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2015/07/16

林業芸術論と新国立競技場

安保法制に続いて揉めている東京の新国立競技場問題。

 
2500億円を越える建設費が話題になっているが、そもそも、あのデザインは「良いもの」なのかね?
本当に美しく感じるかどうかに加えて、競技をする上で、そして観戦する上で、使い勝手がよいのだろうか。。。。
 
 
そんな疑問を浮かんだところで、ふと思い出したのが、「林業芸術論」。
大正初期に大日本山林会の会報を舞台に行われたちょっとした論争なのだが、そこで田村剛林学博士が提起した。
 
それは「林業は景観をつくる芸術である。」「実用を越えて、美しくあらねばならぬ」と実用と美の両立をめざすべき、と唱えたのである。実用とは木材生産などの経済性で、美とは今なら景観だけでなく環境など公益的機能を含むと考えるべきだろう。
 
Dsc_0013  Dsc_0014  
 
この考察の中に、森林を建築物に例える一説がある。
 
建築物は、何より実用的なものである。用途があって、使い勝手がよくなければならない。(現代的に追加すれば、耐震・耐火など安全性も必要だ。)
しかし、同時に造形には美しさが求められるし、内装などもこだわりが出る。すなわち芸術なのだ。立体でありさまざまな分野を包含していることから「総合芸術」と呼ばれるほどだ。
ここに、実用と美が両立している。
林業がつくる人工林も、同じく実用と美を追求すべき……。
 
といった論法だ。そこに新国立競技場を連想した。(ちと強引か)
 
 
多分、今の建築案を推した安藤忠雄さんは、実用よりデザインを優先したんだろうなあ、と感じる。そして建築費などはあまり頭になかったに違いない。
 
私は、随分前に安藤忠雄さんを取材したことがある。精確には、安藤さんから取材に来てくれ、と連絡をもらったのだ。
 
そこで事務所を訪れると、何か熱弁を奮われた。……中身をあまり覚えていないのだが(^^;)、たしか安藤忠雄建築展のような催しを行うものだった。たしか大阪の中之島公会堂の中に卵形のホールを入れ込む案だったような気がする。事務所には模型もいっぱいあった。見るからに斬新なデザインの建築であったと思う。
 
 
私は、安藤さんの建築には以前より興味を持っていて、それまでの作品なども知っていた。当時も「住吉の長屋」とか「光の教会」などは有名だろう。当時はコンクリート打ちっぱなし建築で一世風靡していた。
 
雑談に移った際に、思わず言ってしまった。「この家、住みにくくありません?」
 
だって、トイレに行くのに靴を履いて中庭を歩かないといけないんだもの。それにコンクリートって冷たいでしょ。結露しやすいし。見た目も寂しい……。今なら「癒されない」と言うかもしれない。
 
一瞬、言葉に詰まった安藤さんの表情を覚えている。そして何かゴニョゴニョと言い返された。住む人が理解していたらいいんだ、とかなんとか。
 
いやあ、私も若かったなあ。天下の安藤さんに。初対面なのに失礼だわ。
 
でも、逆に気に入ってくださったのか、その後は幾度か安藤さんの関わるイベントに呼んでいただいたりした。
 
ともかく、デザインとテーマ・理念優先の人なんだ、安藤忠雄さんの建築は。その点は、森林美を追求して木材生産をおろそかにしているようなもんだ(笑)。
 
やはりデザインと実用はバランスを取らないとね。今は実用というか目先の利益優先が多すぎるが、かといって理念や景観ばかりでもコスト無視でもいけない。
 
いえ、林業の話ですよ。。。。
 
 
 

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