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森と林業の本

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2014/11/25

世界農業遺産と赤身肉

熊本は海だけではありません。

 
実は阿蘇のカルデラも眺めてきた。
 
2 外輪山の一角より
 
知らなかったのだが、阿蘇のカルデラ地帯の草原も、「世界農業遺産」の認定を受けているのだそうだ。
草原の放牧と野焼きと草刈り(採草)を組み合わせた循環型農業というわけである。そこには酪農畜産だけでなく、農業や林業も含まれている。
 
詳しくは、こちら
 
この認定には、行政ではなく市井の人が動き、牽引したという。
その一人、畜産家の井信行(い・のぶゆき)氏に会った。なんでも、この人の肉牛は、熊本はおろか九州中で有名なのだそう。市場では一等高い価格がつく。信行牛という呼び名が着いているぐらいなのである。
 
ところが、彼の牛はアカ牛なのである。しかも売り物の肉も赤身なのである。それは草と地元の粗飼料で育てる。外国産穀類を使ったいわゆる濃厚飼料は与えないのだ。あくまで地元の資源で牛を育て、循環させることをめざしている。
 
美味い牛肉、高い牛肉と言えば、黒毛和牛の霜降り。そんな常識に棹さし、今や美味い赤身肉が求められるようになってきた。霜降り肉なんて、一口はは美味しいが、たくさん食うもんじゃない。欧米では赤身肉で本物の肉の味を楽しむのだ。日本にも,少しずつ、そんな機運が登場してきたようだ。
 
それに輸入飼料を使わない、本物の里山資本主義だろう。
 
近年は、阿蘇でも放牧が減っているそうだが、放牧こそもっとも低コストな畜産だと思うのだが……。世界遺産を守るために野焼きしたり草刈りするのではなく、牛などを育てるために放牧をする、それが自然を守ることになる……というのが理想だ。
 
林業も、高く売れる良材をつくるため、とか考えながら施業をするのではなく(考えたって木が育つ数十年後は、何が高いかわからんじゃないか)、コストをかけず手間も少なくて済む方法で森を育てると、よい材が採れる。森の生態系も豊か、そして景観も素晴らしい……そのうち世界林業遺産に認定される、というのを理想としているんだけどね。
 
もっとも、世界林業遺産なんてないんだけどね(~_~;)。
 
 

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