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森と林業の本

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2015/04/15

イノシシの掘り返し法則

今や生駒山は、どこを歩いてもイノシシの痕跡に出会う。

 
足跡やぬた場、そして糞などもあるが、一番目立つのは掘り返しだ。ようするに地面を掘り返しているのである。これが半端ではなく、山道をズタズタにしているところも少なくないし、そうでなくても、あまりの勤勉な掘り返し仕事に、大変な熱意を感じてしまう。
 
実は、この掘り返しの理由は、いまだにはっきりしないそうだ。
 
一時は、ミミズが好物なので、ミミズを探すためと言われたが、実験してみると、意外やそんなにミミズを好んで食べるわけではないそうだ。もちろん餌、それも貴重な動物性タンパク質だから、掘っていてミミズが出てきたら食べるようだが、餌として与えてもあんまり食べない、そしてミミズの横の土を掘り返す……という現象もあるとか。
 
ほかにどんな理由があるだろうか。木の根を食べる……という考えも浮かんだ。実際、クズの繁茂で、デンプンを溜め込んだ葛根が増殖しているが、それを好んで食べるのは事実だ。
しかし、これまた掘り返している場所を見ると、クズがあるところばかりではない。そんなに木の根があるわけではないし、どんな木の根も食べられるわけでもない。
もしかして、土そのものが美味しいのかもしれない。土の中の塩分を求めている可能性もあるが……。
 
1日6時間もひたすら地面を掘り返していたという観察もある。となると、目的などなくて、地面を掘るのが趣味というか、本能的な習性なのかもしれない。イノシシは地面を掘って快感を得ている! とかなんとか。プチプチをつぶすことに生きがいを感じている人もいるように。
 
 
そんな掘り返しだらけの山を歩いていると、たまに不思議なことに気づく。
 
Photo
 
こんな感じ。この山道は、ずっと掘り返しが続いていたが、ここでピタリと終わっていた。
そうなると、逆に「なぜ? なぜ掘るのを止めたの?」と考えてしまった。
 
そこで観察してみると、掘り返しのある場所は、意外や道が多くて、道から少し離れた林床はあまり目立たないことに気づいた。土質はほぼ同じである。むしろ落葉が積もって、ふかふかの腐葉土で掘り返しやすそうなのだが。
 
そして、道でも土が堅くしまった中央部分は避けて、側部が多い。やはり掘りやすいところを選んでいるのか。 
あまり人が通らない道の場合は、中央も含めて全面を掘り返していた。
 
また道がなくても、樹間が空いていて、広場になっているところは狙っている。芝生も好きだ。
斜面は苦手?らしい。できるだけ平坦なところ。土は、やっぱり黒いふかふか森林土が多いように思える。だが、真砂土のところもあったなあ。
 
 
まだまだデータとしては少なすぎるが(そもそも記録を付けているわけではなく、私の感覚的記憶に頼っているのだが)、イノシシの掘り返しの好きな場所や条件を絞り込んで行けば、新たな生態がわかるかもしれない。
 
もしかして、上記の写真のように、唐突に掘り返しを止めたのは、ここから先は土質が変わっているのかもしれないなあ。
 
 

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コメント

わたしも大津市にあるかっての里山である「龍谷の森」の周辺のアスファルトの道のそばやその上にたまっている真っ黒な土をイノシシが掘り返している場所を何カ所か見ています。真っ黒な湿った土の部分だけを掘り返しているように見えます。
ミミズを食べているのか,木の根を食べているのか分かりませんが、明らかに山土だけのところは掘り返していませんね。
腐葉土の中のカブトムシの幼虫も探し出して食べていますから,昆虫の幼虫を探し出しているのかも知れませんね。

土にも味があって、好みの土でないと掘り返さないのかも。
湿気も重要なのか?
 
続編にも書きましたが、タケノコを掘って食べてないケースもありました。

イノシシはタケノコを掘るのが楽しくて掘っているのでしょうかね。
コレはイノシシに聞かないと分からない?
まさにゲ-ム感覚かな?

突然申し訳ありません。
イノシシに興味がありネットをあさっていたら、田中さんのブログにいきつき拝見させていただきました。
ミミズのために掘り返しているわけでなく、理由もないということみたいですが、そういったことを記した文献や論文などがあるのでしょうか??
興味があり拝見してみたいのですが、タイトルなど教えていただけないでしょうか?よろしくお願い致します。

いやあ、文献というより自分の観察から来る感覚的なものが大半ですから……。
 
「イノシシと人間」 こちらは私も一部執筆しています。
http://shinrin-journalist.la.coocan.jp/chosaku-6.html
 
「猪変」 こちらは新聞記者の取材によるもの。ミミズの件も触れています。
http://ikoma.cocolog-nifty.com/moritoinaka/2015/03/post-59a2.html

ほかにも探せば研究者はそれなりにいますので、頑張ってください。

教えて頂きありがとうございます。さっそく本屋へいってきます。
一度持った興味なのでつきつめていきたいと思います。

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