私は、なぜか結構な数の坊さん……ようするに仏教僧を取材してきた。とくにここ数年、多くの坊さんに会っている。
お寺の坊さんは、最近何かと評判がよろしくないが、私の会った人は、さまざまな人生経験を積んだ人が多くて面白い。
60年安保の政治の季節に高校生だった某氏は、共産党に入党しようと当時の共産党書記の野坂参三に手紙を書いたところ、「卒業してからにしなさい」と諭されたそうだ。そこで、なぜか日本愛国党に入った(^^;)。そして右翼となり、日比谷公会堂の浅沼稲次郎暗殺事件の現場で攪乱作戦を展開していたという。(えっ、山口二矢の単独犯じゃなかったのか?)
一方、70年安保を前にした大学紛争時に大学生になった某氏は、2ヶ月で大学に出なくなり、新宿騒乱事件などに巻き込まれながら、学生運動にのめり込んだ。そして中核派の一員として数々の闘争に参加した。革マル派に狙われたこともあったという。その後、内ゲバが烈しくなり脱退するが、総会屋雑誌の編集にも携わりながら、やがて会社を起こし企画書1本で5億円稼ぐ時代の寵児に。だが親友が立て続けに自殺し、自らもガンにかかり……。
高度経済成長期にモーレツサラリーマン(今で言うブラック企業勤めか?)として働く中で鬱病になって、駅のホームから飛び込み掛けた某氏は、直前に精神科の看板が目に入り、ギリギリで踏みとどまってその医院に飛び込んだという。その後は家庭崩壊、全国行脚……。
そのほかパンクルックでジャズダンスを踊りながらフェミニズムを説く尼僧や、生協運動に入れ込んだ某氏、仏教界の腐敗を告発する某氏、さらに現役共産党員の住職など、まあいろいろなタイプの方がおりました。
取材という形であっても、こうした話を聞かせていただくのは、他人の人生経験のエッセンスをいただくような所業だ。
面白いのは、ギリギリと人生を追い続けた人は、みな自然に還ろうとすることだ。私は、それらを多少とも記録に留めたい。
このところ国会では、集団自衛権に関する法案を巡って熱を帯びている。とくに今日は、朝も昼も、そして夜も、国会周辺だけでなく全国に熱が広がっている。私自身も深く考えると頭が熱ぽくなりそうだが、こうした行動を契機に人生を変える人もいるだろうな、と感じる。そこから政治の世界に入ったり、宗教の世界に目覚める人も出るだろうか。
いささか虚無的ではあるが、左に振れた社会はほどなく右にかしぎ、そして時間が経つと再び左に向かうと感じている。所詮は時代の産物だ。今もその流れの中の一瞬なのだろう。
ちなみに上記の坊さんの中には、安倍首相と関係の深い人もいる。
この坊さんがいなければ、今の首相もいないのに……と思ったりして(^^;)。もっとも当の本人も、アノ人の人格には内心呆れているようだったが。。。
コメント