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森と林業の本

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2015/01/04

心に里山を描け

本日の散歩コースは、建設中のニュータウン。

たまには、街も歩くのだよ。
 
なんたって建設中だから、まだ立入禁止の区域も多いのだけど、道路はほぼ完成している。住宅(予定)エリアは、造成されているものの土がむき出しだ。
 
003 建設中の公園。
遊具はすでに完成し、植木も芝生も植えられているが、一応「立入禁止」。
だが日曜日だからか、結構親子連れが遊びにきている。一応、回りは柵がされているのだけど、隙間からいくらでも入れるし、止めるものもいない。
 
008 なぜか門だけあって柵もないエリアも。
ずっと奥にはイオンモールがすでにオープンしていて、結構な賑わいだ。
 
まさにニュータウン。一部には住宅が建ち並んでいるが、荒涼感は否めない。
 
015 モデルハウスの展示場。
ここには賑やかな「市街」が演出されているのだ。
中を歩くと、無料の飲み物やお汁粉までいただける。……いえ、私はいただいていませんが。
 
だが、ほんの数年前、ここには豊かな里山があった。低いながらも多くの襞や皺のように尾根と谷が入り組み、雑木林が新緑から紅葉・黄葉まで目を楽しませる世界があったのだ。
 
そこに鉄道が通り、イオンモールがつくられ、あれよあれよと言う間に森が剥がされた。
その際は、まだ山肌に段々を造成して、住宅地をつくるのだと思っていた。だが、あきれるほど多くのダンプカーが走るうちに山そのものが削られなくなってしまった。
今や、ほぼ平坦な土地である。そして、そこが区切られ、マンションの林立するゾーンと一戸建て住宅ゾーンが敷かれた。マンションは、ほぼ完成し、次は一戸建てを売り出し中だ。
 
駅が近く、ショッピングモールがイオン以外にもいくつかあり、さらに学校や商店まで登場したのだから、一見便利なニュータウンになりそうだ。
 
……もっとも、人口減社会に里山を丸ごとなくしてニュータウンをつくるなんて、本当に将来はあるのだろうか。単に土地を造成するだけでく、膨大なインフラを整備しなければならないし、新住民を呼び込むためのコストも馬鹿になるまい。
マクロ的都市計画としては、市街地に急増している空き家群を再開発する方がよほど有用なんだが、各所の権利関係や投資の効果を考えると、山を崩す方が楽なんだろう。
 
1 3年前の建設風景。
 
 
一角にわずかに残されたかつての里山の名残があった。 
 
006
もはや「里山」ではなく、「緑地」なのだろう。
 
建設地を歩きながら、かつてここにあった里山を心に浮かべ、そこに育まれていた生き物に思いを馳せるのも一興である。。。。

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コメント

初めて書き込ませていただきます。
地図読みしながら山歩きをする機会が多いため、地形の凹凸が微気候や土壌に与える影響、またそれによって特徴づけられる生態系の姿をそれなりに見ているだけに、地形さえ残っていればこんな里山があったかもしれない・・・と考えると虚しすぎて僕は絶対ここには住んでいられないと思います(苦笑)。
多かれ少なかれ我々は大地を削りながら文明生活を送っているわけですが、地形を丸々消してしまうとなると、日本人における自然観、「自ずから然るべき存在」に向ける視線が失われつつあるんだな、となんとも苦々しい気分になりました。自然と人間との連関を忘れている証左ですね。このように地形をつぶして作られているマチって、どのくらいあるんでしょう?
もっとも、このような地形への働きかけも、広義的な生態系におけるヒトの作用なんだと考えると大変興味深いですね。このニュータウンが廃れ打ち捨てられた後にどのような遷移が待っているのか、想像が膨らみます。

土地の表面の加工は、「大地の記憶」として、むしろ歴史を感じさせる痕跡なんですけどね。。。。かつての遺跡なんかは、柱を立てる穴だったり、石垣が残っていたり、溝が以前の水路だったりするわけです。里山にも、よく見ると炭焼き窯跡だったり、かつての農地の開墾跡だったり、もしかして砦跡などが見つかったりする。

しかし、根こそぎ地山を削ったニュータウンは歴史を削る行為です。仮にニュータウンが廃墟になっても、以前の土地の記憶は甦らないでしょう。

実家の裏山が造成されてニュータウン化、昔懐かしの風景が無くなって実家にも愛着が無くなり寄りつかなくなった。だからこそ、
里山再生とか森林整備に没頭していると思っています・・・これって『反面教師?!』ですかね。

反面教師というか、復讐かも(笑)。いえ、その思いが大切なのですよ。

復讐ってかっ?!・・・ボキャブラリーが豊かですね、流石(物書きさん)!!
宅地造成として山を奪った、デベロッパーとかは大嫌いな業種です。特に鉄道系企業は『開発』と称して田園を侵略し(壊し)、郊外へ郊外へと染み出す様に進出し続けますよね。田舎を壊したくせにその路線名を『田園都市線』と名付けるに至っては笑止千万。

心の闇が噴出か(^^;)。
まあ、沿線に住宅地をつくるのは、人口急増時代は求められた面もあります。そこに喜んで住んだ人々もいますから。しかし、時代は変わったし、その手法も選ばないといけないはずです。山を丸ごと切り崩すなんて手法は、誰が決断するんでしょうかね。

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