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2015/07/02

環境新税?

すでに報道されているが、環境省は「国民1人あたり1日1~2円の環境新税構想」をまとめたそうだ。

構想では、住民税への上乗せ方式(低所得者や子供は対象外)。一人1日1~2円ということは、年間365円~730円ということになる。一方、企業にも課税して、年1000億円程度を確保しようという考えだが。 
 
主な使い道として想定しているのは、里山や干潟などを保全する事業の財源。たとえば「トキやコウノトリが舞う国土づくり」「美しい日本の風景再生」などの事業を上げている。
 
原生自然ではなく、文化や景観も含めた保全には、農水省と国交省、さらに文科省、文化庁など複数の官庁にまたがることが多いため難しいのだが、そのため環境省が新税で一括して扱いたい……というらしい。
 
環境省は、この新税構想を今夏の税制改正論議に入れ込み、政府や与党との検討を求める方針だという。今後、2~3年かけて財務省などと調整していく考えだ。  
 
 
まあ、なんとも「勇ましい」新税構想である。いや、「嫌らしい」新税構想というべきかもしれない。
 
私がすぐに連想したのは、地方自治体による森林環境税だ。森林環境税は、すでに全国34県で実施されている。森林環境を保全する事業に使う、というのがお題目だ。
たいてい市民一人500円程度で県民税上乗せ方式。企業からも取る県も少なくない。全部合わせても数百億円だろうが、これを真似たのではないか?
 
さては、森林環境税を課す際、ほとんどの県ではたいした反対運動が起きず、むしろ好意的に受け止められたことに着目した?のかもしれない。環境をお題目にしたら、税金を取りやすい、と。だからトキやコウノトリ、そして里山という一般受けしやすい語句を並べる。
 
ちなみに、この新税ができても森林環境税が廃止になるわけではないから、結局上乗せされた増税になる。 
 
 
しかし、環境省は結局、何もわかっていないのではないか。里山は経済的に循環させて維持されるものであって、税金を投入して維持するものではない、ということを。逆に地元の当事者意識を弱めるだけだ。
そして森林環境税も、結果的に使い道が絞れずバラマキになりがちで、あげくは使い道に困る事態に陥っていることを。
 
 
仮に実現しても、どうせ環境省のポケットマネーとして恣意的にばらまいて遊ばれるのがオチだ。
 
トキやコウノトリなど見映えのよい動植物ばかりをちやほやして生態系のバランスを崩したり、税金投入によって自立を妨げる可能性だって高い。いっそ、生態系のバランスをすでに崩している特定外来種のほか、爆発的に生息数を増えているシカやイノシシ、サルにクマなどの駆除に使うというならわかるが。環境省にそんな度胸はあるかな?
 
 
 
 
 
 
 

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