生駒山中にある某園地(大阪府立公園)。
ここの森林は、長く放置が進んで暗く密に繁っている。このままではイカン。密生して見通しは悪いし、木々の育ちも悪くなるだろう。なんとかしなければ……というわけで、間伐を行うことになった。
これは園芸業者に依頼したそうだが、いつだったか夏ごろに訪れたら、このような状況だった。
……なるほど。たしかに間伐しておりますな。
が、なんかヘン。伐採した木々はきれいに束ねて林床に置かれてあるが、林内は少しも明るくなっていないのではないかい?
ようするに太くて高い樹木は伐らず、林間の細い低木ばかりを伐採した様子。見通しはよくなったが、それは稚樹や低木種を除いたことにしかならないから、森林の後継樹を奪い、高齢の木ばかりを残して森の老化を進めるという……森の健全さとはほど遠いのだった。
こういう伐り方を整理伐というとか聞いたことがあるが、名称はともかく、一時的に見た目をよくしても森を健全にしたことにはならない。森林生態系は複雑で繊細なのだ。
こんな伐り方は、森林生態系の知識を持たない業者や森林ボランティアのような素人がするのである……。
私も、そんな説明をすることがあるのだが。
先日、久しぶりにこの地を訪れた。
で、撮ったのがこの写真。
……たしかに以前、整理伐が行われた場所なのだが、ちょっと雰囲気が違う。
林床まで光が差し込んで、林内に稚樹が育ち始めている。なんだか、よさげな雰囲気。
高木の落葉樹は、冬だから葉を落としていることもあるだろう。しかし、暗くて稚樹が育たないと思えた林床にも、さまざまな草や樹木が萌芽を含めていろいろ生えてきている。
以前訪れてから、もしかしたら誰かが再び手を入れた可能性もなくはないが、放置したままで徐々に自力で遷移を始めたような気がする。
森の健全性を失わせた整理伐! ……と、思っていたが、意外や森はたくましく育つ。少々人が変な手入れをしても、それなりに育ちそうに見えた。
この地の場合、林床に生えてきているのは、やはり照葉樹の稚樹が多いから、本当にそのまま育つとどうなるのかわからない。若返りを図る当初の意図とは違って落葉樹はもどって来ないということもある。それでも、嘆息するほどひどいことにはならなさそうだ。
森は、人がしっかり管理しないと健全にならないというのは思い上がりかもしれない。
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