昨日は神戸に出かけていたのだが、目的地の場所を地図で確認した際、近くにあったのが本願寺神戸別院。
なんでも通称・モダン寺というそうだ。
ちょうど東京の築地本願寺(本願寺築地別院)を訪ねたばかりだったので、興味を持って足を延ばしてみた。
なるほど、洋風の造り。どことなくインド風であり、イスラム様式も取り入れたような西洋人の描くオリエンタル。その点、築地本願寺と似ている。
が、何か違う。薄っぺらく感じる。外観を見て、中まで入って見学しようという気が失せた。
築地本願寺と比べてみる。
こちらも様式は似ている。だが重厚さというか、壮麗さがある。ホンモノと思わせる。
調べてみると、築地本願寺は伊藤忠太の設計で昭和9年に完成した。命じたのは大谷光瑞。構造は鉄筋コンクリート製だが、見た通り石を多用した石造寺院ぽい。
一方、神戸別院は昭和5年に同じく大谷光瑞が建てていた。こちらの方が古いのだ。しかも鉄筋コンクリート製の寺院としては初めてだったらしい。
だが、その風合いがない。軽い(^^;)。
さらに調べると、神戸別院は平成7年に建て直していた。なるほど新築なのだ。そして外装ものっぺりしている。誰が設計したのか知らないが、伊藤忠太に遠く及ばない。古い神戸別院の建物も見てみたかったな。
せっかくだから、京都の本願寺も見る。
本堂はもちろん伝統的な木造寺院建築だが、少し離れたところに伝道院という建物があって、これがレンガづくりなのだ。
明治45年建設。設計は、やはり伊藤忠太であった。
神戸別院、築地別院よりずっと古いが、もっとも風格がある。
ただ建てた時は、真宗信徒生命保険株式会社の社屋であったらしい。寺院建築とは違うのだ。
伊藤忠太は「建築進化論」を唱えて、「日本の建築も木造からレンガや石造、鉄筋コンクリートへと進化しなければならない」と主張した。ただし、西洋の物真似ではなく和洋折衷でもない、木造からの進化である、という。
さて、木造からの進化は、現在どこへ向かっているのだろうか。
せっかくだから、擬洋風と呼ばれる生駒の宝山寺獅子閣の建物も。
こちらは洋風を真似たのだが、構造はれっきとした伝統的木造。作ったのは宮大工である。奈良の近代化遺産に指定されている。
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