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2014/12/06

施業理論と木材

まだ自分の中では結論は出ていないけど、ちょっと気になる話。

 
考える手助けになるようにメモしておこう。
 
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某林業地を訪れた際、強度間伐をしている林地を見せていただいた。かなりスカスカに抜いていたが、それで林床によく光が入るようになる。それはいい。
 
切り株を見ると、真円に近く、年輪も詰んでいた。樹齢は50年ばかしになるか。
私は「いい材質じゃないですか」と言った。
これほど詰まった材なら、間伐材と言ってもそこそこ値がつくのではないか。
 
しかし、そこで言われたのは、ちょっと意外な言葉。
 
「詰まりすぎだからイカンのよ。こんなに生長が遅かったら、材積がない。だから伐って、もっと光を入れるようにすると残した木がよく育って太くなる」
 
彼は、強度間伐論者なのである。ときに間伐率70%にするらしい。
 
隣の林地も間伐をしていたが、弱度だ。林床に光は入っているが、数年後には樹冠が閉鎖するかもしれない。彼は、その林地をけなした。あんな伐り方だと、いい森に育たない、と。
 
私は、やはり目の詰まった年輪を見ると、いい木だな、と思う。真円だし、もし曲がりがなかったら、結構な銘木になるのではないか。しかし、最近はいくら材質がよくても市場ではその価値は求められず、細い分だけ安くなるだろう。もっと早く太らせて(年輪は荒くなっても)、材積を稼がないと利益が出ないというわけだ。
 
彼の論は一理はある。たしかに出荷後の売価を考えれば、(今は)その方が利益が出るのかもしれない。
ただ、やはり目を詰まった木目の方が「よい木」のような気がするのだ。値段や人の好みだけでなく、生物としての樹木としても。材質も堅く締まっているので風に強いかもしれないし、ゆっくり生長させると色つやもよくならないか。これは吉野林業の見すぎか?
 
隣の弱度間伐の林地も、たしかに20年に一度しか間伐しないのなら弱すぎるかもしれないが、もし5年ごとに間伐を繰り返す計画だったら、むしろ弱度の方がよいだろう。強度間伐は、林内環境の変化が大きいからリスクが大きくなるような気がする。これも、吉野林業の影響を受けすぎか?
 
施業方針は、間伐の考え方や、主伐の伐期、さらに出荷方法など全部が影響する。
 
 
林業は流域どころか、谷ごと、尾根ごとに違うという。それほど土地環境や地域の歴史的な価値基準、経営上の慣習などは千差万別なのだろう。ある意味、多様性多き産業なのだ。
それ自体はよいことだと思っているが、それぞれの流儀が、必ずしも絶対よいとは言えない。もしかしたら無意味な慣習に引きずられているのかもしれないし、変化する時代に追いついていないのかもしれない。 あるいはもっとよい方法があるのを知らないだけ……とか?
 
隣の谷や尾根の向こうの林業のやり方も知った上で、自分の立ち位置を決めていかないとなあ。
 
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