久しぶりにYahoo!ニュースに執筆した。
これは、もちろん磐城高箸が「新しい東北」復興ビジネスコンテストで大賞を取った情報に触発されたのだが、最近、私の周りで割り箸の話題がそれなりに持ち上がるのよ。
考えてみれば、これまで国産割り箸の復活を「量」で考えがちだった。わずか2~3%に落ちたシェアを取り戻すためには、国産割り箸の生産量を増やさなくてはならない、牛丼やラーメンなどのファストフード業界に割り箸を再び……と。
だが、量にこだわって失敗するのは、すでに林業界全体で見てきたことである。
牛丼用に国産割り箸を1膳1円以下でつくる方法を模索するのは、いわばバイオマス発電を普及させて何がなんでも国産材の捌け口を求めたり、木材自給率を上げることを願うようなものではないか。自給率の数字を見て上がったことを喜んでも、現場の人々は誰も笑っていないのではないか。。。。(笑っているのは、デスクのパソコンで数字を眺めている○○な人々だけだ……。)
「林業栄えて、山村滅ぶ」とかつて言っていた。が、今や数字上がって林業も山村も滅びかねない。
国産割り箸の復活を願うなら、まず質だろう。加工精度やデザインにこだわり、つくる思いを伝えて「割り箸っていいなあ」と消費者に感じてもらう。それが木はいいなあ、国産はいいなあ、までつながって初めて割り箸の良さに気づく。プラスチック箸の無粋さに気づく。そして木のある森を、木を生産する林業を、そして山村の社会に眼を向けられる。その時、初めて生産業者まで笑えるのだ。
そう気づいたとき、磐城高箸の高級路線は、最先端を進んでいるのではないか、と思い至ったのである。
……来月に、Yahoo!ニュース個人の執筆者のカンファレンスが開かれる。私はミーハーに有名人と会えるかなあ、ぐらいに感じていたが、小さくても光るもの、時代の先端にあるものに見つけていく記事を執筆する思いを持って参加しよう。
元禄、利休、天削げ・・どれも日本ならではの伝統木工芸術ではないでしょうか!木材屋はとかくm3@いくらという値決めに走りがちですが、割箸1本のm3@って魅力だと思いますがねぇ。どんどん使ってほしいものです。プラ箸は不衛生です!やめましょう!
投稿: とも | 2014/11/25 16:55
はじめまして。
はし藤本店の中田と申します。
田中さんのブログと本を数冊拝見させていただきました。
弊社も割箸屋として、日本の山林と日本の割箸文化を守る活動をしていこうと、8月から活動しはじめました。
山も林業も、割箸に携わる者として守っていかなきゃならないと、改めて思いました!
投稿: はし藤本店中田 | 2014/11/26 15:16
ありがとうございます。
割り箸は、単純なように見えて10以上の工程を経てつくられる工芸品です。付加価値も高いのです。
割り箸屋さんも、消費者も、ほんの少し意識を変えれば、日本の割り箸文化は守れると信じます。
投稿: 田中淳夫 | 2014/11/26 23:33