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2015/08/14

「味の箱船」にニホンミツバチ

The Ark of Taste, 「味の箱船」を知っているだろうか。

 
ノアの箱船からイメージされるように、箱船は滅びゆくものをすくいあげるものだ。
「味の箱船」は、世界各国に残るローカルな食文化を登録して後世に保存していこうとするプロジェクト。
なんだか「世界遺産」的な認定事業だが、これはユネスコなどではなく、イタリアの「スローフード・インターナショナル」が行っている。
 
早く安くつくる・食べる画一的なファーストフードに対抗して始まったスローフード。それが、こんな活動まで広げているとは知らなかった。
 
その「味の箱船」に、ニホンミツバチとそのハチミツが認定されたそうだ。
 
これまで「味の箱船」には、世界では2588品目がリストアップされており、日本からはすでに短角牛サバの熟鮨、くさや、ハタハタのしょっつる、そして各地のローカル野菜など34品目が登録されている。昆虫のざざ虫まで入っている。
箱船自体を知らなかったのだが、意外と大きな動きになっているようだ。
 
 
 
そんな中でのニホンミツバチである。
 
日本在来のニホンミツバチは、蜜を集める量が少ないのでセイヨウミツバチのように商業ベースには乗りにくい。たいてい趣味の養蜂だ。生産量は、推定で全国で年間30トン。ハチミツ国内生産量の1%程度だろう。
 
ただ集める花の種類を選ばないところがあって、多くの花から集めるうえ、セイヨウミツバチとは酵素が違うらしく、微妙に味が違うとされる。もっともセイヨウミツバチにも複数の花蜜が混じることもあるし、私が食べた感じでは、あまり味の差はなかったが。
 
 
どうやらプロジェクトの認定基準には、味だけではなく、ニホンミツバチ養蜂を巡る歴史や文化も含むらしい。ニホンミツバチを使ったハチミツ酒や薬としての利用、さらに蜜蝋を使った伝統工芸など全体が評価されたようだ。
by 蜜蜂ジャーナリスト。
 
 
いろいろな認定制度が生まれている。単に機能的価値だけでなく、歴史的位置づけがはっきりあることや、それに関わる人々の文化と結びつかないと広がらない。人々の記憶に残らないからだろう。
 
 
森林・林業界にもさまざまな認定制度はあるが、残念ながらほとんどが心に響かない。環境とか材質・品質とか産地とか、あまり面白みのない基準ばかりで、そこに文化的裏付けがないからかも? なんて思ってしまった。
 
by 森林ジャーナリスト。

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