国産合板の切り札
合板大手セイホクグループの一つとして来年3月から稼働する北上プライウッドは、スギ、カラマツ、アカマツなど国産材100%の合板を生産する。その売り先として期待されているのは、海外だそうだ。
まずは、台湾に輸出。合板の規格が日本と同じで売りやすいということもあるのだろうが、初めは毎月数千枚程度で、徐々に拡大していく予定。そしてアメリカや韓国、中国などへも輸出を目指す…という。
この工場は、東日本大震災で崩壊した工場の後釜的な意味もあるのだろう。実際、材の行き場を失っていた岩手では、歓迎されるはずだ。しかし、考えてみれば合板だって需要はかなりタイトなはずだ。
ちょっと調べてみると、合板は木材需要の中でシェアは13%程度。合板のうち国産は37%で、国産合板の材料の7割が国産材らしい。そんなに健闘しているとは思わなかった。しかし人口減社会で合板需要は、漸減していく。とくに現在の復興需要が一巡したら、一気に供給がだぶつくかもしれない。そこに新工場を建ててどうするのだろうか。幸い、円安は輸入合板の勢いを止めるから、今は有利だが……。
その対策の一つが輸出とは。ちょっと盲点。なるほどねえ。合板は輸入が大勢を占め、国産合板も材料は外国産が大半という時代からすると、大転換だ。
しかし製材ならともかく、合板のような量が勝負の世界で、国産ものを輸出して、世界的に価格競争をしている合板業界で勝ち目はあるのだろうか。。。。。やはり高級路線を狙う? しかし量は期待できないように感じる。
合板の内訳を見ると、唯一シェアが低いのは、コンクリートパネルだった。国産材比率は、たった7%だ。(コンパネは合板の中で14%。)
需要の延び代があるとしたら、国産コンパネかもしれない。
そして、もう一つ。違法木材の追放だ。合板大国のマレーシア、インドネシア、そして中国は違法伐採が非常に多い。中国の合板の多くはロシア材だろう。これらを規制するように世界の趨勢を変えれば、国際貿易における合板シェアも変わるかもしれない。
幸い、新工場で合板にする国産材は、森林認証(緑の循環(SGEC)認証の方らしい)を取得しているそうだ。(本当に、これで真の意味で合法で適正な伐採なのかは別問題だけど。)
国産材の中でも量で勝負する世界は、合法性の担保が切り札になるかもしれないなあ。
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