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森と林業の本

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2014/11/01

「森じまい」を考える

久しぶりの友人と会食。

 
話題は近況・仕事から発展して、墓じまいに……。 
 
墓じまいとは、自分の家のお墓の継承者がいなくなった場合、その墓をオシマイにする、つまり撤去も選択肢に入れた行為である。遺骨は合葬にするか、処分することになる。
最近、終活の一環として話題に上がることも多い。誰が墓守をするのかは、今や社会問題になりつつある。
実は当の友人がその問題に直面しているのだ。
 
そして、私も他人ごとではない。私が死んだら墓をどうするかは、結構真剣に考えている。
 
こんなことが話題に上がるのは、端的に言って、日本の人口が縮小局面にあり、血統が絶える家が続出しているからだ。そして、ますます加速する。日本の墓が血統を重んじて継承する仕組みになっている限り、人口減少=家の断絶が進むと、どんどん墓守がいなくなり、多くの家庭で墓じまいを行わざるをえなくなる。
 
……で、気がついた。継承、相続者がいなくなることは、土地、山林に置いても同じことが今後表面化するのではないか。 現在は、名義変更や相続手続きをせずに放置したために、子孫が分散してどうにも扱えない土地・山林が増えていることが指摘されている。しかも境界線がわからなくなって扱いに困る……という問題がある。
 
しかし、相続人が分散するも何も、今後はいなくなるケースもどんどん出てくるだろう。本来なら、相続人がいなくなるのだから国有・公有になるなどの手続きがあるべきだが、実際はそれさえなく放置されていく。
 
こうなると、森じまいを考えなくてはなるまい。むしろ、こちらの方が喫緊の課題かもしれない。
 
と言っても不動産は、オシマイです、もうなくします、というわけにはいかない。誰かもらってくれ、いや寄付します、と言っても、財産的価値がなかったら、受け取るコストが生じるだけだから断られかねない。国や自治体だって断る可能性は高い。
 
せめて上物の樹木が金になるなら、全部伐採して売り飛ばし、その金でなんとかする手もあるが、それもできない山林が大半だ。しかも伐採規制の付いているケースも多い。
 
ならば,どうするか? 
 
もちろん最後の継承者は、自分が死んだ後のことなんぞ、気にせずほっとけばよいのである。継承者(相続人)がいないのだから、迷惑のかかる子孫もいないということだろう。困るのは、土地の周辺の関係者や自治体などだろう(~_~;)。
 
 
だから、早急になんらかな制度を制定すべきべきではないか。一定の条件を満たす山林に関して所有権移転の譲与税や相続税を免除するとか、自動的に所有者のいなくなった山林を受け入れる枠組や組織をつくるとか、簡単な書面の遺言で済ませる仕組みをつくるとか。
いわば、上地令(民間の土地を国が接収する法令)の逆バージョン。民間の土地を国にどんどん献上する制度が必要になるかもしれない。  
  
  
また最後の継承者になりかねない人で、多少とも森に思い入れがあって放置したくない人は、早めに「森じまい」の支度をしよう。
 
私? そうだな……いっそ、私の遺骨を森に撒いて、この森を墓にしてくれ、300年手をつけるな、ここに巨木の森をつくれ、と遺言するか。それこそ、迷惑だろうな(~_~;)。
 

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コメント

元の所有者がなくなって、相続の手続きがなされず、登記の名義変更もされていないというのは困ったものです。法定相続人の代替わりが進んで相続人の数が増えていくとどうしようもなくなります。相続人が20人(?)を超えたら、自動的に国が収用するという制度を作ったらどうでしょうか。固定資産税の何年か分の代金を払うことにして。土地を分けるより、お金を分けるほうが簡単です。その前に、農地、森林については登記を義務化すべきかもしれません。

そう、相続人が分散しても困るし、ゼロになっても困る。これが日本の山の現状ですね。しかも境界線もあやふやとなると、手に入れたい人(組織)が現れても、なかなか動きにくい。
なんらかの接収ルールを決めてほしいところだけど、所有権は簡単にいじるのは法理論上は難しいんじゃないかな。。。立法権を持つ政治家に奮起してもらいたいものです。

中国に森が買われるとか、くだ巻く前にやることあるんじゃないの?

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