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森と林業の本

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2015/01/03

イチオシ番組!「ロンリのちから」

正月と言えば、通常のテレビ番組がなくなり、お馬鹿な番組が増えるのが悩みの種。

 
が、今年は(正確には大晦日から)面白いのを見つけた。
 
NHKのEテレで偶然目にしたロンリのちからである。正確には、NHK高校講座の一環らしいが、メチャ面白い。しかも大晦日深夜から、これまで放送済の番組をまとめて放映していたから、ほとんどを見られたのである。
全部まとめ見と言っても、一本5分くらいで10本だから、たいした時間を取らない。
また探してみると、NHKのサイトに全部掲載されていた。ここで全部見ることができる。また再放送は今後もあるようだ。
 
 
内容は、高校の映像部を舞台にしており、SF的な作品づくりの過程で発生する事件?疑問?の中からロンリを追求する趣向。結構楽しい。しかも最後に「不思議の国のアリス」も登場する。
 
テーマは、三段論法、前提と飛躍、逆さまのロンリ、接続表現、水掛け論、暗黙のロンリ、仮説形成……と一見難しそうでも、ごく日常的な会話や発想の裏にある論理を紹介している。
ちなみに不思議の国のアリスの著者ルイス・キャロルは数学者にして論理学者であり、作品に満ちている非論理的展開は、論理的に非論理ストーリーにしたのである……。
  
こうした基礎的な思考法を身につけると、おそらくコミュニケーション力が身につくし、文章力も上がると思う。接続詞の使い方なんぞは、これだ! と手を打ちたくなった。
 
同時に、いかに社会には非論理的な展開ばかりかにも気がつく。
実はもっとも非論理的な言葉を使うのが政治家であったり、ごく一般的に語られる将来の予測・推論(経済や国際間問題、社会の変容……)がメチャクチャであることも浮かび上がる。新聞やテレビなどに登場する専門家の解説にも、番組に紹介されているような理由なき水掛け論や誤った前提、危険な飛躍、間違った三段論法……などが実に多い。記者はチェックしろよ。
 
私がこれまで指摘してきた「新月伐採」や「水源狙いで外資が日本の森を買う」などの問題、さらには「CLTで林業再生」だとか「発電だけのバイオマスエネルギー利用」まで、そこに含まれる情報の中に、ごく単純な論理の破綻があふれている。
  
  
  
最近はフェイスブックなどで流れてくる情報にトンデモが多いのが気になっていた。政治、社会、科学などにまったくの似非情報が蔓延している。それも不安をあおるようなものばかりだ。特別な知識や情報がなければわからないものもあるが、あきらかに提示している情報の中に矛盾を含んでいるものも多い。だがコメント欄には、丸ごと信じて肯定しているものが並んでいる。
 
もはや世間が全体にネトウヨ化しているかのよう。都合の悪い事実はなかったことにするか、何らかの陰謀だと断定し、非論理的なこじつけや決めつけばかり。おそらく意図的な発信者はともかく、それをシェアする人には情報リテラシーのかけらもないのではないか。
 
専門知識がなくても、上記の「ロンリのちから」を磨けば、あっさり間違いを指摘できると思うんだけどね。
 
あ、ちなみにこの番組、中学生向きだからね。
 

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