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2015/05/07

Nスペ「明治神宮の森」と人工の遷移

先日、NHKスペシャルで「明治神宮 不思議の森~100年の大実験~」をやっていた。

 
知っている人は知っているだろうが、明治神宮が100年前に人工的につくられた森であることを知らない人も多かったろう。
 
私は楽しく見た。とくに冒頭、調査に入る前に研究者たち(総勢140人あまり)が黒い礼服で参拝した直後、フィールドの野外服に着替えたカットが好き(笑)。むさ苦しいオッサンらが、生き生きとし始める。そして参道や森の中に寝そべったり、池にゴムボートで漕ぎ出して投網を打ったりするのである。
 
なかなか学問的には新たな発見や興味深いデータが取れたみたいだ。
 
Photo  
本多静六も登場したし、彼や上原敬二が作成した植生遷移図も立体画像で登場したのは面白かったね(^o^)。
 
 
まあ、ナレーションで原生林原生林と連呼していて違和感を抱いた人もいるだろうが、本当に100年放置していたのなら准原生扱いしてもよいかもしれない。
 
ただ、まったく手を加えていないわけではない。私も、神宮を訪れてこんなシーンを見ている。
 
2
 
バックヤード近くだが、林内で枯れた木を伐り出したのかな。とくに参道沿いに残すと危険だし景観上も問題あるから。
正確には、林内から有機物を持ち出したことになる。
 
 
それに池など深い自然が残っているように見えた場所は、だいたい明治神宮御苑(有料の庭園)の部分ではないか。あそこは元から大名屋敷の庭園だったところで、手は加えただろうが、ゼロの荒野から植林したところではないはずだ。
 
 
とまあ、難癖付けるのは大人げない(~_~;)。
 
ともあれ、本多静六の偉業の一つだろう。そして、100年以上前から遷移理論はちゃんとあって、それを人為的に実行した結果として100年後に現在の神宮林が見られたのだ。
なかには宮脇某の「潜在植生の植樹」と結びつけた声もあるようだが、似て非なるものである。某氏は遷移を無視していきなり最終植生である照葉樹を植えているのだから。
 
それに遷移は常緑広葉樹(照葉樹)で止まるのでない。その後も枯死などで倒木することで始まる新たな局所的遷移(ギャップ理論)があり、モザイク状に植生は移り変わり続けるはずだ。(これは本多の時代には知られていなかったと思うから、今後の遷移は本多の頭の中から抜け出した新時代に向かう。)
 
 
ちなみに、人工的な植生の遷移を確かめられるのは、本当に明治神宮だけなのだろうか。もっと全国各地に環境条件の違いを含めて存在して欲しい。
 
たとえば大坂の万博記念公園も、1970年の万博開催跡地にゼロから森づくりを始めた。だから現在で約40年経っている。
 
5 万博の森。遠くに太陽の塔が見える。
 
こちらは神域のように人の手を排除していないし、立入禁止にしているわけでもない。むしろ、森の中を観察できるようにしている。写真にあるように樹冠の中と上を歩けるソラードと呼ぶ樹上回廊と展望塔が設けられている。)
しかし、かなり自立的な植生遷移を目にすることができる。「世界の森」と名付けて外来種を植えたところもあるし、それが増殖してしまった区域もある。また里山のような小さな田畑や、茶畑もつくっている。
 
11
この部分は、あえて間伐して次世代の森づくりを実験中。
 
この森だって、あと60年経ったら、テレビで「奇跡の森」「不思議の森」として紹介されるかもしれないよ。
 
ちなみに今夜25時30分より「明治神宮」は再放送があるようだ。
 

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コメント

おお、さすが専門家のご意見は読み応えがありますね!

私も今朝ようやく録画を見ました。
いや、面白かったですよね。
「原生林」についても、学術的な正確さは判断できませんが、文学的な修辞としては別に間違いではないと思います。
「太古の原生林を蘇らせる」という言い方だったので、「太古の原生林のような森をつくる」の意だなと、特に違和感なく受け取れました。

私が気になったのは、むしろ「世界にここだけ」の連呼でしたね。本当に世界中探してここだけなのかと。
最近、日本の独自性を強調する言葉を聞くと「ホンマかいな」と眉に唾つける癖がついてしまってf(^^;

ちなみに、万博公園は私が小さい頃の遊び場でした。そういえばまわりじゅう森だらけだった記憶があります。

私も一時期、万博公園の近くに住んでいて、ヒマな日は歩いて行って、芝生で寝転んだり民博見学したり……と楽しんでいました。
あのクラスの公園が近くにあると楽しめますね。
 
明治神宮のほかにも神社や御陵には、人工の森がたくさんあります。必ずしも「世界でここだけ」とは言えませんね。
それに明治神宮に貴重な人工の森があるのはよいとして、やはり一般市民が分け入れないと楽しめない。あまり神域にされるのも痛し痒しです。

もともとの荒れ地を放置しておけば、極相として本多博士が考えていたような森にはならないのでしょうか。他の場所から木を持ってっくるよりも時間はかかるでしょうが。

再放送を見られたのですね。
さて、何百年か何千年か放置すれば可能かもしれませんが……。必ず遷移が進むとは限らず、草原のままの極相になるかもしれません。東京では、回りから種子が入って来ずらいですしね。
もっとも一等地だけに、その前に人間がビルディング建てると思う(^o^)。

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