、幕末に高性能の連発銃が入ってきて、シカを追い込んだんですね。その銃はアメリカの南北戦争の遺物だけど。遺物が幕府を倒しただけでなく、シカやイノシシも追い込んだのかも。

ならば、高性能のシカ捕獲システムをつくらないと間に合わないかもしれん。

私は、シカ柵を山に張りめぐらせるより、シカの報償金を値上げするのが手っとり早いと思うけどなあ。1頭5万円くらい出せば、参入者が続々と現れる。年間20頭くらい獲れば、結構な収入になるから。それを10年限定でやってみるとか。10年後から価格を少しずつ落としていく(^^;)。どこかで均衡するのではないか。
柵代より安くつくと思うけど。

報奨金をいくら払っても、少しも食害が減らない山林所有者が続出すると思うんですけど

大丈夫。奥山の所有者は、自分の山でシカ牧場をつくり、時々増やしたシカを銃で撃って「出荷」して報償金をもらったら、林業やるよりもうかりますから。

 わが実家の周囲には堀(溝)があります。野生獣との境界です。山よりも畑を防備することがやはり大切だったんだと思います。それが放置されて久しい。昭和30年代ごろからは維持管理しなくなっているようです。この間は、境界を維持しなくてもいいような状況だったんだと思います。獣が少なかったのか、奥山の方に集合していたのか。

鹿肉ソーセージおいしかったですよ。

鹿肉ソーセージもいいのですが、食べて頭数管理は難しいだろうなあ。

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