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2015/03/01

木製飛行機に学べ!

松下に木製爆撃機発注 戦時下 軍の機密文書発見

という記事が東京新聞に載った。戦時中、軍は松下電器産業(現在のパナソニック)に飛行機の製造させようとしたが、それは木製飛行機だった。そのことを記した書類が見つかった、というのである。
 
記事を引用しよう。
 
 物資の不足が深刻化した第二次大戦中の一九四三(昭和十八)年、実戦を視野に入れた木製の訓練用爆撃機「明星」を開発し、松下電器産業(現・パナソニック)グループに量産させることを決定した日本海軍の機密公文書が、防衛省防衛研究所(東京都目黒区)で見つかった。松下は航空機の製造技術を持たなかったが、軍は家電製品の大量生産技術に着目して松下を選んだことが明記されており、戦時下の兵器の発注の内幕を具体的に示す史料として注目される。
 ラジオなど民生用電機メーカーだった松下が軍の要請で飛行機を製造したことは知られているが、軍の決定過程を詳しく記した文書が見つかるのは初めて。
 
松下グループ傘下に松下飛行機という会社があり、木製飛行機をつくろうとしたことは知っていた。小学生の時に読んだ松下幸之助の伝記に載っていたのである。掲載分量はわずかだったが、電気メーカーが飛行機までつくった戦時下の話が非常に印象深く、今に至るまで覚えている。これを理由に、終戦後、財閥解体に該当しかけたそうだが……。
 
この点については、次のようにある。ただ作られた飛行機に関しては、かなり問題があった模様。
 
「木製機計画」の「試作実行」を指示。真珠湾攻撃で使われた九九式艦上爆撃機の設計を基に訓練用爆撃機の開発を命じた。実戦を視野に爆弾や銃が搭載できる仕様。軍による試作後、量産させる企業は「松下飛行機」と明記。軍の要請で松下が生産準備のため設立した子会社を指定した。
 
 
ようするに、すでに金属で作られていた飛行機の部材を木製にしようというもので、ジュラルミンが足りないから木材を代わりに……では、無茶もいいところ。実際に試作されたものは金属製より重く、強度は低く、振動も大きくて使い物にならなかったとか。
 
 
ふと思い出した。先日の神戸の講演では、産業界、それも重工業系や自動車の会社の人々が参加していたのだが、終わってからの懇親会で製鉄会社の人たちに「(林業振興と言っても)何十年も先の経済状況を予想して売れそうな材質の木を育てることはできない。今そこにある木材を、いかに利用するかを産業界の方々に考えていただきたいと話した。
そして例として上げたのは、イギリス空軍のモスキートだ。
 
全木製飛行機として勇名を馳せる。なんたって、爆撃機として作られたのに戦闘機より速度が早く、小回りも戦闘機以上というスグレモノなのだ。その後、偵察機型や戦闘機型にも転用されたが、大活躍してドイツ軍を悩ましたという。
木製で優秀な製品を作れば、それは売れるのだ。それが木材の需要を増やすのだ。
 
 
Photo デ・ハビラント・モスキート
 
モスキートは、決して金属が足りないから木材でつくる、といった発想ではなく、木質の優秀さを活かした作品なのである。
何より軽くて製造が簡単だから量産できたし、スピードを出せた、小回りも効いた。密閉性も高かった。また修理も簡単だった。穴が開いても、接着剤ですく塞げたからだ。
 
ただし考え抜いた構造だった。素材は、いわゆるベニヤ板を張り合わせた三層板を使っていて、無駄な装飾はなく、モノコック構造を採用。
優秀な性能を発揮できたのは、よいエンジンに恵まれたこともあるが、ハビラント社が木製飛行機の性質を熟知していたおかげだという。
 
残念ながら、日本の航空機産業界、いや木材業界にも、飛行機に応用できるだけの木質の知識や技術はなかった。だから成功しなかったのだろう。
 
 
 
私は、常々木材は「感性の素材」と口にしているが、モスキートの木質部分は、感性を重視したわけではない。用の美とも言える端正な美しさはあるが……。
 
もしかしたら、機能の面から木質をもっとも効果的に利用した商品開発も考えるべきかもしれない。
 
今の世の中なら、飛行機より自動車だろうか。
水素自動車もいいけどさ。木製自動車を作ってよ。軽くて制動や燃費がよく、耐衝撃にも強いボディを。製造も修理も早くて簡単、値段も安くなるような自動車を。
 

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コメント

ご存知の様にボーイング社の出は材木業、米大陸横断郵便機コンペに、良質のスプルース材を使うことが出来たのが勝因と物の本にあったのですが・・・。

おお、そうでした。意外と飛行機メーカーは木材業と関係が深いのです。 

そういや日本は逆で、木製飛行機をつくろうと考えたところから研究室を立ち上げていて、それが現在の京都大学木質科学研究所につながっているとか……。結果的に稔っていませんけどね。
 
果たして日本に「木の文化」があったのか、木材の最適な利用法を知っているのか、疑問になります。

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