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森と林業の本

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2015/04/30

人は樹木になれるか?

なんか、ヘンなサイトを見つけた。

 
 
 
ようするに人間の遺伝子を、樹木の細胞に埋め込むというのだ。樹木は生き続けるから、その人の遺伝子も生き続ける、「生きた墓標」となるという。
 
げげげ、と思うが、本当にできるのだろうか。提案しているのは芸術家であり、科学者ではなさそうだが。
SF的には、やがて樹木が人間化していくストーリーが展開されそうだが、残念ながら人間の遺伝子すべてを植物細胞のDNAに入れ込むことは不可能だろう。入れても死滅するのが関の山だ。
 
ただ部分的には、定着させることはできるかもしれない。しかし、発現することなく、眠り続けるだけだ。だいたい現在の人間の遺伝子自体が、発現しているのは数割という。ほかの部分は眠っているのだから。しかし、DNAの切れっ端をつなぎ入れられたって、それが人間の遺伝子を組み込んだとは言えないなあ。ましてや個人の特性を現す部分でもないのだから。
 
 
どうせなら、こんなプロジェクトはどうだろう。 
 
 
こちらは人間の遺体を、生分解性のカプセルに入れて、そして地中に埋めた後に、その上に樹木を植え付ける。樹木は、カプセルの中の遺体を栄養として育つ。これによって森をつくる……。物質循環的には遺体の成分が樹木に吸収されたことになるかもしれない。
 
 
まあ、実現性はこちらの方が高いだろうが、果たして応募する人がいるかどうか。。。
 
 
これって、死んでも自分の身体(の一部)を残したいという人間の思いが前提なんだね。前者は遺伝子という情報(DNAの塩基配列)を残したい、後者は身体をつくっていた分子(窒素とか炭素とか)を木に移したい……という。
どちらも、極めて物質的だ。 
しかし、死して森になる、草木に生まれ変わる、ということは、本来自らは消えて森に生命を託すということなんだと思うのだが。それは精神性の問題である。死生観の違いだろうか。
 
この連休中は、ちょっと宗教的になってみようか。

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