無料ブログはココログ

森と林業の本

« 助手席の楠木さん | トップページ | 新入社員になった日~あるいは文筆業の始まり »

2015/03/30

廃車のある森

里山を歩くと、意外なところに意外なゴミがある。

 
テレビや冷蔵庫、洗濯機といった家電が林道わきに捨てられているのはよくあることだ。
ときにバスタブなんぞがあって、なぜ、こんな大きなものをあえて山の中に運び込んだのか不思議に思うこともある。
そういや、道路のない、人でも岩を乗り越え段差をよじ登るような山道の奥にバイクが捨てられていたことがあった。どのようにして持ち込んだのか不思議。
 
 
そして、先日の吉野・川上村では、こんな風景を見てしまった。
 
2  スギの巨木が林立する森に、廃車。
 
どうやって、ここまで持ち込んだのか。わざわざ運んだとは思えないから、やっぱり走らせたのだろうが、周りに道はない。かつては作業道か何かを入れてあり、そこに無理やり乗り入れたのだろうか。そして道も、年月とともに今は消えてしまったか。
 
年月を物語る落葉の量だし。
ナンバーははずしてあるから、廃車したものを業者に引き取ってもらうのを面倒、あるいは手数料をもったいながって、山に放置したのだろうか。
 
……本当は山に巨大な廃棄物を放置するなんて、と怒りたいところだが、ここまで廃墟風になると、なんだか風景に溶け込んでいる。
 
 
 
ところで人工物は薄汚いが、それが自然に飲み込まれる姿は美しくもある。
 
巷では廃墟の写真集が人気を呼んでいるそうだが、それが単に崩壊した建物だったら、やはり汚い。朽ちた合板、さびた鉄、黴の生えたコンクリート。空き缶や空きビン。紙が散乱していたり、プラスチックの生活グッズが散らばっていたり……。
しかし、その上に苔がつき草が繁ったり蔓が巻きついたり、雨風に侵されて表面が風化してくると、味が出る。ビンの中に草が生えたら神秘的でさえある。
 
自然というのは、人工物を飲み込むことで「美しさ」も演出する力があるのだろうか。。。。

« 助手席の楠木さん | トップページ | 新入社員になった日~あるいは文筆業の始まり »

森林学・モノローグ」カテゴリの記事

コメント

昭和40年代の車(ほぼ鉄で出来てる)だから綺麗に朽ちるのでは。バンパーのメッキの輝きは高品質の証し。今の車はプラ多用のため、醜く朽ちると思います。

すごい、そうした眼で見ることができるんですね(^o^)。
吉野だから、かつての木材バブル時代の高級車かもしれないなあ。当時は山里でも、みんなベンツ乗っていたと聞くから。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 廃車のある森:

« 助手席の楠木さん | トップページ | 新入社員になった日~あるいは文筆業の始まり »

January 2025
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  

森と筆者の関連リンク先