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森と林業の本

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2015/04/01

森はコミュニケーションしている?

4月1日にふさわしい話題を。

 
最近、森林の植物(樹木)は、互いにコミュニケートしているという研究が出てきた。
 
唱えているのは、コロンビアブリティッシュ大学の生態学者のスーザン・シマードさん。彼女の研究によると、森の中の樹木は、地面の下でつながり、ネットワークを持っているという。根を通じて、二酸化炭素の譲渡や栄養を交換するやり取りが行われていたのだ。しかも、種類が異なる樹木同士でも互いに栄養を交換していたらしい。
 
具体的には、炭素の1種であるC40を、ある木に与えて吸収させたところ、他の植物にも、このC40をアミノ酸の形で伝えていったのだ。また同じように、水分や警告シグナルまでも、他の植物と共有していることがわかったという。
 
……この研究成果の詳しいところがまだわからないのだが、どうも、根にとりついている菌根菌が菌糸を地中に広く延ばしていて、それが別の木の根にもとりついていることで、栄養分などを受け渡しする機能があるらしい。
彼女はこのネットワークを「Wood Wide Web」と呼んでいるという。……これって、インターネットで使うアドレスの「www」(World Wide Web)を引っ掛けているのかしらん。
 
私には、十分理解できていないので、誰か彼女の論文を読んで解説してくれるか、詳しいことを記したサイトがあるなら教えてほしい。
 
 
実は、植物は香りを通してコミュニケーションを取っているという説は以前からあって、研究している人もいる。葉などを食害する昆虫に1本が襲われると、フェロモンのような香りで危険シグナルSOSを出して、周辺の木は昆虫の対抗処置(抵抗タンパク質)をつくるという。
 
さらに「生体電位」という植物に流れる電流を介して、植物の声を聞く、コミュニケーションを取ることを試みている人もいる。 ちゃんと植物の感情を、人間の言葉に変換できるのだそうだ。「暑い」「水がほしい」「寒い」「ありがとう」?と。
 
ちょっときわ物扱いされているが……。
 
 
しかし、これらを突き詰めていくと、森林療法のような人間の肉体・精神に与える影響を説明できるようになるかもしれない。樹木の与える「癒し」の正体も発見されるかもしれない。
 
そして、森林と人間のコミュニケーションも現実のものとなる可能性だって開ける。異種生物同士のコミュニケーションが開けたら、どんな地球になるだろう。なにやら人間同士のコミュニケートより楽しい気がするが。。。
 
 
……このようなことを書くと、エイプリルフールらしく思われるかもしれないが、科学の世界ではパラダイムの変換は常に起こり得る。
 
たとえば進化論でも、ネオダーウィニズムで「獲得形質は遺伝しない」ことは自明の理のはずが、なにやら最近は遺伝子の移動の可能性が見つかっている。通常の遺伝子変異の受け渡しは親子の垂直移動しかありえないが、どうやら水平移動が確認されているのだ。
 
それは、ある種の細菌が遺伝子の受け渡しを仲介しているというのだが……。これが認められたら、ある種の遺伝変異を同時代的に広めることができる。地球時間では一瞬で進化が進むわけだ。これって、獲得形質に近いのではないか? 
 
今西錦司の「生き物は、変わるべくして変わる」進化論が証明される時代がくるかもしれない。
 

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森林学・モノローグ」カテゴリの記事

コメント

田中兄へ

以下の引用された文章中に明らかな間違いを見つけましたのでお知らせします。
「具体的には、炭素の1種であるC40を、ある木に与えて吸収させたところ、他の植物にも、このC40をアミノ酸の形で伝えていったのだ。また同じように、水分や警告シグナルまでも、他の植物と共有していることがわかったという。」

炭素の一種であるC40、と書かれていますが同位体の炭素ならC14です。C40というものはないです。恐らくこの文章を英文から引用された方がフォーテイーン(fourteen)をフォーテイー(forty)と間違えて訳されたのかなと思いました。

老婆心よりお知らせします。

なるほど! ありがとうございます。
実は私もC40って何? と思っていたのでした。同位体にしては大きな数字だなあと。でも、書いてあるから何か特殊な元素があるのだろう、とスルーしてしまいました。
翻訳間違いと考えればすっきりしますね(^o^)。
もしかして、記事はインタビューを通訳間違いかもしれませんね。

改めてご指摘ありがとうございました。

森林の植物は菌根菌を通じてコミュニケートしていて、ネットワークを形成しある種の知性も獲得している…
というような話を飲みの席で聞いたことがあります。相手は研究者だったはずですが、何も分野かは忘れました。
これは正真正銘のきわものですが、今回の話題を読んでちょっと思い出しました。

植物のコミュニケーション話は、結構昔からありますね。
ただ、見事にキワモノ扱いだったのが、今は香りとか菌根菌など、結構理論武装され始めました。本当に可能性があるのかもしれませんね。そして森林全体が知性を持つ生命体である……となるとSFになるのですが。
でも、頭から否定せずに考えてみるのもよいでしょう。

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